登山ツアーに参加するメリットが少なくなってきている件

旅行会社のツアーを作っているガイドとしては、ちょっと過激なタイトルをつけちゃいました。

業界としての将来性が薄いなぁというのが、私が登山専門の旅行会社を辞めた理由の一つでもあります。

どういうことなのか、状況と個人的な考えを書いてみます。

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登山ツアーのメリット

登山ツアーのメリットは以下のようなものかと思います。私は元々登山専門の旅行会社の大阪営業所長をしていましたから、よく理解しているつもりです。

気軽に参加できる

登山ツアーのメリットは、参加までの敷居が低いです。殆どの場合、パンフレットがきちんと用意されていて、行きたい山や都合のいい日に設定されたツアーを選ぶだけです。旅行といえば旅行ですから。

もちろん、ツアーによっては難易度が高く初参加がダメだったりするものはあります。

1人でも参加できる

最初に山を始めたいと思う時に、友人がいなければどうしていいかもわからないのではないかと思います。1人からでも気軽に参加できます。観光ツアーと違い、登山ツアーは相部屋が当たり前。山好きの友人もできやすいです。

社会的に信用が高い旅行会社が運営

個人事業主が中心の個人のガイドと違い、観光庁に登録された旅行会社が運営していますので、社会的な信用が高いです。

一般的に参加費が安い

旅行会社にもよるし、設定されている人数や宿泊施設にもよりますが、一般的に個人ガイドを雇うよりも参加費・旅行代金は安くなります。

ツアー登山の旅行代金が上がってきた

以前は個人ガイドを雇って山に行くことは贅沢で、旅行会社の方が断然安かったと思います。しかし、数名のグループだと、お客様にガイド料の見積もりを出して、更に付随する宿や交通機関の代金を足しても会社のツアー代金と大差なくなってきています。どうしてでしょう?

バス代の高騰

一番に考えられるのはバス代金のアップです。ひところは1日あたり小型6万円、中型7万円、大型8万円なんて値段で仕入れていましたが、今じゃとても無理。スキーバスの事故以降、時間や距離で細かく規定ができています。遠くまで行こうとすると、ドライバー2人体制って言われたりします。決まりは決まりなんで、うるさいバス会社ほどちゃんとしてるといえますが。

ホテルや山小屋の値上げ

インバウンドの増加や人材確保の経費やら、なんやかんやで宿の料金は上がり気味です。団体の泊まれる宿に関しては、個人で仕入れるより旅行会社のほうが安いですが。でも値段は上がっています。

ツアー定員の少人数化

ツアーの定員は多ければ多いほど、旅行会社は儲かるし、お客さんの代金は下がります。これも以前は1パーティー40人でガイド3人なんていうのがありましたが、今はほぼ絶滅。ハイキングなど、コースによってはこんな人数でもやれないことはないですが、良くはないですよね。

今は22名定員や20名定員などが主流です。中には15名定員や12名定員のツアーも。クオリティーが上がっていい事とは思いますが、当然ながら旅行代金は上がりますよね。

旅行会社の買う航空券の方が個人より高い場合も

1月末にスカイマークで行く夏の北海道と秋の奄美大島依頼のお客さんのチケットをネットで代理購入しました。この時期に買うと、チケットは安いです。キャンセル料がすぐにかかったりしますが、絶対に行くなら関係ないもんね! でも、旅行会社はこの安いチケットが使えないんですよ。

そう、旅行会社の国内ツアーは標準旅行業約款という旅行業界の決まりで、3週間前までキャンセル料がかかりません。ということは、基本的に旅行会社は3週間前までキャンセル料のかからないチケットを購入せざる負えないんです。そういったチケットはすぐにキャンセル料のかかるチケットより高いのが当たり前。

旅行会社の方が個人より高いチケット買っているっておかしな感じがしますよね? 大量に仕入れるから、安いのかと思いきや。現実はそんなもんなんです。航空会社も団体より個人に向けて販売したいと思っています。

海外とのキャンセル料の認識の違い

旅行会社は海外のツアーでも1月ほど前からしかキャンセル料をいただけません。しかし、海外はホテルでも予約直後や3ヶ月前からキャンセル料がかかるのは当たり前。貴重ないい宿に慣ればなるほど、キャンセルポリシーはきつくなります。

