この数年、雪山で人気を集めている、防寒テムレスを紹介します。
コスパ最強の雪山用のグローブです!
従来の雪山用オーバーグローブの欠点とは
雪山のグローブは何を使っていますか??
雪山のグローブってなかなか満足できるものがないんです。
多くのオーバーグローブは防水透湿性素材を使っていますが、実際は雪を触ると、解けて水が入ってきます。そして保水します。 そして、それは他のメーカーも似たり寄ったりです。
完全防水でない
これは仕方がないことです。複雑な生地縫製に防水透湿性素材を組み込み、縫い目にシームするなんて無理ですからね〜。でもメーカーによっては一瞬で水が入ってきます。実際の使用は氷点下で、水は基本的に氷の状態なので高い防水性は必要ないかもしれないですが。
私は、登山用のグローブを南極に持っていき、上陸までのゴムボート移動の一瞬で海水が内部に浸透してきて、呆れました(^_^;) どこが防水??? ごっついだけで普通の手袋やん。。。と
生地が保水する
上記の完全防水でないに関連しますが、表面の生地や革が保水してしまいます。
雪洞を掘った時などによく分かるのですが、どうしても解けた雪が浸水してきます。通常の登山よりも雪洞を掘ると長時間雪を触ってしまうからです。運動量が多く、発熱していると多少の湿りは許せますが、放置しておくと、そのグローブがカチカチに凍っていたりします。それは生地が保水しているからです。次に使う時は不快だし、凍傷のリスクが高まります。
価格が高い
正直高いです。20,000〜30,000円前後の価格になるものが多いです。
縫製もややこしいし、防水透湿素材も使うし、保温もいるし。。。。
数も売れないでしょうから、仕方ないのは理解していますが。
防寒テムレスとは
SHOWAグローブの防寒作業用グローブのことです。
寒冷地では除雪作業等に使われています。
完全防水&透湿性
ポリウレタンで完全防水なのに透湿性があります!
蒸れにくいので、その名も「テムレス」です。
柔らかく温かい
-60℃でも硬化せずに柔らかく使えるそうです。-20℃位までしか試したことがありませんが、もちろん大丈夫でした。
そしてボアタイプの裏起毛があり、高い保温性を確保しています。
非常に高いコストパフォーマンス
テムレスの一番の特徴はこの高いコスパにあります。
なんと1,200円前後で購入する事が出来るのです!!
雪洞やイグルー作りには欠かせない
最もテムレスの効果を感じるのが、雪洞やイグルー作り。もはやこの手袋なしでは考えられない(^^)
そこらへんのオーバーグローブでは、しばらくすると雪の水分が染み込んできます。
防寒テムレスの欠点とは
登山用に開発された物でないので、欠点はいくつかあります。仕方ありません。
コスパに免じて許しましょう。
デザイン(見た目)が悪い
どこからどう見てもよくないです(^_^;)
我慢です。値段を考えると仕方ないです。。 作業感のない黒色が販売されています。 青とどちらが好み?
匂いがキツイ
購入直後は、なかなか匂います。
寒い雪山ではあまり臭くないのですがね。。
登山用のデザインではない
見た目とは別で、オーバーグローブに必須のドローコードがありません。手首から雪も入りやすい。
防寒テムレスはビレイ時には使用してはダメ!
強烈な滑り止め加工がされているテムレスですが、それが問題となるケースがあります。それはアイスクライミングなどのビレイ時。デバイスに指が巻き込まれる危険があるらしいです。全てにおいて万能ということはないので、クライミングをする方は通常のオーバーグローブとWで持っていくようにして下さい。
新登場のTEMRES(テムレス)02 winter とは
これまでの防寒テムレスの性能はそのままに、弱点をカバーしてくれる新製品が発売されました。
作業用ではなく、登山用としてデザインされています
これまでの防寒テムレスは作業用感が半端なかったのですが、今回の新製品ではしっかりと登山用にデザインされています。防寒テムレスとの大きな違いは、カフが取り付けられたことです。
このような感じで販売されています。
最も望まれたカフの取り付け
防寒テムレスの最大の弱点は、カフがないので雪が入るリスクが高かったことです。今回、カフが取り付けられたことで、雪が入るリスクは大幅に軽減され、堂々とテムレスを雪山で使えるようになったと言えるでしょう!
