登山用ヘルメットの種類と選び方

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近年、所持率の上がっている装備にヘルメットがあります。

かつてはロッククライマー以外は殆ど身につけていなかったのですが、最近は槍穂高連峰あたりでは多くの登山者が身につけています。

御嶽山の事故以降、一気に普及し始めたような気がします。

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登山用のヘルメットが必要な理由

登山でヘルメットが必要な理由は転倒・滑落した場合に頭部を守ること「落石などの落下物から頭部を守ること」です。

転倒時の頭部保護が主目的

登山の初心者には、御嶽山噴火事故の印象が強いせいか、落石などから頭を守るための装備という印象が強いようです。

しかし、どちらかといえば転倒・滑落した場合に頭部を守る要素が強いといえます。たとえヘルメットを装備していても、拳ほどの石が直撃しただけでヘルメットは粉砕してしまいます。ヘルメットが落石から頭を確実に守れるのは、小さい石だけです。クライミング以外の通常登山では、落石が頭に当たるケース自体、極めて稀です。

一方、転倒・滑落の可能性は大きく、どの山でも可能性があります。
大きな落石でヘルメットを着用していたので助かったという話はあまり聞きませんが、転倒・滑落の際、ヘルメットを着用していたので助かったという話はよく聞きます。

ヘルメット着用の推奨地域

長野県では、ヘルメットの推奨地域を決めています。
あれ?? 剱岳とかが含まれていないんじゃない?と思った方、剱岳は富山県です。
以下の表は、あくまで長野県でのことであり、北アルプスは長野以外に岐阜と富山も含まれます。よく私が指摘する、地方行政間のコミュニケーション力、調整力の欠如がこういった点でも明らかになります。表にはないですが剱岳に登る場合も絶対に着用したほうがいいです。

最近の印象では北アルプス南部で個人は50〜60%程度かな。ツアーやガイド登山は100%に近いと思います。私が案内する時も以下の推奨地域は必ず着用していただきます。

山域名指定する山域
北アルプス南部

槍・穂高連峰のうち、北穂高岳から涸沢岳・屏風岩、前穂高岳(北尾根から吊尾根)一帯、西穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳から南岳(大キレット)、北鎌尾根・東鎌尾根の区域

北アルプス北部

不帰の嶮周辺、八峰キレット周辺

南アルプス

甲斐駒ケ岳、鋸岳

中央アルプス

宝剣岳

戸隠連峰

戸隠山、西岳

ちなみにマッターホルンへ登った時は100%の着用率でした!
自分の頭にもポロポロ小石が落ちてきたりした(^_^;) あってよかったと思ったものです。

ヘルメットを着用推奨するシチュエーション

岩場が多く転倒・滑落リスクの高い場所

ハシゴや岩場の連続するエリアでは着用を強く勧めます。ヘルメット着用の推奨地域でなくても、スキルはそれぞれです。私も恥ずかしながら、北アルプスの南部(推奨地域外)で転倒してヘルメットを割ったことがあります。ヘルメットがなければ大怪我だったことでしょう。

クライミング・岩登り

説明不要かと思いますが。

ヴィアフェラータ

ほぼクライミングや、岩登りと同じですが。

スキー・スノーボード

登山ではありませんが、スキー・スノーボードでもヘルメットの着用を強く勧めます。
海外ではスノーボーダーなどは100%近くが着用しています。私も中高年のスキーツアーの時は着用をお願いしています。スピードが出た状態で転倒・衝突などが発生すると、リスクが高まります。

