一度は登ってみたい、日本最高峰の富士山。いわゆる富士登山。世界的に見ても、こんなに登山者が多い山を私は知りません。混雑し、子供には楽しみを見出しにくい山です。安易に山頂を目指すと、お子さんは登山が嫌いになっちゃうかもしれません。私が子供と一緒に親子で富士山へ登った経験をもとに、富士登山のコツや混雑を避けたおすすめの歩き方などをアドバイスしたいと思います。
子供と一緒に富士山へ登る 7つのポイント
富士登山に必要な服と装備
いくら体力があっても、天気が良さそうでも、絶対に必要な登山の装備。日本で一番高い山に登るにはきちんと準備をしないといけません。子供は新しい服を買ってもすぐにあわなくなるので、レンタルもおすすめです。
レインウェア
ポンチョではなく、ジャケットとズボンに分かれるセパレートタイプのが必要です。できれば、防水透湿性素材のものがいいですが、子供は成長が早く、何回も使わない可能性があるので、最低限のものでいいでしょう。天気予報に関係なく必ず用意しましょう。但し、ビニールタイプのものは蒸れるのでダメです。
防寒着と速乾性の服
山頂付近では冷えるので、フリースなどの防寒着が必要。登山用の高いものでなくてもいいので、持参して下さい。子供の体は冷えやすいです。手袋も必要です。綿のシャツは濡れると乾かないので不可。乾きやすい服を準備して下さい。
登山靴
富士山は砂利道と岩場がほとんどなので、底が固く、ハイカットの靴がおすすめ。ただ、子供は足首が柔軟で怪我をしにくいので、運動神経のいい子だったら運動靴でいいと思います。 大人はトレッキングシューズか登山靴が必要。
水筒
山小屋でも飲料は購入できますので、お金を持っていけば必要以上に用意する必要はありません。こまめな水分補給は高山病を防ぎます。お金を節約したい方は、麓から持って行きましょう。上になるほど高くなります。
ストック
手を使うポイントが少ない富士山では、ストックはあったほうがいいでしょう。楽に歩けます。
富士登山のトレーニング
登山として考えると富士山は決して難しいとは思いませんが、運動を全くしない人が登れる山ではありません。たとえ登れたとしても、楽しくは登れないでしょう。登れるということと、楽しく登れるは全く別のことです。
少なくとも数回は親子で登山をして準備して下さい。更に、可能であれば富士山に持っていく装備を事前に使ってみてください。
よく見かけるのは、親より子供が元気で、疲れた親が子供に当たるシーン・・・。親は絶対にトレーニングをきちんとして、余裕を持ち子供に接して下さい。近くで見ていて辛くなります。いくらランニングや水泳、ジムに通っても、登山の練習はできません。山の練習は山でしましょう。
富士登山のコース選び
富士山には、いくつもコースが有ります。最も代表的なのが、山梨県側の吉田口コースです。ツアーに参加すれば、大半が吉田口からになります。しかし、私は富士宮口コースをおすすめします。理由は簡単、吉田口コースは登山者が多すぎるからです。登山中は常に渋滞で、山を楽しめるという要素は殆どありません。
山小屋は大混雑、夜中もずっと登山者で溢れて、ゆっくり眠ることなど到底無理。トイレも行列。これでは、子供は本来の力を出すことはできないし、親も疲れてしまうでしょう。
そこで、私は富士宮コースをすすめます。登山者は吉田口よりずっと少なく、行列になるポイントはほとんどありません。また、山頂の剣ヶ峰に近く、日本最高地点に登頂できる確率はぐっと上がります。子供のペースで歩くことができます。欠点は登りと下りが同じ道ということ。須走や御殿場は体力がいるので、避けたほうがいいでしょう。
どの山小屋に泊まるか
子供にとって富士山は簡単な山ではありません。大人だけならともかく、子供の日帰り登山は厳しいと思います。富士山ではコースの選択と山小屋の選択が重要。大きな声でいえませんが、富士山の山小屋は世界で最も劣悪な山岳宿泊施設だと断言できます。あれだけ多くの人を狭いスペースに寝かせ、貧素な食事、汚いトイレであの値段はありえません。山頂に近づくほど、施設はさらに悪くなります。ヨーロッパ、北米の山小屋などと比較になるはずもなく、ネパールや東南アジアの山々よりずっと悪い。逆を言えば、富士山の山小屋を知っていると、世界中どこに行っても快適です。個人的には入山制限を課すべきと考えますが、富士山自体が利権の塊になり、山梨と静岡で対立があったりするくらいなので、無理でしょう。人だらけで、子供が登山嫌いにならないように、私は六合目の雲海荘に宿泊しました。この小屋はゆったりしていて、乾燥した羽布団でゆっくり寝ることができます。オイルサーディンの缶詰の中のような、山小屋では寝かせたくなかった。
高山病を防ぐ6つのこと
登山者が富士山を断念する理由はいくつかありますが、高山病が大きな理由であることは間違いありません。体力不足、装備不足、そして高山病。高山病だけは事前に練習や順応ができないので、その場での対応になってしまいます。高山病でへたりこんでいる登山者と対象的に元気な私の娘。
しっかり寝る
これは混雑した山小屋では、とっても難しいことですね・・・。できるだけ混雑しない小屋で宿泊したい。
ゆっくり歩く、ゆっくり行動する
元気なうちは走って登る子供もいますが、ゆっくりゆっくり体を慣らしながら登ります。遅すぎると思えるようなペースでちょうどいい!息切れしないように調整しましょう。
水分をしっかり摂る
トイレが有料だから、並ぶから、水も高いし・・・といった理由で水分補給を控えると、高山病のリスクが一気に増します。休憩のたび、喉が渇く前に水分を補給しましょう。
体を冷やさない
子供の体は大人よりもずっと冷えやすいです。大人は寒くなくても、子供の保温は常に考えておきましょう。寒くなると高山病の症状も出やすくなります。
腹式呼吸
時々深呼吸をさせて下さい。特に腹式呼吸ができれば高山病にはなりにくくなります。
酸素缶を使う
気持ちの問題でしょうが、大喜びで酸素を吸っていました!
子供はこれが富士山でやってみたかったことらしい(^^)
高山病については、この記事で詳しく書いています。
夜間登山はしない!
富士登山といえば、ご来光を見る為の夜間登山が有名です。ヘッドランプをつけて、暗い登山道を黙々と歩く。睡眠も十分足りない・・・。混雑するとマナーの悪い登山者がルートを外れて歩き、石を落とすことも。こんな状況で、子供が楽しい登山をできるわけがありません。親も子供の顔色はよくわからないし、体調の変化に気づきにくい。落石のリスクもある。と言った理由で、可能な限り夜間登山は避けた方がよいでしょう。
楽しく登る!
これが子供と登る場合に、とっても大事だと思っています。親の余裕がなくなり、殺伐とした家族登山をいっぱい見てきました。下山まで子供を楽しませてあげる努力をしましょう。お菓子やジュースもあったほうがいいだろうし、酸素を吸うことだって子供には楽しみ。ストックで引っ張ってあげれば喜ぶし、雪でだって遊びたい。これまで見たことないような景色にきっと喜んでくれると思います。褒めちぎって、やる気を出させましょう(^_^)
そして、ちゃんと歩いた後のご褒美も考えておきましょう!
実際に家族で登山した時のブログです。きっと参考になると思います。