※ビレイ時に巻き込まれる可能性があるのは従来のままです。万能ではありません。ロープを使う可能性がある場合は通常のオーバーグローブとWで持参して下さい。
防寒テムレスとどちらを選ぶか
当たり前ですが、従来の防寒テムレスよりも値上がりしています。。。従来の青色防寒テムレスが1200円程度、黒色は2000円程度、新製品は3500円程度。カフが着いただけで3倍弱。悩む人は悩むかもです。防寒などの性能は同じ。
私は通常の登山ではオーバーグローブ、雪洞を掘るときなどはテムレスと使い分けています。そういった使い方をする方は、新製品でなくてもいいかも知れません。オーバーグローブを持っていない、雪山でロープは使わないという方は、これをオーバーグローブ代りにできます。そうなると、値上がりしたといえ、コスパはめちゃめちゃいいです!
新製品
従来の製品の黒色
青の防寒テムレス
防寒テムレスとオーバーグローブを使って比べてみた
上記から、テムレスってなかなかいいんじゃない!って思われた方もいると思います。
雪山のコンデションはその時によって違うので、ちゃんと比べるには同時に使ってみないといけません。ということで、右手に防寒テムレス、左手にオーバーグローブを装着して、実際に木曽駒ヶ岳に登ってきました。
※この登山は新製品TEMRES02winterが発売される前に試したものです。当時は防寒テムレスのみでした。
見た目はこんなにも違います!
テムレスの作業感ハンパない(^_^;)
実際に同じ環境で使ってみて
3月の木曽駒ヶ岳を千畳敷から往復。天候快晴。出発時の気温-9℃、稜線上でも風は弱い。
以上の環境での比較です。
防寒性能・・・やや防寒テムレスの優勢
透湿性能・・・ややオーバーグローブの優勢
フィット感&ギアの操作感覚・・・ややオーバーグローブの優勢
ややオーバーグローブが優れていますが、通常の雪山登山であれば、
ぶっちゃけどちらでもいいというのが私の結論。
ただし、値段は10倍以上違います。
今回はラッセルがなく、雪洞も掘っていないのですが、そういった防水性の必要となるシーンではテムレスの圧勝です。
装備が揃ってない方は、スキー用の手袋を持って来たりします。
それなら絶対に防寒テムレスの方をすすめます。
とはいえ、森林限界以上の厳しい雪山に登る場合は、オーバーグローブを必ず準備しておきましょう。そこまでをカバーする製品ではありません。ラッセル用に2つ持っていくのがベスト
TEMRES(テムレス)02 winterを使ってみた
1月の唐松岳でテムレス02winterを使ってみました。予備として持って来ているメンバーが多いですが、恐るべき普及率(笑)。
防寒性能に関しては、青色のテムレスと同じです。カフがついているので、袖口から雪が入る確率がぐんと下がる感じ。雪を触る作業の時は絶大な威力を発揮しました
ラッセルの時もテムレスがいいですね!
どっちを選べばいいの? どう使えばいい?
私は、通常はファイントラックのオーバーグローブを使います。そして予備のグローブとして防寒テムレスを持参しています。気温が高く湿った雪、ラッセルが多くなる、雪洞を掘るなどの場合はテムレスを使用します。両方買えるなら、上記のような使い方を勧めます。
防寒テムレス使用者増加中!
私がすすめれば、増えるのは当然かと思いますが(^^)
これからもっと増えるでしょう!
防寒テムレスを購入する
北海道のホームセンターではいっぱい売っていますが、西日本ではあまり販売していないようです。そういう時はAmazonで頼みましょう。すぐに到着します(^^)
探して買いに行く時間や、交通費を考えると、通販での購入がスマート!
購入する場合は、一回り大きなサイズを買うことを勧めます。
雪山ではアンダーグローブを装着したいので、素手のサイズより大きいものを買って下さい。
そして、2枚重ねて使うようにしましょう。
私は通常Lですが、LLを購入しています。
新製品
従来の製品の黒色
青の防寒テムレス