10人で1月の厳冬期に、北アルプスの唐松岳で2泊してきました。
何年も通っているとわかるのですが、SNSの影響? どんどん軽装の登山者が増えています。12本のアイゼンすら着けていない登山者が山頂を目指していたり。。。危ないなぁ〜と思うことが度々あります。
私達がどういったウェアや装備を持っていたのか紹介したいと思います。もちろん装備だけで登れるものではありませんが。
雪のアルプスに登る服装
ハードシェルジャケット&パンツ
雪のアルプスに登るには、レインウェアなんかじゃダメです。低温&強風になった時にレインウェアじゃ耐えきれません。また、レインウェアはよく滑るので、もし滑落したら加速して落ちていきます。アンチグリース加工されたオーバージャケットは必須です。高いけど、命を守る重要な装備!
私はミレーの赤いジャケットを着ています
価格的にはファイントラックのほうがお手軽です。
防寒着
行動中には着ない、防寒用のダウンジャケット。私はミレー撥水ダウンのジャケットを持っていきます。実際に濡らしたことがないので、どこまで撥水がいいかはまだ知りません(笑)
ユニクロのウルトラライトダウンはやめましょうね。。。
アンダーウェアと中間着のレイヤリング
オーバージャケットも大切ですが、その下に着るウェアのレイヤリングも大切です。
写真のような組み合わせ。全部ミレーですね!
アミアミ+メリノウール+ポーラテックデルタのシャツ。
レイヤリングの重要性や選び方については下記のリンクをお読み下さい。時間をかけて書いています。
基本的に肌に接するウェアはミレーの網網ことドライナミック。私の友人の間でも圧倒的なシェアがあります。かつては見た目がヤバいって言われていましたが、今は当たり前になりましたね!
ドライナミックの上にはメリノウールの薄手のシャツ。私はミレーとアイスブレイカーを愛用しています。
その上には厚手ではないベースレイヤー
今年の唐松は厳冬期とはいえ、あまり寒くなかったのでこれで充分です。
もしも寒ければ、インシュレーションをプラスします。
数年前のレビューですが。。。今はもう少しデザインが良なっています。
パンツのレイヤリング
オーバーパンツの下はパンツとアンダーウェア2枚の組み合わせのみです。
パンツはアークテリクス。肌に面する重要なものなので、綿のパンツとかは絶対にやめましょう。
そしてミレーのあみあみ
ファイントラックのメリノタイツ
いわゆる登山用のパンツは履いていません。この組み合わせに登山用のパンツを履くと動きにくくて暑いです。その代わり、キャンプ地ではオーバーパンツからダウンパンツに履き替えます。
雪のアルプスにテント泊持っていったギア類
いっぱいあります!
厳冬期用登山靴 アルパインブーツ
4シーズンのライトアルパインブーツでも全く不可ではありませんが、絶対に寒いので厳冬期用のアルパインブーツを選ぶべきです。
私はモンベルで販売しているASOLOのアルパインブーツ。モンベルの担当者さんとの関係でこの靴を選んでいます。アマゾンでも売っているようですが、モンベルで購入したほうがずっと安いです。アルパインブーツにしては手頃な価格ですが、やはりスポルティバのネパールとかのほうが性能は上です。
アイゼン
絶対に12本爪以上がおすすめですが、足の小さい女性は10本でもいいです。
買いたてはいいですが、長いこと使っていたり、ミックス環境(岩と雪)で長時間歩いたら爪を研ぐのも大切ですよ。
圧倒的なシェアは黄色のグリベルですね。グリベル買えば間違いないでしょう。
時々見かける、すごく危ないアイゼンがモンベルのスノースパイク10です。
爪は10本ありますが、上で紹介しているグリベルとはまるで別物。メーカーとしては、厳しいエリアでの使用は推奨していません。コレでアルプスに行くのはホントに止めましょう。。。モンベルでアイゼンを買うなら、赤いバンドのカジタックにして下さい!
ピッケル
ピッケルもないと登れません。初心者はストックのほうが歩きやすいかと思います。ベテランでも急斜面でなければストックの方が歩きやすいです。でも、ストックには大きな欠点が。。。
それは、ストックじゃあ、滑落したら止められないことです。ピッケルがあればこんなふうにして落ちていく体を止めることができるかもしれません。(素早い反応と練習が必要ですが)
ピッケルにはシャフトがまっすぐな縦走用、シャフトが大きく曲がったクライミング用、その中間的なも物と、いくつかタイプがあります。
ストック
傾斜が緩やかな斜面を歩く場合は、ピッケルよりも圧倒的に楽です。体力の消耗をかなり抑えることができます。グリップがスポンジだと凍りついちゃうことがありますので、雪を着けにように扱いましょう。必ずスノーバスケットを着用しましょう。もちろん、ピッケルも持っていきますよ!
