登山&アウトドアガイドの沖本です!
一般の方が、山のガイドを選ぶ際のアドバイスをしてみたいと思います。
日本山岳ガイド協会の会員は何人いると思いますか?
自分もわからないので、ガイド協会のHPでざっと数えてみたら2000人弱でした。(2018年時点)
多いのか、少ないのかよくわからないですよね? 自分もわからないです。
国に2000人しかいないのか、2000人もいるのか。。。
私が資格を取った時は数百人だったので、めっちゃ増えました。
というか、国家資格を目指していたので、増やしたというのが正しい表現かもしれません。
その2000人の中から自分にあったガイドを選ぶのは難しいですよね〜。
私はこの業界を23歳から始めたので、もう23年もいることになります。その経験を生かして、いろいろアドバイスできたらいいかなと思って書いてみます。
あくまで、私の私見です。同業ガイドの方、クレーム等はなしでお願いします!
山のガイド(日本山岳ガイド協会)の資格区分とは
日本山岳ガイド協会の登山資格は現在4つのカテゴリーに分かれています。
さらにカテゴリー内でステージが分かれています。
自然ガイド(ステージⅠ・Ⅱ)
登山ガイド(ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲ)
山岳ガイド(ステージⅠ・Ⅱ)
国際山岳ガイド
自然⇒登山⇒山岳⇒国際の順で資格取得の難易度が高くなります。
また、ステージⅠ→Ⅱ→Ⅲの順で難易度が高くなります。
私は登山ガイドのステージⅡです。
きっと人数が一番多いんじゃないかな?と思う資格区分です。
もっと難しい資格取らないの??って聞かれることもあるけど、私の場合は登山Ⅱで充分。ガイドビジネスとして考えると、難易度&リスクの高い山に少人数(1〜2名)を案内するより、難易度の高くない山をやや多めの人数(4〜6名)を案内する方が絶対にいいですしね。難易度の高い山は気象条件で中止にする確率も高くなります。中止だと収入は0!ということで、現状の資格で満足。
自分の登山スタイルにあったガイドを選ぶ
雪山をピッケルでガンガン登ったり、岩場でロープを使う登山を案内してほしい方は迷わず山岳ガイドを選んでください。今は普通の登山道だけで、本格的な雪山や登攀は無理でも、将来的に目指したい方も山岳ガイドを選んでおくといいでしょう。というのは、登山ガイドは本格的な雪山や登攀の案内に制限があります。自分がレベルアップした時に、登山ガイドだと案内できないケースが出きます。因みにそんなケースだと私は登山ガイドなので、担当できません。。。
一般登山の場合は、登山ガイドでも山岳ガイドでも同じです。
これまで多くのガイドさんを見てきて思うのは、自然や花に詳しいのは登山ガイドの方が確率が高いかな?それは岩場を案内できない分、ガイドの武器が知識になるからではないかなと。私ももちろん岩は登ったりしますが、間違いなく自然を案内解説するほうが得意です。
ただガイドさんを漠然と探すのではなく、雪山に強い、岩場に強い、花に強いなどのポイントを決めて問い合わせてみるといいでしょう。
難しい資格を持っているのはいいガイドさん??
お客さんにとっていいガイドというのは様々です。
難しい所へ安全に連れて行ってくれるガイド
体力を理解してゆっくり歩いてくれるガイド
花や自然に詳しいガイド
とにかく親切なガイド
それは資格と結びついている訳ではありません。私の知っているガイドでも優れた登攀能力やガイド能力があるのに、上級資格を目指さない人も多くいます。研修にも時間がかかるので、不要と考えるようです。通常の夏山を歩くには登山ガイドステージⅠ以上であれば問題はありません。雪山は登山ガイドステージⅡ以上が必要になります。バリエーションルートは山岳ガイド以上が必要です。
難しい山に登っているのはいいガイドさん??
一部のガイドさんのWEBなんかを見ると、過去の遠征の実績をズラッと並べている方もいらっしゃいます。もちろん、登山者としては素晴らしいことなんですが。。。
お客さんはガイドの過去の経歴を買うわけではありません。また、通常のガイドではそういった海外遠征の経験は必要ありません。でもプライベートも山が好きで登るガイドさんは大好きです。
私も海外の山にはよく登りましたが、その経験が実際に日本の山のガイドに役立つかといえば、ほぼ立たないです(笑)
私も名刺には北極から南極まで、六甲山からキリマンジャロまでなんて入れています。ぶっちゃけ反応はいいですし、覚えてもらえます。でもそういうことと、お客さんを満足させるガイディングとは別ということです。
現地ガイドかどこでも行けるマルチガイドか?