雪山

レベルを上げた雪山も滑落のリスクが高まります。柔らかい雪なら頭部へのダメージは低いですが、アイスバーンになっていれば、氷は石と同じような衝撃になります。

沢登りやキャニオニング

沢登りやキャニオニングでは必ず必要な装備です。登山より、クライミングより危ないと思います。

登山用ヘルメットの種類

登山用のヘルメットには大きく2つの種類があります。

インモールド

内側の衝撃を吸収する発泡ポリスチレンの外側に、衝撃耐性が高いポリカーボネートのような素材をコーティングしたものになります。

メリット
ハードシェルより軽い
デザインが自由なため、通気性が高く蒸れにくい

デメリット
ハードシェルに比べて価格が高い
シェルが薄いので、強い衝撃で割れてしまう

ハイブリッド/ハードシェル

ハイブリッドタイプは内側の衝撃を吸収する発泡ポリスチレンの外側に、硬いABSを利用した素材を使用しています。本来はハードシェルのヘルメットとは強化プラスチックに合成繊維のテープを衝撃吸収材として利用したもののことですが、最近はハイブリッドタイプをハードシェルと呼ぶメーカーもあります。

メリット
インモールドに比べて価格が安い
外側が硬い分、傷がつきにくく長持ちしやすい
外側が硬い分、小さなヘルメットにできる。

デメリット
インモールドより重たい
外側のデザインに自由さがない

写真は左がインモールド、右がハイブリッド/ハードシェル

ヘルメットの寿命はメーカーより様々です。購入の時に説明書を読んで確認しておきましょう。ちなみにモンベル3年、マムート6年だとか。
ヘルメットには製造の時期が記されているはずです。
ヘルメットは、一度でも大きな衝撃を受けたら再利用はできません。

ヘルメットを選ぶ注意点

サイズ確認

サイズが複数ありますので、頭の大きさに合わせてというのは当然ですね。

フィット感

白人と日本人では頭の形がやや違うし、ヘルメットの好みも違うようです。メーカーによっては、フィット感がいまいちと感じるものもあります。こればっかりは好みなので、合わせてみるしかないと思います。ただ、人気がありよく売れているメーカーのものは、問題ないと思います。

レインウェアやジャケットとの相性

レインウェアやジャケットのフードがタイトな場合、フードの下にヘルメットを着用することができない場合があります。インモールドか、ハイブリッドかタイプによっても大きさが違います。近年発売されているジャケット類はヘルメット対応のフードになっているものがほとんどです。

登山用ではないヘルメットは使ってよいのか?

登山用を勧めますが、ヘルメットを着用していないよりは、違う用途のヘルメットでも着用した方がいいに決まっています。かつて家族でキャニオニングやアルプスに行く場合、娘には自転車用のヘルメットを持参していました。登山用ヘルメット買ってあげなくてゴメンナサイ・・・。

神童子谷キャニオニング

中央アルプス 宝剣岳

おすすめのヘルメット

マムート

私はクライミング系のギアはほぼマムートにしています。
マムートのヘルメットは値段も手頃で、間違いないと思います。利用者も多いです。

ハイブリッド/ハードシェルタイプのおすすめ

インモールドタイプのおすすめ

ブラックダイヤモンド

人気のブラックダイヤモンドのおすすめ

ペツル

軽量化ではペツルのシロッコが最強でしょう!なんと160g(S/M)〜170g(X/XL)

エーデルリッド 折りたためるヘルメット

ヘルメットを着用している時はいいですが、そうでない時に困るのが、パッキング。
ザックの中に入れるか、外につけるか悩んだことがある人も多いハズ。

折りたたんでザックに入るヘルメットは重宝します
エーデルリッドのマディーロです。

もちろん、各種の安全基準は満たしています。

実際に使うと、普通のヘルメットと見た目は変わらないですね。

グリベル

カクカクしたデザインが個人的にお気に入り。次に買うならこれかな?
Goproの接着面も安定しそう!

ヘルメットホルダー

ザックな内部に収納できない場合は、ヘルメットホルダーが有効です。ヘルメットが揺れないようにしっかりと固定しましょう。

ヘルメットはドンドン進化していて、軽く快適になっています。
登山の標準装備となる日もそう遠くないような気がします。

アルプスに行かれる方は、購入を強く勧めます!
古いヘルメットをお持ちの方は買い換えて下さい!

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