西穂高岳縦走 ジャンダルムを経て奥穂高岳へ 

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日帰りで、どこまで行けるのかチャレンジ山行をしてみました。

行き先は新穂高温泉から西穂高岳、そしてジャンダルム、奥穂高岳。熟達者以外は進入禁止の難所です!

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アルプス登山の最高難易度を誇る縦走路

西穂高岳からジャンダルムを越えて奥穂高岳や前穂高岳へ至る縦走路は、アルプスでの最高難易度を誇ります。豊富な経験を積み、トレーニングを重ね、好天の日にチャレンジする、そういう山です。安易にチャレンジするのは絶対に避けて下さい。自分自身が危険なだけでなく、周辺の登山者も危険に巻き込むことになります。

西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳縦走登山の日程

普段からしっかりトレーニングしていないと不可能な日程です。
かなりの健脚で技術がないと無理でしょう。

自宅(夕方)=マイカー=新穂高温泉
新穂高温泉…鍋平高原…西穂平…旧ボッカ道…西穂山荘…西穂独標…ピラミッドピーク…西穂高岳(2908m)…天狗ノ頭…ジャンダルム(3163m)…奥穂高岳(3190m)…穂高岳山荘…白出沢…新穂高温泉=マイカー=自宅

 

奈良県の自宅から新穂高温泉までは休憩含め約5時間です。

新穂高ロープウェイを使った場合、西穂高口から新穂高温泉までのコースタイムが17時間なので、新穂高温泉から登ると21時間〜22時間がコースタイムかと思われます。

 

念の為に書きますが、これか紹介する歩き方は上級者の更に上、熟達者向きです。だた、何をもって熟達者というのか、きちんとした基準はないですが・・・。
私が考えるにセルフレスキューファーストエイドビバーク地図読みなどをこなせ、最大コースタイムの半分くらいで歩ける人かな。

あと、初めてのコースでは早歩きはしないほうがいい、コースを熟知してやるべき。単独行ならなおさら。

西穂山荘のHPにはこう書かれています。

北アルプスの縦走路の中でも一、二を争うといわれる難コースである。充分な登山経験を積み、技術、体力、判断力を身につけた人でなければ行くべきではない。近年、安易な気持ちでこのルートに挑む登山者が増加し、大きな事故が続発している。すぐれたリーダーか、プロガイドを伴うことをお薦めする。
難コースと呼ばれる所以は、山行時間が長い・エスケープルートが天狗のコルから岳沢へ下りるルートだけである・浮石が多い・天狗岳附近の逆層スラブは濡れていると滑りやすい・両サイドにスッパリ切れ落ちたヤセ尾根が多く滑落すれば致命傷等、数えあげればきりがない。難しいが故に縦走し終えた時の達成感は他に比し難いものがあり、“アルピニスト憧れの縦走路”といわれるのも頷けるが、何よりも安全が第一。天候・体調が悪ければ出直すのがエキスパートと呼ばれるに相応しい登山者だ。また来れば良い。

新穂高温泉から西穂山荘へ

新穂高温泉の無料駐車場に着いたのは22:00頃。奈良の自宅からは5時間ほどかかってしまいます。シートを倒して仮眠します。完全な夏山シースンになれば、この駐車場の確保が大変です。

私は基本的にネットでは所要時間を記入しません、どこの誰かわからない人の公開している記録時間は参考にしません。ネットだけの情報収集はやめたほうがいい。ましてやネットの質問掲示板コーナーで、どこの誰かわからない人に山の難易度など相談するなどありえない。あくまでもこんな人がいるるんだなぁ〜、くらいにしましょう。

まだ暗いうちに新穂高温泉を出発
まずはロープウェイの鍋平高原駅へ歩いて登ります。新穂高のロープウェイが早朝運行してくれたらいいけど、それがないので、歩くしかない。