どっちがいいの?って聞かれて困るのがこの質問。現地ガイドは、いい人に当たると本当に楽しい。その山域の知識や経験は豊富で、何を聞いても答えてくれる!
ところが、失礼な言い方ですがハズレに当たると。。。同じコースを年に何十回と歩いていると、それが日常になってしまい、お客さんに感動を与えることができなくなる人がいます。ホスピタリティもなく、そのお客さんにリピーターになってもらおうと頑張ることもない。流れ作業のようなガイドを目にすることがあります。現地のガイド会社の雇われガイドに多い傾向です。
マルチガイドはいろいろな山をガイドするので、現地ガイドほど詳しくないケースが多いです。しかし、いろいろな山を知っている強みもあります。お客さんの希望にも応えやすい。
難しい山やコースを登る場合は一カ所に精通した現地ガイドさん。
全国のいろいろな山を登りたい場合は、日本中を案内できるマルチガイドさんの方がいいかなぁと思います。同じガイドさんと何回も歩いたほうがお互いのペースや好みがわかるので、満足度や安心感は上がると思います。
専業ガイドと副業ガイド
山のガイドは以下の3種類に分けられます
ガイド一本でやっている専業ガイド
ガイドでは安定しないので副業も行う副業ガイド
メインの仕事があり、それを補うための副業ガイド
私個人的には、専業で頑張っているガイドさんをおすすめしたいです。一般の方の想像以上に、ガイドの仕事は安定しないですからね。
専業でやっている方はガイド全体の比率のうち僅かです。私もサイトの運営や雑誌などに記事を書いたりするので見方によっては100%の専業ではないかもしれませんが。
登山系旅行会社出身ガイドをすすめる 6つの理由
旅行会社の社員として通常勤務以外にガイドや添乗員をやっていて、独立して成功するガイドが増えています。私も成功かどうかはわからないですが、独立したうちの1人。現状だと、なんとか専業で食べていけそうです。
独立してから、旅行会社での知識や経験がものすごく役に立つんですね。これは、最初から個人ガイドをしていたら絶対に絶対に得ることができなかったことです。
いろいろなガイドのやり方を知っている
添乗員として山に行く場合、全国のいろんなガイドさんの案内で山を歩くことになります。最初から個人ガイドとして独立した場合、我流か師匠(いれば)のやり方しか知りません。いろんなガイドさんの、いいところは真似して、良くないところは真似ないようにする。私はこれがものすごく役に立ちました。北海道から沖縄までくまなく案内できるのも、その経験があればこそ。
旅行の知識が豊富
当然ですが、旅行の知識が豊富です。いい宿、いい食事、安い交通機関、いい寄り道、観光など。山の事以外も知っていることが多いかなぁ〜と思います。きっと企画も上手です。
海外の山にも詳しい
海外をやっていない会社もありますが、これまで勤めた会社では世界中を案内していました。私も北極から南極までという、どう考えても個人ガイドでは無理な経験もさせてもらいました。気がつけは50カ国以上の国や地域を歩いていましたし。それを自分の実力と勘違いしないようにしないといけませんが。
過去のいろいろな事例を知っている
実際に山に行っていない時は、ツアー登山の管理をしたりします。毎回予定通り進む順調なツアー、トラブルの多いツアー、花の状況、紅葉の状況など、多くの記録を読んでいます。個人では絶対に得られない情報が集まってきました。
ホスピタリティーが高いような
個人ガイドでお客がガイドにクレームを言うのはなかなか難しいと思います。嫌なら去るだけ。でも、旅行会社は簡単にクレームが来るし、アンケートで採点されますからね。いろいろなことがスムーズにできるように、お客さんの気持ちを先回りして考える癖が付きます。
ネットワークが豊富
元◎◎トラベルの〜と話すと、宿や山小屋では話が早いことが多いです。
いつまで保つか知りませんが、旅行社時代の影響ですね。
ガイドが紹介したいと思う山のガイドとは
私が思う、仕事をお願いしたい、紹介したいなぁと思う、ガイドさんの共通点は以下。
サービス業の自覚がある
接客業、サービス業の自覚のあるガイドさんがいいですね。時に、山は甘くない!っていう頑固親父スタイルの方もいますが。。。でもお客なんに無理なことはNOとはっきりと言えること。
新しい装備をいち早く取り入れる
勉強熱心ということ。ヨレヨレの装備やウェアで山に行かない。お客さんの見本になるスタイルは大切です。
プライベートでも山に登る
自分の山を全然しないガイドさんがいます。忙しいと山に行けないこともありますが、時間を作ってでもでかけるガイドさんは大好きです。山が好き、勉強熱心なガイドさんを紹介したい。
WEBサイトがしっかりしている
本気でやっているガイドなら、ちゃんとWEBサイトを作っていると思います。本気でガイドで食べていくなら、WEBは絶対必要な時代ですからね。そこにちゃんと投資しているか、時間を使っているか。わかりやすい指標です。今の時代これがないと紹介できないですし。
人気のあるガイドは間違いない!
