登山初心者へ教えたい 6つのこと

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これから登山を始めてみたい、もしくは登山初心者の方へプロガイドがアドバイスしたいと思います。
私はこれまで8社以上の旅行会社のツアー登山で、「初心者の山歩き教室」の講師をしてきました。もう20年近いと思います。

多くのWEBサイトでは登山のいいことばかり書いていますが、ちゃんと準備しないと危険だよ!ということの発信も重要だと考えます。ガイドのウェブサイトですが、だからガイドを雇いなさい!というような、まとめ方はしません(笑) 安心して読んでください!

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何よりも優先させる安全登山

登山で最も大切なことは何でしょうか?

それは無事に下山する安全登山です。多くの方が当たり前だよ!って思うのではないでしょうか。 しかし、みんなが当たり前だと思っていて、意外とできていないのが、安全登山の為の準備です。

ネットや本などの様々な登山の情報、登山前のトレーニング、登山装備などは、基本的に安全登山のためにあると思って間違いないと思います。

山で命を失ったり、怪我をしたりしないように、準備をする必要があります。これから始めてみたい方は、怖い事書くんだな〜って思うかもしれません。でも最悪の場合、そいういうリスクがあるという考えのもとで準備をするのは必要なことです。車に乗ってシートベルトするようなものかな。

私が登山をはじめて26年になります、その間に知人や知人との繋がりのある方が何人も山で亡くなっています。私には他人事ではないという思いがあります。

でも、身近にそういう方がいないと(いないほうがいいのですが)山の事故とはニュースの出来事、自分と関係のない難しい山の出来事、と思ってしまう方もいるのではないでしょうか。

登山を始めるうえで、事故はどんな簡単な山でも起こるし、自分にも起こる可能性があるということを認識しておいてください。

誰から登山を教えてもらうのか

山岳会の全盛期は、登山をするなら山岳会に入るのが常識でした。いろんなタイプの山岳会がありますが、基本的にはベテランの登山者に初心者が技術とマナーをみっちり教えてもらいました。しかし、時代の流れか、厳しい感じの山岳会の会員は多くで減っています。現に私も山岳会に所属したことはありません。きっと技術やマナーはしっかりと学べるのですが。

  • 人間関係がめんどくさい
  • 自由な登山がしたい
  • 例会などでスケジュールを縛られるのが嫌

などが理由かどうかわかりませんが、山岳会に所属しない登山者が大半です。 山岳会に入って、山を学びましょう。というのが最近の主流ではありません。

単独や友人と初めてみる方以外だと 50歳代以上の方は旅行会社のツアーに、20〜40歳代は登山サークルなどで初める方が比較的多いかと思います。

旅行会社のツアーで始める方は、旅行会社の指示に従って始めてください。いきなり登山ガイドを雇ってゼロから始める方もいないとはいいませんが、かなりの少数派かと思います。

教えてくれる人がいないと、間違った知識や自己解釈で危険が高まります。ここでは、自分自身で登山を始める方の少しでも安全登山のお手伝いができれば嬉しいです。

登山初心者はネットの情報を当てにしすぎるな!

これもネットなのでこの記事として矛盾しているかと思いますが。ネットは誰でも情報をアップできる場所です。間違った情報をアップしても責任は問われません。そのへんは書籍などのガイドブックと大きく違うところです。

誰がネットの記事を書いているかが重要

いろんな肩書の方がネットで登山の記事を書いています。「うんうん、そうそう!」と思う記事もあれば、「行ったことないから、使ったことないからネットの情報をまとめてみただけだな」という低レベルな記事まで様々。

これから初めたい方や初心者は、その低レベルの記事を見抜くことは難しいです。場合によっては命を預ける情報になるかもしれないのに。

きちんと登山経験があり、実際にそのコースを歩いている人の記事を参考にしたいです。記事中の写真を他人のインスタグラムやPIXTAなどを利用し、自らの撮影した写真を使っていないサイトは信頼性に欠けると思っています。WEBメディアやキュレーションサイトの雇われライターの記事より、自分のサイトを運営している人の記事が信頼できると思います。

某有名WEBメディアでは既存サイトの内容をリライトすると1本3,000円もらえるとか。。。その記事を信じますか? SEOが強いので、そんな記事が検索の上位に出ちゃう事がほとんどなのが悩ましいところ。検索の順位と記事の信頼性は比例しません。

WEBメディアの登山情報って正しいの?
webメディアってやwebマガジンと名乗っているサイトは、他のサイトのコピペ&リアライトで、実際に取材していないケースがあるって知っていますか? どうやったら見抜けるのでしょう?