ネット販売の格安商品は強度が大きく劣る物が多いです。信頼のおけるブラインドの商品を選びましょう。
スノーシュー
雪が深い時には、非常に有効です。いつも使うわけじゃないですが状況によって使い分けます。
スノーシューもネット販売の格安製品は避けましょう。強度も足りないし、グリップも足りません。
MSRやアトラスの上位モデルにしましょう。中途半端なスノーシューは登山では邪魔なだけです。
ヘルメット
コースによってはヘルメットを持参しましょう。
ヘルメットに対応したフードを持つハードシェルも必要です。
スノースコップ
テントなど山中で宿泊する時は必須です。トイレ用の穴を掘ったり、キャンプサイトを整地したり。
万一のビバークの時は雪洞を掘ったり。
スノーソウ
雪を切り出すための道具です。木は切れません(笑)
風が強い場合など、テントの周りにスノーブロックを置いて風を防いだりします。このスノーソウがあればそれが比較的簡単にできます。スコップだけではちょっと難しいし時間がかかります。イグルー作りには必須。
プローブ
以前はゾンデ棒なんて名前で呼ばれていましたが、いまはプロープと呼ばれています。雪崩のときなどに埋まった登山者を探す道具です。私も実際に必要な場面に遭遇したことはありませんが、保険のようなもの。持っていても使い方を知らないと使えない典型的な道具の一つです。一番活躍するのは、積雪を測る時(笑)
ツェルト
これは雪山に限らず、夏でも万一の時のために欲しい道具。張り方覚えないといけませんが。。。
雪山でツェルトを張っている、いい写真がありませんでした。私も緊急時に使ったことはなく、練習の時のみです。写真は緊急搬送練習に使った時
誰でも使える簡単なツェルトはこれ
雪のアルプス テント泊用の装備
テント
テントは夏場よりも余裕を持ったサイズにしたいものです。ぶっちゃけメーカー基準の定員じゃぎゅうぎゅうです。でも、余裕をもたせると荷物が増えます。その辺が悩ましいです。
インナーがメッシュのものでなければ、夏と同じテントが使用可能です。
ポイントとすれば、初心者はポールにテントを引っ掛ける吊り下げ式のテントの方が強風下では設営しやすいです。それは先にペグでテントを雪面に固定できるからです。ただ、個人的にはポールをテントに通すスリーブ式のほうが好きです。
テントのファスナーはビスロン式がおすすめ。過去に、山中でみぞれ(2月の八ヶ岳ですよ!)になり、テントのファスナーが凍ってしまい、テントから出るのに苦労した経験があります。ビスロンならそれが軽減されていたはずです。
寝袋(シュラフ)
最も雪山で重要な装備ではないでしょうか。メーカーはいろいろありますが、とにかく暖かいものを購入しましょう。寝袋に入っている時間はとても長いです。私はモンベルのダウンハガー#0を愛用しています。雪山で暖かい物は正義です!表面が撥水処理のものは、シュラフカバーも不要です。
−20℃対応くらいだと、とっても快適に眠ることができます。
シュラフマット
これも大事な装備です!雪山で冷える時は足先かお尻。いろんなタイプのマットがありますが、個人的にはリッジレストのクローズドセルがおすすめ。特にZタイプは折りたたんで椅子や敷物にもできます。
エアーを入れるやつは非常に面倒くさいです。また、穴が空いたら修理が必要になります。雪山で使うのは信頼性と耐久性が高いものにしましょう。
シュラフカバー
寝袋を濡れないように保護する防水透湿性のカバーです。必要ない時もありますが、テントの端っこで泊まったりすると寒いし、テント内で凍った水蒸気が降ってきたりするので、テントで連泊する場合はあったほうがいいでしょう。
テントシューズ
テントの中で足が冷えてきたりすることがあります。これ履いておくとホントに暖かいので、強く勧めます。そのまま寝袋に入って寝ることもできます。私は靴下を脱いでテント内ではこれだけで過ごすこともあります。
ちょっといいやつは、そのまま外へ出ることができます。夜トイレに行く時なんかに、登山靴を履くのは面倒なので、とってもありがたい。
バーナー&コッフェル
個人的に、雪山で使うバーナーは分離型がいいと思います。鍋料理をしたり、雪を溶かしたりする時は重心の低いもののほうが安全です。また、冬場はガスボンベを連続で使うと冷えて出力が落ちたりするのですが、分離型なら液出しをしたり、ガス缶を簡単に温めることができます。(メーカーはテント内での使用を推奨していません。個人の責任と判断で使用しています)
大人数の時は大きな鍋が効率的。少人数の時はプリムスのイータがおすすめです。
たわし
外からテントに入る時に雪落としとして使います。雪がテントに入ってしまうと、厄介ですからね。100円のたわしでOKです。
こんな感じでしょうか?
まとめ
危ないと思われる雪山・冬山のアルプスを歩くのに必要な装備について紹介しました。
一つ一つの装備について掘り下げると、無茶苦茶長くなるのでさらっと紹介するだけですが、いっぱい装備がいるんだとわかったのではないでしょうか?
日帰りの山で充分な経験を積み、体力をつけ、仲間を見つけ、アルプスのテント泊にチャレンジしてみて下さい。