鍋平高原駅から西穂平そして、1717m付近までは林道歩き。
のはずでした・・・。

しかし、西穂平を過ぎると・・・メッチャ荒れてるやん(-_-) 林道はどこ??
旧ボッカ道が荒れているのは知っていたが、今年度のエアリアマップとスタート地点がぜんぜん違う。
時間計算が狂う・・・。林道表記の場所もヤブ漕ぎ。

帰宅して、山と高原地図の昭文社へ報告。
3年以上ルートの確認を怠っていたと謝罪のメールが届きました・・・。
実際は3年以上やってないと推測しましたが・・・。
間違いは仕方ないが、踏破調査していないとはガッカリです。
売っているのだから、せめて隔年では踏破調査をして欲しい。
多くの人が歩く稜線の調査なんていらんから、際どいところをしっかりやってほしい。

西穂平から先は
レインウェアのパンツとスパッツを装着
登山道は極めてわかりにくい。
新穂高ボッカ道

初めて&ヘッドランプでこの旧ボッカ道は相当の難易度です。熟達者向きは正解!
この状態でルートファインディングしながら歩きます。
足元は見えないし、滑るし、前夜からの雨で上半身まで濡れます。
ゴアのトレランシューズ&スパッツをしていても足元グショグショ(*_*)

際どいがけ崩れの後

明るくなって、やっとこさロープウェイの西穂高口からの道に合流。
このヤブから出てきました(^_^;)
完璧にルートファインディングできる人以外は、このコースは歩かないほうがいいでしょう。
新穂高ボッカ道入口

あぁ、なんて快適な普通の道(^^)
藪漕ぎは強烈なストレスでした。

想定よりも遅れて、西穂山荘へ。やや消耗した。。。

水を西穂山荘で買おうとしたら
山荘の人「宿泊者は無料ですよ」
沖本「今朝、新穂高温泉からから上がってきたので」
山荘の人「えっっっ!」
というわけで、水2リットル補給

宿泊者は西穂高岳へ出発済み。先を急ぎます。
西穂山荘
霞沢岳が見えている。

西穂山荘から西穂高岳登山

このコースは、普通の方なら、西穂山荘に泊まり出発です。
先は長いので、急ぎます。
焼岳と乗鞍岳が西穂山荘の背後に。
西穂山荘と焼岳

丸山 山頂という雰囲気はないけど、冬の時期はよくここまで案内しました。
ロープウェイがあるので、ここまでは冬もノースキルで来られます。
西穂丸山

どんどん展望がひらけてくる!
上高地

平らな山頂が西穂独標、尖っているのがピラミッドピーク

西穂独標の最後の登りから、岩場が始まります。
独標

西穂独標

左からピラミッドピーク・西穂高岳・間ノ岳・天狗ノ頭・ジャンダルム

この先は岩稜帯。ヘルメットを装着
ここまでは初心者OKですが、この先は厳禁!

ピラミッドピーク

やや風が強い。でも旧ボッカ道で濡れてしまったのに、寒くない。
普通のシャツなら震え上がるはずなのに。。。
ミレーのドライナミックは素晴らしい!
さらにファイントラックの靴下重ね合わせもいい!
濡れているのに濡れていないような不思議な感覚。
ウェアの進化は止まらないなぁ。

調子も良くなり、快調にピラミッドピークへ
ピラミッドピーク

さらに
幾つもの少ピークを越えて

西穂高岳 2909m


梅雨の晴れ間の爽快な登山!
荷物が軽いと、岩場での身軽さは想像以上
コースタイムと乖離した時間で歩きました。

先行していた、全ての登山者を追い抜いて西穂高岳へ!
最高に気持ちいいし、疲労度がない!

荷物が軽いというアドバンテージは強烈です!

仕事でもプライベートでも、連れて行く山登りばかりしているので
自分のペースで歩けるのは嬉しい(^^)
西穂高岳

途中で抜いた、ガイド登山も到着。殆どはここで引き返し。
この先はジャンダルムへの道。普通は日帰りなんてできないので、荷物が増えて難易度は更に増します。

槍ヶ岳も見えます!