ネットは自慢の場所

記事以外にも、みんなの登山歴を公開するサイトがあります。YAMAPやヤマレコなどですね。これは画期的なサービスだと思います。最近の登山の情報や所要時間が記載されています。写真まで。私も時々参考にさせてもらっています!

でも、考えてみましょう。こういうサイトに投稿する方は「自分の登山に自信がある方」じゃないかな? 迷ったり、時間計算を間違えたりした方はきっと投稿しないですよね?投稿する方がいたとしても、少数派だと思います。

私が参考にするのは、花や紅葉、残雪の状況か登山道の荒廃状況。時間的なこと難易度的なことは一切参考にしません。誰が歩いたか、何人で歩いたかで所要時間は大きく変わるし、難易度の認識は人ぞれぞれ。

他人の山行記録はあてにならない

上記でも書きましたが、他人の記録は全く当てになりません。という事で、私はいろいろ情報を発信していますが、時間的なことは極力書かないようにしています。このコースは時間で行けるんだ!的な情報は出したくないです。

例えば、私は早歩きをすると新穂高温泉〜西穂高〜ジャンダルム〜奥穂高〜新穂高温泉なんていうコースも日帰りします。こんなの普通の登山者には無理です。参考にしてほしくない。真似しようと思うととっても危ないです。そう思って記事を書けばいいですが、そうじゃなく自慢的にこんなコース簡単だよって書いちゃい、真似する人が出たら困ります。

西穂高岳縦走 ジャンダルムを経て奥穂高岳へ 
北アルプス屈指の難関縦走路を、新穂高温泉を起点に日帰りでぐるっと一周歩いてきました。ロープウェイを使っていないので、かなりの体力&技術が必要となります。ハードルは高いですが、無事に下山した後の充実感は半端ないです!

登山初心者に必要な持ち物・装備

いきなり揃えると、すごくお金のかかる登山装備。いろんな所で書かれているもの全部揃えなくちゃいけないのかな? どこで買ったらいいのかな?と悩むことと思います。ネットでは装備の情報は非常に多いです。安全登山の記事を書いてもamazonなどのアフェリエイトの収入にはならないですが、道具のことを書いてそのサイトから購入してもらうと収入になります。だから、道具の紹介は多いです。私にもネットメディアから記事依頼が時々来ますが、100%がamazonで購入できる道具のこと。amazonで買えないものの紹介はいらないそうです。。ギャラもしれてるし、締切とか面倒くさいので全部断っていますが(笑) ガイドとライターなら間違いなくガイドの方が効率がいいですし。

話逸れましたが、装備を購入する上で大事なのが、どこまでの山に登ってみたいのかということなんです。標高1000m程度の山を春〜秋に日帰りする場合と、アルプスに登る場合では必要となる装備は大きく異なります。もちろんアルプスに行く装備の方が高い性能が必要で、高価です。雪山になればもっともっと。。。初心者に必要な装備と一般的に言われているのは、標高1000m程度の山を春〜秋に日帰りする場合と思っていいと思います。

登山装備として考えれば、初心者だから必要と考えるよりも、この山に行くにはこの程度の装備が必要という考え方になります。登山初心者でもベテランでも、必要となる装備は基本同じ! むしろベテランになれば、これまでの経験で不要な装備、流用できる装備を見極められるので、同じ山に登る場合は装備を減らすことができる可能性が高いです。理論的には初心者の方が対応力が乏しいので多くの装備を持っていきたいところ。

最初に買いたい登山装備

最初でも買ってほしいのが、レインウェア・登山靴(トレッキングシューズ)・ザック。いわゆる登山における三種の神器ってやつです。ザックは優先順位を落としてもいいので、まずは靴とレインウェアを。

先程書きましたが、買う時点で決めなきゃいけないのが、この先どこまでの山に登りたいのか??ということです。ここで比較的安価で性能が落ちるものを買ってしまうと、もっと登りたくなった特に装備を買いなおすという、もったいない事になってしまします。

選び方は下記のリンクで詳しく書いています。読んで参考にしてください!

