ガイドが教える槍ヶ岳の登り方

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登山を始めたばかりの頃、北アルプスの槍ヶ岳に登りたいと思ったことをはっきりと覚えています。今も毎年のように案内する槍ヶ岳は、登山者の憧れの山でもあります。ネットでは初心者でも登れますか?系の投稿や、初心者だけど登ってみたのような記事が目立つので、客観的に判断できる記事を書いてみたいと思います。そのコースを一度しか歩いていない人は、日記は書けますが、客観的なことは書けませんからね。

槍ヶ岳の登り方

槍ヶ岳とは

北アルプスのシンボルといえば槍ヶ岳(3180m)で日本5位の標高です。氷河に削られた、その尖った形から、日本のマッターホルンとも呼ばれています。どこから見てもわかる急峻な岩の山で、どう考えても初心者向けの山ではありません。普段登山をしない人の憧れは「富士山」登山が好きな人のあこがれの山は「槍ヶ岳」とも言われます。

槍ヶ岳

槍ヶ岳山頂(3180m)はハートの形

想像できると思いますが、広くありません。
そして、どこでも落ちれば死ぬような絶壁の上にあります。
混雑状況によって、譲り合って下さい。

意外なことに、山頂はハート♥の形をしています(^^)

槍ヶ岳の登山コース

多くの登山コースが槍ヶ岳に伸びており、どこから歩くかで体力度・難易度が大きく異なります。

技術的に簡単な順でコースをあげてみます

上高地から槍沢を経て槍ヶ岳
上高地…明神…徳沢…横尾…槍沢…槍ヶ岳

新穂高温泉から槍平を経て槍ヶ岳
新穂高温泉…右俣谷…槍平…飛騨沢…槍ヶ岳

新穂高温泉から双六岳と西鎌尾根を経て槍ヶ岳
新穂高温泉…左股谷…鏡平…双六小屋…西鎌尾根…槍ヶ岳

上高地から氷河公園と南岳を経て槍ヶ岳
上高地…明神…徳沢…横尾…槍沢…氷河公園…南岳…槍ヶ岳

中房温泉から東鎌尾根を経て槍ヶ岳
中房温泉…燕山荘…大天井岳…西岳…東鎌尾根…槍ヶ岳

北鎌尾根から槍ヶ岳
バリエーションコース。ネットだけで情報を探すようなコースではありません!

体力的、技術的に最も容易な上高地から槍沢を経て槍ヶ岳へ登るコースを紹介します。

槍ヶ岳が登山者に人気の理由

どこからでも山頂がわかるはっきりとした山の形。スリルある岩場が山頂付近に適度にあり、絶妙な達成感を得られます。高度感のある狭い山頂は、登山者を惹きつけます。
槍ヶ岳のハシゴ

北アルプスの他の山域と比較して、高山植物が特に多いわけでも、山小屋が特に良いわけでもありません。北アルプスはどこでも素晴らしいです(^^)

槍ヶ岳は初心者でも登れる山なのか?

私がよく言う言葉なのですが
「登れることと、安全に楽しく登れることは違う!」

楽しくゆとりをもって山に登るには、日頃のトレーニングが大切です。
登山道具も使い慣れておくことが大切です。

コンディションが良ければ、初心者でも槍ヶ岳に登ることはできるでしょう、しかし、楽しく安全に登れているかは疑問です。
運が良かったので登れた!なんて言う登山者にならないようにしましょう。

どうせ登るなら楽しく登ってほしいので、きちんと経験を積んで準備して下さい。

槍ヶ岳のおすすめの登山コース紹介

上高地から槍ヶ岳を目指す、おすすめのコースを紹介します。
3日目は往路を戻ってもいいですが、違う道のほうが楽しいので。

1日目 上高地(1500m)…明神…徳沢…横尾山荘(1620m) 横尾山荘
2日目  …槍澤ロッジ…槍沢…ヒュッテ大槍…槍ヶ岳山荘…槍ヶ岳(3180m)…槍ヶ岳山荘(3020m) 槍ヶ岳山荘
3日目 …大喰岳…飛騨乗越…槍平小屋…新穂高温泉(1090m)  

