雪山の登山計画の立て方と準備

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リスクの高くなる雪山・冬山の登山。

その計画を立てる時に、必要なことは何でしょうか?夏山(無積雪期)との違いは?
プロガイドが考えてみました。

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夏山(無積雪期)と雪山・冬山の情報量の大きな違い

本屋さんで売っているガイドブックや、ネットでの情報の大半は夏山(無積雪期)のものです。積雪期の山の情報は、多くはありません。なぜ雪山の情報が少ないのか考えてみましょう。

雪山情報の需要量が少ない

周辺の登山者で雪山に登る比率はどのくらいでしょうか?夏山に比べたら圧倒的に少ないですよね。ガイドブックを販売している出版社もビジネスです。あまり売れない本に力を入れるわけにはいかないと思います。

雪山のガイドブックを書けるライターが少ない

ガイドブックにするには、当然登って調査しないといけません。でも雪山って登るの大変です。。。無積雪期よりも時間もかかるし、リスクも大きいです。でも、本の値段はそんなに上がらない、部数も伸びない。ということは、出版社だけでなくライターにとっても割の良い仕事ではないはずです。私だったら、絶対にやりません!

同じようなコンディションになることが少ない

夏山であればさほどコンディションの違いはあまりありません。しかし、雪山は積雪量や雪質、さらに登山者の数などなどによって大きくコンディションは変化します。A地点からB地点まで○時間というような書き方はできません。あくまで、自分が登った時はこうだったっていうしかないんです。だから、ガイドブックというより、紀行文形式になってしまいます。

雪山登山の計画で重要なポイント

上記でガイドブックなどの情報は少ない、所要時間などもまちまちであると書きました。では、どのように計画を考えればよいのでしょうか?

雪山で初めてのコースを登らない

雪山(積雪期)になる前に、無積雪期のコースを歩いておきましょう。初めてのコースが雪山というのは、リスクが高いです。(登山者の多い、超メジャーなコースは別でしょうが)

初心者のうちは、知っているコースの雪山を歩いて下さい。道迷いのリスクも少なくなります。

コースタイムは無積雪期の2倍〜3倍?

雪が積もると、当然のことながら歩きにくいです。歩きにくいだけならまだしも、雪が深くなるとなかなか進みません。トレース(踏み跡)がない場合ことなどを考慮すると、計画の時点で、登りなら無積雪期の2〜3倍の所要時間をみておくことが必要です。夏と同じ時間では到底歩けません。コースによっては積雪期のほうが歩きやすい場合もあるのですが、例外と思いましょう。

メジャーなコースかマイナーなコースか

雪山であると嬉しいのは、トレース(踏み跡)です。ない場合は新雪を踏み固めて歩かなければいけません。そうした場合はコースタイムの2〜3倍の時間がかかります。でも人気コースならトレースがある確率がぐんと上がります。想像できると思いますが、歩くのが平日か週末かでもトレースの確率は違います。初心者にいきなりラッセルはキツイので、人気のコースから計画するのが無難です。その代わり、真っ白な雪にトレースを付けながら歩くという雪山の魅力は味わえません。

状況次第で計画を変更できる柔軟性

積雪量や風の強さ、視界などコンディションによって、思い通りにいかない事があります。というか、高い山なら思い通りに行く事の方が少ない。絶対に変更しない撤退時間を予め決めておく、エスケープルートを決めておく、予備の食料を多めに持参するなど臨機応変に計画を変えられる柔軟性を持ちましょう。

他人の登山記録を参考にしすぎない

最近はヤマレコやYAMAPなど山行記録の共有が増えています。ある程度参考にするのはいいのですが、その程度でやめておきましょう。上記でも書きましたが雪の量やトレースの具合などコンディションに大きな差があるので、なかなか同じようにはなりません。他人の山行記録を見て歩きすぎると、想像力や臨機応変な判断力が身につきにくいと思います。

登山届は絶対に提出する

万が一の遭難事故などでは、登山届をきちんと出していると、素早いレスキューの対応の可能性が高くなります。
何処にいるかわからない登山者を探すのに比べると、遭難救助に必要な時間も費用も大きく抑えることができます。さらに、事前に登山計画書を書かない方は、計画的な登山プラン、必要な装備や食料の準備など行き当たりばったりの登山になりかねません。

雪山では夏山(無積雪期)以上にしっかりとした計画が必要です。事前に登山届を作っておくか、登山計画書を作成しましょう。

雪山装備の確認

これ、メチャメチャ大事です! 自分だけがちゃんとした物を揃えていてもダメ。パーティー全体が揃っていないといけません。

事前に装備リストを作成

対象となる山の標高や地理的位置などを考えて、必要となる装備を考えます。迷ったら重たくなったとしても、ワンランク上の装備を持っていくことを勧めます。3月以降の残雪期登山だと、欲しい雪山の道具が品切れになっていることも多いです。早めの準備が必要になってきます。

装備が足りない人は一緒に行かない

事前に装備リストを作ったのに、当日になって「そこまで要らないと思った」なんて言い、持ってこないメンバーがいたりします。出発前に重要な装備は実際に持っているかお互いに確認しあうべきです。装備で言うことを聞かないということは、他のことも言うことを聞かない可能性大。心を鬼にして一緒に登るのはやめましょう。

以前10本爪以上のアイゼンを指定していたのに、チェーンスパイクを出してきた方がいました。そして、チェーンスパイクには10本以上爪があると言い張る。。。速攻で顧客名簿から削除です(^_^;)

装備の使い方を確認&練習しておく

登山装備は持っているだけではダメで、使いこなせないといけません。買って満足しないように!
登山の前に使い方をしっかりと予習しておきましょう。アイゼンの装着、ビーコンの使い方、GPSの使い方などなど。

事前のトレーニング

体力トレーニング

雪山は夏山よりも荷物が増えます。ウェアを多く着るので、動きにくいです。雪の上を歩くので疲れます。

という事で、無積雪期の登山よりも体力が大幅に必要になります。しっかりと事前にトレーニングをして臨まないと、楽しい登山になりませんよ。

ホワイトアウトナビゲーションの作成

雪山では地図読みの技術が無積雪期以上に必要になります。地図が読めないのに雪山に入ってはいけません!特に登山者が多くないエリアではホワイトアウトナビゲーションの技術が必要です。GPSに頼らない山歩きができるようになって下さい。

夏山(無積雪期)の登山での安全管理がきちんとできていない登山者は、雪山には手を出さないように!
どうしても行きたい場合は、しっかりとした経験者、ガイド登山、ツアーなどで登ってみましょう。

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