登山用レインウェアの種類と選び方
登山で最も重要な装備は、レインウェア(雨具)です。雨の日に快適に楽しく歩くには、どのような選び方をしたらいいのでしょう?目的や素材別に解説してみたいと思います。実際に私が着用しているレインウェアも紹介します。
登山靴とトレッキングシューズの選び方と買い方
登山でいちばん重要な装備は登山靴かもしれません。種類が多くてわかりにくい登山靴の種類や選び方のポイント、上手な登山靴の選び方と買い方を紹介します。

優先順位はやや落ちるが買いたい登山装備

まず、レインウェア・靴・ザックを購入したとして、次に買うべきなのは登山ウェアです。登山ウェアとして最も必要な性能は速乾性。暖かい時期に日帰りの低山を歩く場合なら速乾性のある服であれば、それほどこだわらなくてもいいと思います。

登山装備の買い方

結構大切かな〜と思うのが、どこでどうやって買うのか??

最近はネットで買う方が増えていますね。都会に住んでいれば専門店にすぐ行けますが、田舎だとそうも行きませんし。なかなか難しい。

気をつけてほしいのはネットの激安商品。古くて劣化の進んだものを販売しているケースも有るようです。

登山靴のソール剥がれに気をつけよう 必ず経年劣化します
山のガイドをしていると、時々遭遇するのが、登山靴の劣化による、ソール剥がれ。靴底が剥がれてしまう状態です。どういう理由で、ソールが剥がれてしまうのか、どういう対処、対応をするべきなのかまとめてみました。

また、口コミやレビューも当てになりません。。。殆どの経験者はネットの激安商品を買ったりしませんから。レビューを書くのは初心者ばかり。

登山道具の選び方とレビュー
このサイトの記事は圧倒的に登山記録が多いのですが、アクセスの大半は登山道具のことなどについてです。WEBでの検索ニーズは、登山道具の方が多いのは明白なので、登山道具の選び方やおすすめについて書いてみることにしました。

山へ登る前のトレーニング

楽しく山に登るには、トレーニングをしたいものです。ベテランの登山者は、一般的にどのようなトレーニングをしているのでしょうか?どのようなトレーニングが効果的なのでしょうか?

ぶっちゃけて言うなら、山のトレーニングは山でしかできません!

山のトレーニングは山でする

私が登山を始めたのは大学時代のワンダーフォーゲル部でした。高校は陸上部なので、走るのはそこそこ速かったです。体力はある方だと思っていました。自信もありました! クラブでは週に3回は5〜6kmのアップダウンのあるコースを走ってトレーニングするのですが、問題なく先輩について行けました。筋力トレーニング等も同様でした。

しかし!!! ザックを背負い山に入ると、あっという間に息は上がり、先輩について行けません。。。しんどかったです。こんなはずはないって落ち込みました(泣) そう、山のトレーニングは山でしかできないのです。そうして数カ月後には、先輩に問題なくついて歩けるようになりました。

最初は歩行1時間程度のとても簡単な山や丘などを何度も歩いてみることです。山頂まで行かなくても山道を歩いてほしい。登山とはいえないような場所でいいです。それが本格的な登山の第一歩になります。最も大切なのは基礎体力ですが、足の運び方、ペースの作り方、荷物の背負い方、休憩の仕方、適切な装備の使い方など多くの要素が絡んでいます。

いくら走るのが速かろうが、筋力があろうが、心肺機能が強かろうが、山のトレーニングは山でしなければいけません。もちろん、普段全く運動をしないよりは、ランニング・ウォーキング・スイミングなどをしたほうが良いに決まっています。でも、ランニング・ウォーキング・スイミングなどをしているからといって、山に登る体力や技術が身につくわけはありません。

日頃運動していて、自信のある方へ。最初の登山はどんなに自信があっても控えめな計画にしましょう!

どんな山から登山を始めるのか

可能な限り、経験者と登山を始めてほしいと思います。経験者が周辺にいない場合は、1回だけの参加でもいいので、登山ツアーもありです。登山ってどういうものかを感じてください。

人気のある山が最初は安心

単独(可能な限り避けてほしい)や友人と登る場合は、ベタですが、登山者の多い簡単な人気のある山から。最初は地図を読んで歩くこともできないし、ペースや休憩時間を考えて計画することも難しいと思います。関東なら高尾山とか、関西なら六甲山とかメジャーな山がいいです。そして、同じ道を戻る往復(ピストン)コースだと体力不足の場合も対応しやすいです。