人気があるのが一番! こう言ってしまうと、身も蓋もないかもしれませんが、これが間違いないです。
ガイドは、経験が必要な職業です。人気のあるガイドの仕事量は多いので、ガイド経験と接客業としての経験も豊富になります。経験を積めば、更にガイドが上手になり人気が出るという好循環が生まれます。お客さんが何を求めているのか、わかるようになりますからね! 仕事の少ないガイドとは、経験値がドンドン開いていきます。
問題があるとすれば、予約が取れない可能性があるということでしょうか。
もちろん人間同士なので、合う合わないはあるでしょうけど。
山岳ガイド・登山ガイドの頼み方
日本山岳ガイド協会のガイドは、必ずガイド協会の下部組織に入会しなければいけません。
一覧はこちらから。
私はその中のマウンテンガイド協会に所属しています。
各協会に頼むとガイドは紹介してもらえます。しかし、各協会の事務局が初めてのお客さんに評判のいいガイドを優先して紹介してくれるかはわかりません。
行きたい山があれば、半年前からでもいいので早めに相談しちゃいましょう。
おすすめのガイドさん
実はガイドだけで食べていくって大変なんです。一般的に冬は仕事も減るし。忙しい夏も体は一つだけ。副業無しでガイド業一本でやっていく覚悟・技術・顧客がいる人は多くないです。
以下に紹介するガイドさんは、ガイド専業。お願いするなら、早めの予約必須です!
海外に行くなら高千穂ガイド
写真や旅も得意な上鶴ガイド
マルチな石原ガイド
一応、私の問い合わせ先も(^^)
ガイドに問い合わせをする時のお願い
簡単にキャンセルしないでほしい
旅行会社のツアーのように簡単にキャンセルする方がいるようです。
その方のために考えたオリジナルプランなら特に。ぶっちゃけ、知り合いの紹介ではなく、ネットで予約された方は、キャンセル率が高いです。
プラン泥棒はやめよう
依頼が来て、こんなのどうですか??って送ったら音信不通。。。もしかしてプラン泥棒?
以降、私は依頼があった場合は先に一定の代金を振り込んでいただいてから、プランを送るように変更しました。
日時、人数、目的をはっきりさせて依頼がほしい
◎◎山へ登りたいんですが。。。行けますか??
といった漠然とした質問とも依頼とも判断しかねる問い合わせが多いです。
日時・人数・過去の経験は必ず記入して欲しいです。どうせ聞くことなので。その上で判断したいと思います。
連絡先はメールのみで電話番号の記入を嫌がる方もいますが、お話したほうが早いので、私はお電話をしてから、決めた事や内容を忘備録としてメールします。最終的に電話番号を知らない方のガイドはできませんからね!
日本には観光や山にガイドを雇って行くという文化が根づいていません。
これから根付くかもしれないし、根付かないかもしれない。
それは私達ガイドがどれだけいい案内をして、満足度を高くできるかってことに依るかとは思います。頑張らないとね!
我流で登山をしている方は、一度ガイドと歩いてみてください。
いろんな基礎的な登山の知識が得られると思いますよ。
依頼があればこちらまでお願いします。
私のスケジュールが埋まっている場合は別のガイドを紹介します!