私個人の雪山の楽しみといえば、山の中での宿泊。それはテントだったり雪洞だったり。
雪山テント泊について書いてみたいと思います。
極寒の野外に立てた暖かいテントの中で、鍋をつつきながら、美味しいお酒を楽しむ(^_^)
このギャップがたまりません!
慣れると楽しいのですが、始める前は不安でいっぱいではないでしょうか。
どのくらい寒いの??
どれだけの装備が必要なの??
などなど
少しでも不安が解決できればいいなあと思います。
雪山テント泊の始め方と注意点
何よりもまず、雪のない時期、暖かい(暑い)時期に山でのテント泊を体験して下さい。雪山でのテント泊はそれからです!
雪山に慣れて体力をつける!
ものすごく重要なことです。まずは基本的な雪山の経験を積んで下さい。そして、大きくて重たい荷物を背負って歩ける体力をつけましょう。他社のトレース頼みで雪山に登っている方は、ラッセルできるくらいに!朝起きたらトレース消えてるなんていうのは、当たり前ですよ〜。
最初は経験者と泊まりたい
すべてを試行錯誤でやる場合と経験者に教えてもらうのでは大きな違いがあります。始めくらいは経験者と行ったほうがいいでしょうね。雪山登山の経験と、雪山テント泊の経験は違います!
いきなり厳冬期の山で泊まらない
いきなり厳冬期の山はツライと思います。例えば、山じゃなく冬のキャンプ場で泊まってみるとかしたほうがいいです。それでも寒いですが(笑) 雪があれば、雪から水を作ることがどれだけ面倒くさく時間がかかるかとか、すべてが凍る世界での物の扱い方なんて勉強になります。道具の使い方にも慣れるし。
経験者の話を聞いて装備を揃える
雪山でテント泊すると、登山以外の装備も必要になります。装備は後で紹介しますが、安くはありません。少しの節約で寒い思いをして装備を買い替えたりしなくていいように、経験者に聞いてみましょう。用品店でも雪山のテント泊を体験している店員さんは少数派です。信頼できる店員さんと顔見知りになるのは大切!
雪山テント泊登山の注意点
行動時間にはかなり余裕をもたせる
無積雪期よりも時間のかかる雪山。テント泊になれば、荷物は大幅に増えてザックは重くなかなか進みません。。更に冬は日照時間が短いので、16:00まで行動なんてことをしているとテントの設営中に暗くなるなんてことも。理想ならば14:00にはキャンプ予定地に到着したいですね。
ソロ登山は避ける
テントを使わなくても、雪山でなくても、できる限りソロ登山は避けましょう。どうしてもパートナーがいない場合は、週末の登山者が多いメジャーコースへ。
通常以上に天気予報に注意
とにかく、天気が崩れる予報があれば、撤退&予定変更をしましょう。営業している山小屋の近くにあれば予定を変更。無理してテントで夜を越さないように。本当の強風が吹けば、初心者の設営したテントなんてひとたまりもありません! 風が強いとテント自体設営できない可能性もあります。
装備の確認はしっかりと
過去に見かけたあるテント・・・。フライを間違えてもってきたのかな??
それ以外にも靴を外に置いていたら凍るし、むき出しのギアをテント近くに置いちゃうとテントが破れたり。ツッコミどころ満載です。
体力トレーニングをしておく
ただでさえテント泊は荷物が重いのに、雪山のテント泊は更に重くなります。。。美味しいものを食べようと思うと、もっともっと重たく。
日頃からそこそこの荷物を背負って歩いていないと、全く楽しめないことになってしまいます。雪山を安全に楽しむためには体力が必要なのです!
雪山テント泊の楽しみ
雪山は自由なテント泊が可能
雪山では、原則どこにテントを張ってもOKです。もちろんOKとはいえ、テント泊にふさわしい場所、やめたほうがいい場所はあります。私は雪山で初めてのルートを行くなと主張しています。だから、無積雪期のうちにここに張れるなぁみたいなことを考えてあります。
私は周辺にテントがない場所を好みます。せっかく自由があるのに、密集してテントを張る感覚がよくわからないんです。時々いるんですよね、広大なスペースが有るのに、他人のテントにピッタリと寄せて設営してくる、ストーカーのようなキャンパーが。。。緑のテントは赤の他人。こういうことは止めましょう。
絶景に出会える
雪山の時期に営業している山小屋は限られます。ほとんどの山でご来光などを見たければ、山で宿泊するしかないので、テントや雪洞で宿泊する必要があります。雪山のご来光はほんとに美しい!限られた人だけが見られる絶景です。
外が寒ければ寒いほど美味しい鍋料理とお酒
雪山の楽しみは鍋料理&お酒!
