登山の安全の為にも必ず持っておきたい、カラビナとスリング(シュリンゲ)
いざお店に行くといろいろな種類(長さ・幅・素材)があり、何をどう選んでいいのかわからないと思います。
スリングとシュリンゲ、人によって呼び方が違ったりしますが、同じものです。
日本の登山用語はドイツ語がルーツになっている物が多くあります。
英語圏に行くとあれ??って思うことも。
例えば
ザイルとロープ
ザックとリュック
アイゼンとクランポン
などなど。
以下、表記はスリングで統一します。
スリングとは
スリングとは重いものをぶら下げたりする時に使う、つり策という意味です。
元々は強度のあるロープを輪っかにしたものですが、店頭で販売しているものは、テープを編んであるものです。ロープで自作もできますが、それほど高いものではないので、強度の保証されたスリングを専門店で購入しましょう。
スリングの使い方
スリングを持っていても、スリングだけでできることは僅かです。
スリングはカラビナと併せて使うことで、その役割を果たすことができます。
できればロープも。
登山用スリングの種類と選び方
私が持っているスリングもいろいろあります。長さは4種類。
30cm
60cm
120cm
150cm
スリングの強度と安全基準
カラビナの種類と選び方でも触れましたが
店頭で販売しているものは、必ずUIAA基準に適合し、CEのマークが入っています。
そして、どのスリングも22kN(約2.2トン)の強度があります。
スリングの選び方
用途によって、それぞれのサイズがあるのですが、
このサイトではクライミングではなく、安全登山のための情報を発信していますので、普通の登山で持っていく場合を想定します。
おすすめは120cmか150cmを2本です。
この2本で簡易ハーネスを作ることができます。
但し、体の大きい方は、120cmよりも150cmの方がいいと思います。
写真のように、120cmだと非常にタイトになります。
更に60cmが2本あれば文句なし!
スリングの幅は違うのになぜ強度は同じ?
上記のスリングで幅が違うのに、強度が同じだったことに違和感はありませんでしたか?
幅の違いとは素材や縫い方の違いになります。もちろん、細いほうが強度のある素材を使っていることになります。
ダイニーマとナイロン
スリングの素材にはダイニーマとナイロンの2種類があります。
ダイニーマ
非常に強度のある素材。同重量であればナイロンの5倍程度の強度があるそうです。吸水しないので、水濡れによる強度低下がありません。しかし、摩擦が小さく滑りやすいし、140度で融解します。ダイニーマを使うことで、スリングを細く、軽量化できます。ダイニーマ製は高価になります。ダイニーマの割合の高いスリングは白色になります。その為、幅8mmの製品は白の割合が高くなります。
ナイロン
一般的な素材。吸水性があり、強度を低下させます。濡れた状態では最大25%程度の強度低下がありえるようです。220度で融解します。やや大きく重くなりますが、柔らかく、使いやすいかな。
おすすめはナイロン。初心者はダイニーマよりもナイロンのほうが使いやすいでしょう。
理由 簡易ハーネスを装着した場合、細いダイニーマのスリングは肌に食い込みます。とっても痛いので、幅のあるナイロンの方はがおすすめ。さらに安い!
クライミングに使う場合は、ダイニーマの摩擦の少なさや融解温度の低さを理解した上で使用しましょう。冬山ではダイニーマは凍らないし、沢では吸水せず、強度を保ち軽量化できるのでメリットも多いです。
スリングの手入れと寿命
マムートのサイトには下記のように書かれています。参考になりますので、引用します。
岩場でハードな一日を過ごすと、スリングおよびウェビングは土や埃に覆われます。 スリングの品質と安全性を維持するため、定期的に手入れをする必要があります。汚れたスリングをお湯に浸して石鹸と少量の中性洗剤で手洗いするか、洗濯機のソフトサイクルで最高30℃のぬるま湯で洗います。きれいな水ですすぎます。陰干しします。乾燥した涼しい暗所に、袋から出して、スリングを保管してください。
使用頻度 およその寿命 全く未使用 最長10年 まれに使用: 2年に1回 7年まで 時々使用: 月に一度 5年まで 定期的に使用: 1ヶ月に数回 3年まで 頻繁に使用: 毎週 1年まで 常に使用: ほとんど毎日 1年以下
クライミングをしたい方は、ネットじゃなく山岳会やガイド講習会などで学んで下さい。これは、通常の登山でのサポートとして、スリングを使う前提の記事です。