雪山の地図読み ホワイトアウトナビゲーションを覚えよう

夏山と比べて、格段に難易度が上がる雪山の登山

体力も技術も夏山以上に必要になりますが、
ルートファインディングの技術もメッチャ上がります。

雪山で前の人のトレースを当てにして歩いたことありませんか?
真っ白になってドキドキしながら、歩いたこと
もしくは道がわからなくなって引き返したことありませんか?

そういう時に覚えておくとよい技術がホワイトアウトナビゲーションです。

ホワイトアウトナビゲーションとは

地図にポイントとなる地点を定めて、そこまでの進行方向の磁北線に対する角度、距離、標高差などを予め測っておくことです。

通常の地図読みよりも、正確にこれから進む道を把握することができます。
雪で登山道が消えてしまう冬場にはとても有効な方法で、GPSと併用することで、さらに安全性が高まります。

理論上は真っ白でホワイトアウトの状態でも、目的地にたどり着けます。まぁ、普通の人はそんな状況では登らないでしょう。私も登りません! 帰路が視界不良になったり、道がよくわからなくなった場合には役に立ちます。覚えておくとよい技術です。

※ホワイトアウトとは数m先も見えない状況のことです。視界不良とは違いますよ。

写真のようなコンディションでは、正確に歩くのは困難ですからね。

ホワイトアウトナビゲーションの作り方

今回は、西吾妻山へ登った時に作成したものを例に出します。
この時のツアーは現地のガイドさんが視界不良で迷ったけど、添乗員役の私が後ろからナビをして山頂まで登ったという、あり得ない結果になりました(^_^;)

西吾妻山と蔵王山 樹氷の山をスノーシューで歩いてきた
吾妻山ではホワイトアウトになりつつも、ホワイトアウトナビゲーションとGPSでなんとか山頂へ!蔵王山は天候に恵まれ楽しく歩いてきました。

覚えていると思っているコースでも、作成することをオススメします。だって、上記のツアーでは現地のガイドさんでも迷ってしまったくらいですから。人の記憶力はあてにならないことも多いですよ。

登山道のポイントを決める

まずは地図を広げて、目的の山までの道を書き込みます。
雪があれば、必ずしも夏道を歩く必要はありません。

そして、歩く角度が変わるポイント、アップダウンが変化するポイント、はっきりした目印となるポイントに番号を振ります。
ホワイトアウトナビゲーションマップ

上の写真の場合
A登山口 Bカモシカ展望台 C歩行角度が大きく変わるポイント D下りから登りになるポイント E標高1950m
といったように山頂までポイントをチェックしていきます。その時に標高もチェックします。

これは現地ガイドさんとの打ち合わせで作ったもの。個人的にはCをすっとばして、BからDへ進みたいと思ったけど、もちろん現地ガイドさんに従います。

山によっては天気が良い時のルートと悪い時のルート、2つ作ってコンディションによって分けてもいいと思います。

ポイント間の数値を割り出す

では、AからBへ歩くのに必要な情報を見てみましょう。
①進行方向の角度
②区間の距離
③区間の標高差
④おおよそのコースタイム 私の場合は過去の記録など

地形図に書き込んでもいいですが、私は表にして地形図と一緒に持ち歩くようにしています。写真は持ち歩いた後なので汚れていますが。書き方は以下のようになります。
赤い字の方が吾妻山の数値です。青は蔵王山。

Aは登山口の名前「北望台」標高は1820m
Bは次のポイント「カモシカ展望台」標高は1880m
Çはその次のポイント 標高は1930m
A〜Bは標高差60m、距離は250m、角度は172°なのでほぼ南方向へ進みます。
B〜Cは標高差50m、距離は400m、角度は104°と大きく東に進行方向が変わります。

ホワイトアウトナビゲーション表の使い方

実際にこの表を見て歩いてみると、
172°の方向へ250m歩くと、約60m登る、
そこから104°の方向へ400m歩くと、約50m登る(傾斜は緩やかになる)
さらに204°の方向へ250m歩くと、約30m下ります。
もちろん、山なのでずっと真っ直ぐ歩けるわけもありません!
おおよその目処をつけながら歩きます。

ホワイトアウトナビゲーションでは、コンパスがきちんと使えないと無理ということがわかると思います。さらにあくまでも理論値なので、臨機応変に対応しながら歩きます。

ということは初めての山でホワイトアウトナビゲーションを作っても、合っているかよくわからないこともあるかと思います。知っている山で、実際に作ってみて練習してみましょう!

ホワイトアウトナビゲーション表

ホワイトアウトナビゲーション表の作り方

私はこのような表をエクセルで作って、プリントアウトして書き込んでいます。
もちろん、PCに打ち込んでもいいですが、実際に測ってそのまま書き込むほうが、自分には向いていると思っているので。

ここまでバックベアリングに触れていませんでした。
バックベアリングとは、登頂した後の帰り道の角度です。
トレースが消えてしまうと、雪山は帰りのほうが難しい。

ただ、コンパスのNとSを入れ替えて使うと、バックベアリングは書き込まなくても大丈夫!
この意味がすっと頭に入ってくる人以外は、帰りの角度(ベアリング)を測ったほうがいいです。もし間違えると・・・・。

しっかりと準備をして雪山へ!

いちばん大事なのは装備かと思いますが、地図もしっかりと準備をしておきましょう!

登山地図の見方とコンパスの使い方
地理学科出身のプロガイドが教える、登山地図の見方、読み方とコンパスの使い方講座。登山を始めたら真っ先に覚えて欲しい基本的な技術です。スマホだけを持って登山しないようにしましょう。読んで損はないはずです。地図を持参してに山へ出かけてみましょう。
登山に持っていく無料で見やすい地図のダウンロード
プロガイドが登山地図を無料で準備する方法を教えます。簡単に見やすい登山地図をPCで作成し、印刷してみましょう。安全登山にはきちんとした地図は必須ですよ。

10代から80代まで幅広い顧客に、登山やアウトドアスポーツを案内。日本百名山はもちろん、海外経験も50ヵ国、130回を越える。地理学を専攻していたので、地図や自然にも詳しい。登山専門旅行会社の元大阪支店長。山のガイドだけではなく、登山旅行のプランニングも得意。最近は離島、カヤック、サイクリングなどのアウトドアの依頼が急増中。

関連記事と広告
本サイトはAmazonと契約しています。記事が役に立ったと思った方はアマゾンご利用の際にリンクから買い物していただけると、とても嬉しいです。
記事が役に立ったと思った方はアマゾンご利用の際に下記のリンクから買い物していただけると、とても嬉しいです。記事更新のモチベーションがアップします!
登山技術
スポンサーリンク
登山ガイド 沖本浩一をフォローする
登山ガイド 沖本浩一