ということは、旅行会社が現地に支払うキャンセル料と、お客様からもらえるキャンセル料の期間にズレが出ます。さらにキャンセル料の%が日本は低いので、貰ったとしても現地への支払いに足りないことも出てきます。

ということは、平均のキャンセル率を考えて、最初からお客様の旅行代金に、キャンセルした人が支払うべきキャンセル料を上乗せされているということになります参加者が損をしているといえば、それで間違いありません。

これは旅行会社が悪いんじゃありませんよ。観光庁の標準旅行業約款っていうのが早くからキャンセル料を取るのを禁じているからなんです。旅行会社は営利目的、損をするわけにはいかないので、当然上記のような事になってしまいます。

個人なら、予約時にちゃんと理由を説明しておけば、キャンセル料をお支払いいただけます。実際にかかる費用をお支払いいただく。当たり前のことです。

ガイド登山のメリット

ガイドが選べる

登山ツアーで最も大事なのは「ガイド」です。そしてガイド登山の最大のメリットはガイドが選べることです!

少人数の案内

少人数を謳っている会社でも基本的に10人以上でしょう。稀に7人とかの会社もありますが、そうなるとメッチャ旅行代金が高いです。当たり前ですが、添乗員経費、ガイド経費、会社の維持費などがかかりますからね。

ガイド登山だと基本的に案内するのは数人です。ガイドさんがお客さんの顔と名前が一致させるのは、ツアー登山では難しいです。でもガイド登山なら当たり前ですよね。きっと旅行会社のツアー登山より丁寧にしっかり案内します。ガイドにしても直接のお客さんと間接的なお客さんではモチベーションが違って当たり前です。

丁寧な企画

お客様の体力や目的などに合わせた、丁寧な企画を作ってもらえます。大人数を集める企画と、実際に満足度の高い企画は全然違います。私は同じ山やエリアでも、旅行会社と個人では違う企画を提案します。宿泊する宿も予算に合わせて考えます。リピーターさんになると、こういう宿が好みだからみたいな事も考えて選びますし。

旅行会社だと、電話の受付の人が山に行って案内するわけではありません。登山をしない人もいっぱいいます。販売しているコースをきちんと把握しているかというと、そうでもありません。数多くのコースを把握するというのは無理というものです。その点ガイド登山は違います。必要な体力、難易度、装備を完全に把握して企画します。

臨機応変な行程の変更ができる

旅行会社の登山ツアーでは、事前に送られてくる日程表(旅の栞)は契約書です。この通り実施しますよっていうことです。

登山は自然相手の遊び、想定と違うことも出てきます。もちろん大雨や台風などの緊急時は変更に異論はないと思います。

でも、完全に紅葉が終わっているのに紅葉目当ての登山が実施され、近くには紅葉がピークの山があったとします。そうなると個人ガイドだったら紅葉がピークの山に行きますが、ツアーでは安全に問題がなければ行程を変更できません。添乗員の本当の仕事は旅程管理ですからね。事前に決まったコースを決まった時間に終わらせるのが最重要任務!!

要するに、ツアー登山には現地で臨機応変に判断できる自由度があまりありません。お客さんにはベストと思っても、安易に目的地を変更することは不可能です。後で本当は行きたかったなんてクレームが出ると大変ですから。基本的に安全に問題がなければ変更できないんですよね。その点、個人ガイドのオーダーメイドなら自由自在!お花の状況、紅葉の状況、雪の状況、混雑、天候に合わせて行程を変えるなんて、しょっちゅうです。

更に、移動のバスも安易にコース変更できません。走行距離やルート、拘束時間で料金が決まります。それは事前に運行契約書を交わすことからも明らかです。ちょっと遠回りだけど、あそこ寄ってみる??みたいな個人ガイドでは当たり前のことも簡単にできないんです。タクシーなら自由なのに、貸切バスは不便!