西穂高岳からジャンダルム

この先が今回のルートの核心部
西穂高岳を振り返る

少し見下ろすと断崖絶壁が続く
感覚が麻痺しちゃう(^^)

上高地を見下ろす

ジャンダルム・・・遠い
岩稜帯のアップダウンは、なかなか疲れます。

高山植物も時々花をつけている
奥は大好きな山、黒部五郎岳!

間ノ岳へ!

次の大きなピークは天狗ノ頭

脆そうな岩だらけ。
濡れてたら危なそうだが、濡れてる時にこんなところに来ちゃダメ!

トレランシューズなので、駆け上がるように進む。しかし、この頃からトレランシューズのデメリットを顕著に感じるようになります。トレランシューズは捻挫予防のためか、ソールが下に行くほど広がっているからです。登山靴では引っかからないソールのサイドが、トレランシューズでは岩に引っかかります。危ないです。

トレランシューズと登山靴を考える
最近はトレイルランニングシューズ(トレランシューズ)で登山をしている人が増えてきました。時に登山靴不要論を主張する人もいたりします。ホントにトレランシューズは登山靴の代わりになるのでしょうか? なるとしたらどこまでの山? 真面目に考えてみました。

逆走スラブへ到着
逆層スラブ

ジャンダルム、遠し! でも楽しそう!

前穂高岳も見えてきました

岩場好きにはたまらないなぁ(^^)

天狗のコルへ
クサリあるけど、使わなくてもいける。

一応、エスケープできるようですが、岳沢への道は歩いたことありません。
道はかなり悪いので、このエスケープルートがあることを前提に予定を立てないようにしましょう。
天狗のコル


あの山の奥がジャンダルム

ジャンダルムへの分岐
奥穂高に直行できるけど、ジャンダルムは登らなきゃ!
ルートはやや不明瞭です
道を間違えないように。

あせらないで、一息ついて良く周辺を確認してから登りましょう。
ここに間違えそうなポイントの写真をアップしてもいいですが、
それを探しながら歩くのが、こういう山の楽しみです(^^)

ジャンダルム 3163m

穂高の衛兵と呼ばれるジャンダルム
この山頂の看板、好きです! 誰が持ってきたのかな??
ジャンダルム山頂
西穂高方面

意外と遠いジャンダルムから奥穂高岳
ジャンダルムからの奥穂高岳

槍まで行こうかな??

ジャンダルムから奥穂高岳

ジャンダルムから奥穂への道
ジャンダルムのこの姿、好きです。奥穂より少し標高低いけど、難易度は高い!!
この山が百名山じゃなくてよかった(^^)
ガイドするのが大変です(^_^;)
ジャンダルム

槍ヶ岳が近くなってきた!

ジャンダルムから奥穂高岳は風が強いと危ない

馬ノ背 難所です
ジャンダルム 馬ノ背

奥穂に到着!!まだ10時台(^^)
旧ボッカ道で時間食ったので、想定よりはやや遅かったが。

よく見かける、奥穂からの景色
山頂でのんびりしました!
次は槍から前穂高日帰りも楽しそうだな!
奥穂高岳

ジャンダルム!

上高地

奥穂高岳〜新穂高温泉

下山です。
まだ午前中なので、北穂を越えて、大キレット越えて槍に行ってもいいと思ったけど、帰りの運転もあるので、白出沢から下りよう。
後で思えば、前穂高岳へ行って、上高地へ下山しても良かったな〜。

こんなに天気のいい夏山の日曜日なのに
静寂の穂高岳山荘
穂高岳山荘

涸沢のテントも数張りのみ

小屋のご主人、今田さんと少しお話。
もらったコーラは最高の味!