上高地から横尾山荘

この日の歩行距離は9kmで所要時間は3時間になります。
全てが広いなだらかな林道歩きで、登山というよりはハイキングに近い感じです。

上高地

スタートは観光地としても知られる上高地(1500m)

上高地

梓川の流れが美しいです梓川

1時間ほどで明神池のある明神館明神館

さらに1時間で設備の良い徳沢園と徳沢ロッジのある徳沢
ここで宿泊するのもおすすめですが、今回はもう少し奥の横尾山荘を目指します。
徳澤

横尾山荘

さらに1時間で横尾山荘
立派なお風呂があり、手ぬぐいも貰えます(^^)

宿泊+夕食+朝食+弁当で11,000円
部屋は8人の男女別相部屋が基本
予約開始は1ヶ月前からです。
TEL 0263-95-2421
横尾山荘

山荘は清潔で下界の旅館と遜色なしです!
横尾山荘 食堂

食事も美味しい(^^)
横尾山荘 食事

明神・徳沢・横尾の各小屋は、上高地に近いこともあり、完全予約制。
定員を超えると、宿泊できません。当日の飛び込み宿泊はリスクが高いです。

横尾山荘から槍ヶ岳

2日目が槍ヶ岳登山のメイン
7.5km・7時間半が歩行の目安になります。目指せ槍ヶ岳

最初のポイントは槍澤ロッジ。所要時間は2時間弱ほど。
ここまでの登りはまだ緩やか。
槍澤ロッジ

槍沢へ入ってきました。まだ槍ヶ岳は見えません!
この先から傾斜がきつくなります。槍沢
槍ヶ岳が見えてきました! 槍沢ロッジから2時間ほどになります。
この先が槍ヶ岳登山の頑張りどころですよ!

槍ヶ岳が見えたら元気になる??

天気が悪い場合はそのまま槍沢を登りきり、槍ヶ岳山荘へ。2時間弱。
良いときはヒュッテ大槍へ向いましょう。展望が違います。

ヒュッテ大槍からは素晴らしい展望です。

そして、1時間ほど稜線を歩くことができます。
谷と尾根では眺めは全然違いますからね!東鎌尾根

槍ヶ岳山荘へはヒュッテ大槍経由で2時間程度です。
槍ヶ岳山荘

槍ヶ岳

憧れの槍ヶ岳は、ここから往復1時間ですが。混雑具合に大きく左右されます。
登頂時はヘルメットを着用します。ヘルメットは山荘でレンタルできます。

山頂往復は混雑すると2時間はかかります。
ザックのない空身の登山者が多いですが、混雑して時間がかかりそうな場合は、最低でもレインウェアなどを持参することを強く勧めます。2時間あれば天候は大きく変わるし、渋滞で運動量が落ちれば、寒くなることも十分考えられます。
写真の右下の登山者は、悪い見本のようなもので、ヘルメットなし、ザックなし、雨具なし。
近年は中高年より若者のほうが平均すれば装備はしっかりしています。
槍ヶ岳行列

登山道はしっかりと整備されていますので、三点支持が出来れば問題ありません。
慎重にいけばそれほど恐れることはないでしょう。
しかし、岩場が初めての人は必ず経験者と登って下さい。登り方のアドバイスを貰いましょう。石を落とし、人に当たれば、損害賠償ものの事故になります。

基本的に槍ヶ岳山荘から槍ヶ岳の登山道は登りと下りの道に別れています。
しかし、僅かですが登りと下りが同じ道のポイントがあり、そこが混雑します。
譲り合って登ることが大切なのですが、待ち時間が長くなるとみんなイライラします。。。
槍ヶ岳のハシゴ

雨の日や岩場が濡れている状態では、難易度が大きく跳ね上がります。
かなりの経験があるか、ガイドもしくはそれに匹敵する経験者にフォローして貰える場合のみ登頂可能です。雨の日は登山者が少ないので、万一の時の発見も遅れるし、ヘリコプター救助も期待できません。雨の槍ヶ岳

これを登りきれば山頂です!
ハシゴやクサリは必ず一人ずつ。いくら長くて待ち時間が増えても一人ずつ。

槍ヶ岳山頂直下

山頂では絶景を楽しんで下さい!
私の槍ヶ岳

下りの方が事故は多いです。
気を抜かないで慎重に!