素敵な仲間と大勢でワイワイと鍋を突くのは最高です(#^.^#) これはソロ登山中心の方にはわからないだろうなぁ。
雪山テント泊に必要な装備
新しく購入しないといけないものもあるし、夏山から流用できるものもあります。
ザック
特に夏用、冬用とは別れていませんが、冬は装備が大きくかさばるので大型のザックが必要です。私は75〜90Lのザックを中心に使っています。それはザイルなどのレスキューセットは入っているからで、そうでない方は65L以上あれば大体はいけると思います。
テント
インナーがメッシュのものでなければ、夏と同じテントが使用可能です。
ポイントとすれば、初心者はポールにテントを引っ掛ける吊り下げ式のテントの方が強風下では設営しやすいです。それは先にペグでテントを雪面に固定できるからです。ただ、個人的にはポールをテントに通すスリーブ式のほうが好きです。
テントのファスナーはビスロン式がおすすめ。過去に、山中でみぞれ(2月の八ヶ岳ですよ!)になり、テントのファスナーが凍ってしまい、テントから出るのに苦労した経験があります。ビスロンならそれが軽減されていたはずです。
シングルウォールのテントはフライがないので風に強いですよ。ただし、シングルウォールのテントは結露が起きやすいので、慎重に選びましょう。私の使っているサマヤのテントはぼぼ完璧です。
寝袋(シュラフ)
最も雪山で重要な装備ではないでしょうか。メーカーはいろいろありますが、とにかく暖かいものを購入しましょう。寝袋に入っている時間はとても長いです。私はモンベルのダウンハガー#0を愛用しています。雪山で暖かい物は正義です!厳冬期はスマホやバッテリー、飲料水などは寝袋に入れて寝ます。
−20℃対応くらいだと、とっても快適に眠ることができます。
シュラフマット
これも大事な装備です!雪山で冷える時は足先かお尻。いろんなタイプのマットがありますが、個人的にはリッジレストのクローズドセル一択。折りたたんで座布団になるタイプがお気に入り。テントでの食事の時、かなり足が楽なのでおすすめ。エアーを入れるやつは穴が空いたら修理が必要になります。雪山で使うのは信頼性と耐久性が高いものにしましょう。就寝時にお尻が寒い方は、座布団を持参して重ねてもいいでしょう。
シュラフカバー
寝袋を濡れないように保護する防水透湿性のカバーです。必要ない時もありますが、テントの端っこで泊まったりすると寒いし、テント内で凍った水蒸気が降ってきたりするので、テントで連泊する場合はあったほうがいいでしょう。写真はテントじゃなく、イグルーで飲みすぎた後のものですが。。。
テントシューズ
テントの中で足が冷えてきたりすることがあります。これ履いておくとホントに暖かいので、強く勧めます。そのまま寝袋に入って寝ることもできます。私は靴下を脱いでテント内ではこれだけで過ごすこともあります。ちょっといいやつは、そのまま外へ出ることができます。夜トイレに行く時なんかに、登山靴を履くのは面倒なので、とってもありがたい。
バーナー&コッフェル
個人的に、雪山で使うバーナーは分離型がいいと思います。鍋料理をしたり、雪を溶かしたりする時は重心の低いもののほうが安全です。また、冬場はガスボンベを連続で使うと冷えて出力が落ちたりするのですが、分離型なら液出しをしたり、ガス缶を簡単に温めることができます。(メーカーはテント内での使用を推奨していません。個人の責任と判断で使用しています)
たわし
???なんに使うのって思うかも知れません。
これは、外からテントに入る時に雪落としとして使います。雪がテントに入ってしまうと、厄介ですからね。100円のたわしでOKです。
スノーソウ&スコップ
スノーソウは雪を切り出すための道具です。木は切れません(笑)
風が強い場合など、テントの周りにスノーブロックを置いて風を防いだりします。このスノーソウがあればそれが比較的簡単にできます。スコップだけではちょっと難しいし時間がかかります。
安全装備
スコップ・ザイル・ハーネス・カラビナ・スリング・プロープ・ビーコン・GPSなど。
本来であれば、すべての雪山登山者(各パーティー)に持って欲しい道具です。
スコップはテント泊の時にはなくてはならないものです。
ビーコンは持っているだけでは意味がありません。使い方も勉強しましょう。
雪山テントの設営方法
テントによって若干方法は違うのですが、メジャーな設営方法について書いてみます。
キャンプ地の選定
はじめからキャンプ場を使う予定であれば、問題なし。それ以外の場合は設営地点を決めなければなりません。
テントの大敵は強風です。可能な限り風の弱そうな地形や条件を選ぶ必要があります。
防寒着の着用
風が強かったりする場合は、一気に体温が下がってしまいます。ザックは下ろすし、運動量も下がるからです。冷える前に防寒着を着用しておきましょう。また、危険な場所でなければ、アイゼンも外しましょう。
設営地点の整地
設営地点が雪でフカフカの場合は、設営したい場所を足で平らに踏み固めます。きちんと踏み固めておかないと、テント寝る時には、ボコボコの雪面になってしまいますよ。
防風用のスノーブロック