来週は激混みになるかな?一休みしている穂高岳山荘

白出沢から新穂高温泉へ下山し、風呂無しで&運転5時間で夜には自宅へ。翌日は仕事ですから(笑)

ちなみに白出沢は悪路です。時間に余裕のある方は、涸沢からの下山を勧めます。
白出沢

ライト&ファスト・ファストパッキングをやってみて感じたこと

・荷物が少ないと、岩場はとても歩きやすい。
・トレランシューズは岩場は☓
荷物が軽いので、グリップ不足は感じなかったが、登山靴と作りが違うので、ソールのサイドが岩に引っかかる。傾斜のキツイ下りは足首のホールド不足。登りでは登山靴だと多少スピードは落ちると思うけど、安全面からはやはり登山靴
・ザックは15リットルで十分 ただし、装備は吟味すること。

西穂高岳から奥穂高岳への登山コースについて

中途半端な自称上級者が一番事故を起こします。登山日も西穂高岳で山岳会の方の死亡事故がありました。コース上はどこでも転倒すれば死ぬ可能性大。私の西穂山荘から穂高岳山荘への所要時間は5時間ほどでした。足やバランスに自信があっても、登山者が多いと離合に時間が掛かるし、複数で行くともっともっと時間がかかります。午後は天候が不安定になり、雷雲が発生すると逃げ場はありません。しっかりと自分の実力を把握し、天候を確認し、無理しない計画を立てて入山して下さい。

  • 自らでリスク管理できる登山者以外は入らないこと
  • 天候の悪い時は入らないこと
  • 可能な限り単独行を避けること
  • 自分よりレベルの低い登山者を連れて行ってあげるなどと考えないこと
  • 可能な限り軽量化し、素早く通過すること

一旦事故が起きれば、重大な事故となります。ヘリ以外のレスキューは期待できません。
まずは南岳~涸沢岳をスムーズにコースタイム以内で歩ききる実力をつけましょう。

下の図は歩いたコースです。
ロープーウェイを使わないと、難易度は跳ね上がりますよ!

西穂高岳~ジャンダルム~奥穂高岳縦走 おすすめの日程

新穂高ロープウェイ-西穂高口…西穂山荘 西穂山荘
…西穂独標…ピラミッドピーク…西穂高岳…ジャンダルム…奥穂高岳…穂高岳山荘 穂高岳山荘
…涸沢…横尾…上高地

自分を過信せず、慎重に、安全な登山を!

持っていった超軽量化登山の装備

ザックに入れたもの
・レインウェア ファイントラック/エバーブレースフォトン
・ソフトシェル ファイントラック/ニューモラップフーディー
・ツェルト アライテント 一人用、万一の時の準備は絶対に必要
・グローブ マムート
・ヘッドランプ ペツル
・ファーストエイド 最低限は持参
・スパッツ イスカ 天気予報とルートのヤブで足元が濡れると判断。通常なら持参せず
・トイレットペーパー
・水筒2リットル モンベル 他にペットボトル2本
・ナノタオル ファイントラック
・エアリアマップ 昭文社
・カメラ オリンパス/TG3 & リコー/THETAs
・GPS iPhone5+タフケース
・アミノバイタルGOLD 5本
・ザック ミレー/ベノム15

わずか15リットルの容量に収まりました。

北アルプスの岩稜帯はヘルメット必須なのでヘルメットを装着

・アンダーウェア ミレー/ドライナミック
見た目以外は、最強の下着と断言できますね(^^)

・ベース ファイントラック/ドラウトフォース
強度・速乾性とも申し分なし

・パンツ マムート・ポルドイ3/4
お気に入り!

・ソックス ファイントラックの重ね履き

・シューズ サロモン・XA PRO 3D GTX
登山靴じゃありません、トレランシューズ

以上

さらに行動食と非常食を追加。

 

大キレットのライト&ファスト/ファストパッキングの記事はこちら

大キレット縦走 大喰岳から北穂高岳まで日帰り登山
天気予報がよかったので、トレーニングを兼ねて大キレットを日帰りで歩いてきました。新穂高温泉〜飛騨乗越〜大キレット〜北穂高岳〜新穂高温泉というコース。ガイドが個人で山に登る時はどんな感じなのか? ファストパッキング/ライトアンドファスト時の装備も紹介します。

 

ホームページにライト&ファスト登山の記事を書きました。