下山後のアルコールやジュースははこの世で一番美味しい飲み物かもしれません(^^)槍ヶ岳とビール

でも飲み過ぎには注意しましょう。。。
山では酒酔いしやすいです。

槍ヶ岳山荘

宿泊+夕食+朝食+弁当で10,800円
定員は650名で色々なタイプの部屋があります。

5名以上の場合は要予約
090-2641-1911

仕方ないかもしれませんが、シーズン中は混みます。典型的な、北アルプスの山小屋。もちろんお風呂はありません。男女相部屋になります。食事も回転制度でゆっくりはできません。それでも、富士山の小屋とは比較にならないくらい快適ですよ。

食堂
槍ヶ岳山荘 食堂

食事
ご飯はお変わり自由!お腹いっぱい食べて下さい。
槍ヶ岳山荘 食事

星空
流れ星もきっと見られると思います。
槍ヶ岳と星空

槍ヶ岳から新穂高温泉

この下山コースのおすすめは、夜明け前の大喰岳。
大喰岳の夜明け

槍ヶ岳の山頂は狭いので大喰岳がおすすめ!
槍ヶ岳山荘から30分くらいです。

穂高の眺めもちょっと近くなります。

太陽が上がれば、新穂高温泉へ向いましょう。

影槍も楽しめます!

特に危険な箇所はありませんが、雨が降った場合は要注意。
沢が増水し、危険です。雨が強い予報になれば、上高地に下山したほうが安全です。

晴れていればなんでもないんですがね

新穂高温泉

槍ヶ岳山荘から大喰岳を経由して7時間半ほどになります。
最後は疲れますが、上高地と同じような林道です。

槍ヶ岳に必要な登山装備

特別な装備は必要ないですが、それなりの荷物になります。
最近の傾向としてトレランシューズで登山をする人が増えていますが、底が柔らかいので荷物を背負う場合は不向き。岩場では疲れます。ヘルメットの持参を勧めます。
傷害保険の加入も忘れずに!

登山靴 3シーズン以上のモデル。底が固くしっかりしたもの。トレランシューズ不可
レインウェア 防水透湿性の登山用を。ビニール、ポンチョは不可。
ザック 全てが入って、余裕のあるもの。
サブザック 槍ヶ岳登頂時にあれば重宝します。
ヘルメット 槍ヶ岳山荘でもレンタルできますが、個人で持参することをお勧めします。
下着 綿製品は乾きが遅いので不可。
中間着 綿製品は乾きが遅いので不可。
防寒着 フリースや化繊の防寒着。ダウンは濡れると保温力が激減します。
ソフトシェル 防風性が高く、透湿性が高いのであると重宝します。
靴下 綿製品は乾きが遅いので不可。予備も持参すること。
パンツ 長ズボンか短パン&タイツ 綿製品は乾きが遅いので不可。
グローブ 軍手不可。薄手とレインの2種類が理想的。
帽子 紫外線が強いので、あったほうがよい。
水筒 1〜2L程度。ナルゲンやサーモスがおすすめ
ヘッドランプ 登山には必ず必要。
ストック 上手に使えれば、膝への負担が減る。
レスキューシート 万一のためにザックに入れておきたい。
ファーストエイド 薬は自分自身で準備。
備品 地図・コンパス・防水袋・時計・健康保険証・現金・トイレットペーパー
日焼け止め・携帯電話
カメラ 防水タイプのものがおすすめ。
食料 夏なので糖分のだけではなく、塩分も補給できるもの。非常食も持参。

しっかり準備し、装備を揃え、経験を積んで槍ヶ岳にチャレンジしてみて下さい。

初心者が無理して難しい山にチャレンジすることは、決して誇れることではありませんよ。

20代から80代まで幅広い顧客に、登山やアウトドアスポーツを案内。日本百名山はもちろん、海外経験も50ヵ国、130回を越える。地理学を専攻していたので、地図や自然にも詳しい。登山専門旅行会社の元大阪支店長。山のガイドだけではなく、登山旅行のプランニングも得意。最近は離島案内、カヤック、サイクリングなどのアウトドア遊びの依頼が急増中。
詳しいプロフィール

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