テントが先か、スノーブロックが先かという議論がありますが、可能なら先にスノーブロックで囲んでテントを張ったほうがいいですが、テントサイトが頭で描けるか感覚的な問題もあります。作り直しにならないように、初心者はテントを張ってからがいいと思います。上級者なら、雪を掘り込んでブロックを作ると風に強いテントサイトになります。
テントの設営
素早くテントを設営します。風が強い場合、初心者はここで苦労します。。。
下記を読んでいると、吊り下げ式の方が簡単そうですが、ペグで四隅を固定する時にしっかりやっておかないと、ペグが風の力に負けてしまうことも多いです。
テントの設営(スリーブ式)
1.絶対にアイゼンは外しておくこと。テントを踏んでしまうと穴が空きます。
2.テントポールを組み立てる。組み合わせ部分に絶対に雪を付けないように。撤収の時にポールが外れなくなることがあります。
3.テントにスリーブを通します。この時が最も風の影響を受けます。風が強い時はテントの入口を開けて中にザックなどを入れて重しにします。
4.風上側からペグなどでテントを固定。入り口は必ず風下になるように。
5.フライシートを装着し、張り縄をでしっかりと固定。
6.風が強ければ、周辺の雪をスノーソウで切り出しブロック状にしてテントの風上に設置。
テントの設営(吊り下げ式)
1.絶対にアイゼンは外しておくこと。テントを踏んでしまうと穴が空きます。
2.テントを雪面に広げて、四隅をペグで固定。入り口を風下側になるようにしておく。
3.テントポールを組み立てる。組み合わせ部分に絶対に雪を付けないように。撤収の時にポールが外れなくなることがあります。
4.ポールをテント四隅のグロメットに差し込み骨組みだけの状態にする。
5.組み上がったポールにテントを吊り下げる。
6.フライシートを装着し、張り縄をでしっかりと固定。
7.風が強ければ、周辺の雪をスノーソウで切り出しブロック状にしてテントの風上に設置。
最後にテントの入口を掘り込みます。
靴の着脱がとても楽だし、テント内への雪の侵入も減らすことができます。
風が強かったり、強くなることが予想される時はスノーブロックをしっかりと積んでおきましょう。
トイレの設営
複数で宿泊する場合は、トイレを決めておかないと無秩序になりキャンプ地を汚してしまいます。人気の宿泊地では携帯トイレの利用が望まれます。
雪を大きく堀込んだり、ツェルトを使って作ったりします。
雪山は女性に大きなハンデがあります。それはトイレ。男性にも女性の気持ちが少しでもわかるように、ズボン下ろして、小をしてみたらって言うこともあります。強風下のトイレは女性には苦痛です。
メンバーに女性がいれば、少しでも快適になるように頑張って作りましょう。
最後は雪が降ってもギアがわかるように縦に置いて、テントに入りましょう!
温かいモノでも飲んで一息!(^^) 熱燗最高。 沸騰させたくないお酒は、ジェットボイルでは慎重に。
テント撤収のポイント
テントが凍っていたりして、標準のテント収納袋には入らないか、入れるのに苦労する事があります。大きめのビニール袋やスタッフバックなどを予め用意しておいて、それに入れて収納するのもありです。
また、撤収時にペグの紛失が多いです。気をつけましょう。
帰宅後は必ず乾かします。
雪山のテント生活
やってみないとイマイチ実感しないと思いますが、気をつけることが色々とあります。
テント内への移動
テント内へ持ち込むザックや体も、タワシなどで可能な限り雪を落とします。テント内に入った雪は濡れに繋がりますからね。登山靴も雪を落とし、ビニール袋へ入れてテント内へ持ち込みます。私の場合、テント外に出る時は、近距離であればテントシューズのままです。靴を履くのは面倒ですから。テントに入る前に、きれいな雪をビニール袋へ入れて入り口付近へ置いておきましょう。後で水を作ります。
就寝スペースの決定
3人以上で就寝する場合、寝る位置によって寒さが随分と違います。もちろん端っこが寒い。という事で寒さに強い、またはいい寝袋&寝袋カバーのメンバーが端っこへ。
水の確保
事前に確保しておいた雪を水にします。最初にコッヘルへ少し水を入れて温めてから、雪を少しずつ入れていきます。神経質な方じゃなければ、沸騰させる必要はありません。雪が溶けたらいいだけなんで。
食事の準備
どういったものを食べるかで全然違います。私はいつも鍋料理。
詳しくはここに書いています
美味しくて楽しいですが、鍋は大量の水蒸気が出て、テントが結露します。そして、凍ります。シビアな山では水蒸気のあまり出ない食事がいいでしょう。
おやすみなさい
凍ったら困る物は必ず寝袋に入れておきましょう。スマホなんかは特にね。
降雪時のテント泊の注意
雪がいっぱい降って、テントの上に積もると、テント内の酸素が不足します。
みんな寝ているはずなのに「はぁはぁ」って(笑)
最初はテントの内側から押すだけで雪は落ちていくのですが、量が増えるとテントを押しつぶす様に雪が積もります。そうなると、いくら内側から押してもダメ!嫌々ながらテントの外に出て雪を落とす作業が待っています。
大雪が予想される時は、テムレスとかのグローブを予め準備しておくことを勧めます。
ということで、思いつくことを上げてみました。
楽しいけど、リスクもある雪山のテント泊。しっかり準備して臨みましょう!