飛行機を使う場合は旅行会社より安いことも

先に旅行会社の仕入れるチケットより安く買えるといいました。ということは北海道や沖縄などではかなりの価格差になります。早めの予約で、平日だったら往復で20,000円とかで行けちゃう時代ですからね!とういことは登山ツアーより安くなることがあります。

登山口への移動が選択できる

正直、小型バスや中型バスの乗り心地はあまり良くありません。大型バスに劣ります。しかし、今どき大型バスで移動する登山ツアーは殆どありません。
個人のガイドだと、関西から松本とかへ行くお客様の多くが新幹線とJRの特急を利用します。そりゃあ、バスより速くて快適ですよね。じゃあ往復で幾らするのか考えてみると2万円くらいです。そんなに高くないですよね。

信州方面へ行く少人数のツアーだと、1人あたりの旅行代金に含まれるバス代の負担代金が2万円近くなりますから。

安くしたければ、私の移動の車に便乗も可能な場合もあります。私の車でも、小型バスや中型バスよりも快適ですしね〜。

ガイド登山のデメリット

行きたい山にすぐに行けない

旅行会社のツアーは、空いた時間があるからどっか行きたいなぁ的な感じで選べます。

個人ガイドの場合は行きたい山に、気軽には行きにくいです。特に私の場合は完全オーダー制。思い立っても私のスケジュールに空きがないといけません。初めての方には、かなりハードルは高い??

1人だと参加しづらい

当たり前ですが、1人でガイドを雇うと割高です。私も勧めません。1人で個人ガイドを雇って北海道とか行ったら、海外旅行行けちゃう金額になります。。。逆に言うと、山のお友達が集まって雇うと安くなるとも言えますが。

ガイドの社会的信用が低い

私が専業登山ガイドで生活していると聞くと、食べていけますか?的な質問が多いです(^_^;)
大丈夫です!食べて行けてます(笑)

でも、今の日本では、ガイドとはそういう社会的な信用度なのだと思います。

私の場合は、このサイトでツアーの様子なんかをアップするのでイメージしやすいと思いますが。。。それでも初めてのお客様に、申込金を振り込んでくださいって連絡すると、大丈夫ですよねって言われたりします。それに対して、私自身も当たり前だなぁと思いますし。だからこそ、高額な海外の案内は旅行会社と提携し、旅行会社に振り込んでもらっています。

信用度を上げるために個人事業主から株式会社にしてもいいかなぁって検討したこともありますが、信用度を上げても、体が1つしかないので、物理的にこれ以上依頼を受けるのも難しいという現実が。。。
しばらくは個人事業主のままかなぁ〜。

登山ツアーと個人ガイドどう使い分けるか

気軽に参加したい場合

これは、迷わず旅行会社の登山ツアーに申し込みましょう。楽です。パンフレットやWEBでショッピングする感覚で、空いている日程や行きたい山を選んでください。キャンセルもしやすいです。

グループで参加したい場合

4名以上のグループだと、登山ツアーに申し込むより個人ガイドを雇ってみるといいと思います。希望のコース、希望の宿、臨機応変な現地での対応など度は大きく跳ね上がるはずです。逆に1人なら旅行会社がいいと思います。

とにかく多くの山に登りたい場合

旅行会社時代、毎週のように参加してくれるお客様がいました。短期間で百名山を目指したり、頻繁に登山をしたい場合は登山ツアーを利用しましょう。個人のガイドでは対応できないと思います。

目標の山がはっきりと決まっている場合

早くから、この山に登りたいっていう目標がはっきり決まっているなら、個人ガイドに問い合わせてみましょう。その山を目指すのに必要なトレーニング、装備など的確なアドバイスがもらえるでしょう。登山ツアーの場合、担当ガイドが様々で、みんな言うことが違ってたりすることもありますし。。。

予定が曖昧だけど申し込みたい場合

キャンセルするかもしれないって場合は、登山ツアーのほうがいいかもしれません。個人ガイドの場合、どうしてもキャンセルしにくいかと思います。

飛行機を使う場合

早くから予定が決まるなら、LCCなどを使って安いチケットが使える個人ガイドがおすすめ。多少席が狭くても、長いフライトでもせいぜい2時間程度。ツアー登山でよく利用する小型バスよりは快適です。

まとめてみると

1人で気楽に参加したい方は、旅行会社を選びましょう。

2〜3人のお友達と一緒に山へ行きたい方は、ガイドさんに見積もりをとってもらいましょう。一般的な旅行会社よりも高いかもしれませんが、少人数のプレミアムが付くと思えばありかもしれません。

4人以上のお友達と山へ行きたい方は、個人ガイドを雇うことを強くおすすめします。自由で満足度の高い企画を考えてもらえるでしょう!

短期間で百名山を目指したり、頻繁に登りたい場合はツアーのほうがいいでしょうね。

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