慣れると登山者が多いコースは嫌だなぁ〜って思ったりするのですが、初心者は他の登山者が多いということが精神的な安心に繋がります。他の登山者を頼ろうというわけではないですが。

大切な登山のマナー&常識

ゴミは捨てない・植物は採取しない・野生動物に餌をあげないなんていう一般常識はさておき、日常生活ではあまり考えないけど、登山では重要なことを。

登山届は必ず提出

登山届は、どのコースを歩くかということを事前に提出することです。登山者の多い山は登山口に登山届を出すBOXがあったりします。北アルプスなどの大きな山では、登山届の提出が条例で義務付けられています。登山届を出すことは事前の計画にも繋がります。しかし、低山では登山届を出す場所がなかったりします。今はネットで出すこともできますが、頻繁に同じ山をトレーニングで登ったりする場合は提出は面倒であったりします。現実的に困難である可能性が高いです。そんな場合でも家族などにどこに行くかを伝えるようにしてください。単独の場合は絶対に登山届を出すか、どこに向かうか家族や身近な人に伝えるようにしましょう。詳しくはリンクで。

登山届を絶対に提出しなければいけない理由
山で行方不明になってしまうと、残された方に大きな大きな迷惑がかかります。単独行はその確率が跳ね上がります。自分の為はもちろんですが、家族の為にも必ず登山届を提出するようにしましょう。

一緒に歩くメンバーの個人情報

友人と山に入る場合、そのメンバーの個人情報を持っていますか? 名前、住所、生年月日、万一の時の連絡先など。名前も知らないで!って思う方もいると思いますが、ネットで繋がったメンバーならニックネームや下の名前しか知らないこともありえます。過去の遭難事故で、一緒に歩いていた人の名前すら知らないという事例がありました。何があるかわかりませんので、お互いの情報は交換しておくようにしてください。個人情報を交換したくないような相手と山に行ってはいけませんよ。

地図を持って行く

今やスマホで殆どの情報が手に入ります。登山の地図だってそうです。でも、紙の地図は絶対に準備するようにしましょう。バッテリーも切れないし、広範囲を一度に確認できます。最初は地図が読めなくてもいいです。とにかく癖をつけましょう。殆どの人が読めていないです!でも現在地の確認くらいはできるようになりたいですね。地図無しで歩ける簡単な山もありますが、そういった山で練習しないと上達しませんから。

無料で見やすい登山地図のダウンロード
プロガイドが登山地図を無料で準備する方法を教えます。簡単に見やすい登山地図をPCで作成し、印刷してみましょう。安全登山にはきちんとした地図は必須ですよ。
登山地図の見方とコンパスの使い方
地理学科出身のプロガイドが教える、登山地図の見方、読み方とコンパスの使い方講座。登山を始めたら真っ先に覚えて欲しい基本的な技術です。スマホだけを持って登山しないようにしましょう。読んで損はないはずです。地図を持参してに山へ出かけてみましょう。

山の保険に入る

どのくらいの割合の方が保険に加入しているのでしょうか? 車の運転をする方なら、ほとんどの方が自賠責保険以外に損害保険に加入しますよね?

山でも同じ、必ず保険に加入しましょう。山の事故や救助には多くの費用がかかります。これから頻繁に登山をしたいと思い方は毎回加入するのは面倒&割高なので年間保険に加入するようにしましょう!

登山・山岳遭難対策制度|jRO(ジロー)日本山岳救助機構
山岳保険に代わる新しい山岳遭難対策制度。年会費2,200円で、年間550万円までの捜索を実施。 "山の安心、まずはここから"
やまきふ共済会|楽しく安全な登山を支援する新しい山岳保険制度
楽しく安全な登山を支援する新しい山岳保険制度。660円から入会可能な単発契約が可能です。500万円までの救援者費用が出る年間契約もございます。ご要望に応じ複数のプランから自由にお選び頂けます。富士山専用山岳保険のご用意も。Web申し込みで今すぐ入会可能

他にも知ってほしい知識やマナーなど多くあります。登山という行為は素晴らしいことだと思いますが、安全が保障されないリスクのある遊びです。本来であれば、こうやってネットで調べるより、経験者やガイドと歩いてほしいところです。しかし、殆どの登山者はガイドなんて雇わないんですから、情報を出さないよりはこうやって情報発信をする方がいいのかなと思っています。

私は一人で空き時間にこのサイトを作っているので、多くの記事はかけませんが、実体験に基づいた大切なことを今後もお伝えできればと思います。

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