登山用 寝袋マットの種類と選び方

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テントと寝袋を手に入れたら、次に必要なのは寝袋マット(シュラフマット)です。

快適な睡眠やテント生活のためには欠かせない、マットはどのような選び方をすればよいのでしょうか?
1万円以上するものから、ホームセンターでは数百円で販売されているものもあります。一体何が違うのでしょうか?

これまでテントで数百回も宿泊してきたプロガイドが説明します。最近のテント泊は雪山の写真が多いですが、夏も同じです!

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寝袋マット(シュラフマット)とは

その名の通り、寝袋の下に敷くマットのことです。快適な睡眠のためには欠かすことのできない、重要な装備。いいテントやいい寝袋を購入しても、マットが悪ければ快適に過ごすことはできません。

寝袋を選ぶのと同じように、マット選びはとても重要です。

寝袋マットが必要な理由

ぶっちゃけ、マットがなくても眠れないことはありませんが、いい寝袋でマットが無いより、安い寝袋でいいマットの方が快適な睡眠がとれます。

地面の冷気をシャットアウト

秋から冬の登山でのキャンプで重要なのが、地面からの冷気を遮断することです。地面と寝袋の間にマットがあることによって、地面からの冷気を遮断することができます。夏山ではそれほど重要なポイントではありませんが、冬場になるとマットの選択は寝袋の選択並みに重要になります。

地面の凸凹をクッションでカバー

夏山でも地面に直接寝るのは、不快です。クッション性の高いマットなら快適に眠ることができます。冬ほど重要な装備ではなくなります。

寝袋マットの種類

マットには大きく3種類があります。個人的にはクローズドセル→インフレーター→エアマットの順で好みです。どれを選ぶかと聞かれたら、クローズドセル!

圧倒的おすすめはクローズドセルマット

クローズドセルタイプは、断熱発泡素材をマットにしたものです。いわゆる銀マットと言われるものもこのカテゴリーに含まれます。

収納性・重さ
クローズドセルタイプは折りたたんだり、丸めたりして収納するので、かさばり収納のサイズは他の2タイプに比べると大きくなります。しかし、軽い素材でできているので、見た目の割に軽いです。大型ザック以外は内部に収納するのは難しいので、サックのサイドや上部などに固定します。岩場の多い登山道や風が強い稜線では、邪魔になったり、風の抵抗が大きくなったりすることがあります。

使いやすさ
広げるだけなので、使いたい時に即座に使えます。収納も速いので、行動中に利用可能です。

耐久性
クローズドセルの耐久性はずば抜けています。私のクローズドセルはなんと25年使っています!他の2種類とは異なり、穴が空いてマットとして使えないなんてことはありません!長期間使用する場合や、雪山などマットがなくなると困るような環境では重要です。但し、ホームセンターのノーブランド銀マット製品は数年でヘタり厚さがなくなります。

断熱性
このカテゴリーの製品は、値段によって断熱力にかなりの違いがあります。断熱力の劣る銀マットは夏向けです。EVA素材でできているものはかなりの断熱力を備えていて、冬山の使用でも問題がありません。

快適性
ちょっと固めですが、フワフワしないので、個人的には好みです。

エアマット

空気で膨らますマットです。

収納性・重さ
収納サイズは小さく、軽いです。持ち運びしやすいです。

使いやすさ
空気を入れないと使えないので、すぐにマットが欲しくても、空気を入れる作業が必要です。撤収時は空気を抜く作業も。行動中にはまず使えません。

耐久性
エアーマットの最大の弱点が耐久性です。穴が空いてしまうと空気が漏れ、使えなくなってしまいます。冬なら致命的。またしっかり空気を入れていても徐々に抜けてきます。夜と朝では嵩が違うことも。

断熱性
必要十分な断熱性はあります。しコスパから考えるとイマイチかも知れません。

 快適性
フワフワしているので、個人的には好みではありません。

インフレーターマット

バルブを開けるとスポンジが膨張し、ある程度自動で空気を吸って膨張します。最後はエアマットと同じように自分で空気を入れたほうがいいですが。エアマットと同じように、空気を抜いて収納するので、コンパクトなります。

収納性・重さ
エアマットよりスポンジが入っている分エアマットよりかさばりますが、クローズドセルに比べると圧倒的にコンパクトです。

使いやすさ
最後は自分で空気をいれるので、エアマットよりちょっとだけ楽かなって程度。

耐久性
エアマットと同じで穴が空いたら使えません。スポンジが入っている分、ほんの少しだけエアマットよりマシなくらい。買って5年位で、内部のスポンジが劣化&剥離して使えなくなったことがあります。

 断熱性
必要十分な断熱性はあります。しかし、クローズドセルの方が断熱力が高かったりします。コスパから考えるとイマイチかも知れません。

快適性
ちょっと固めですが、フワフワしないので、個人的には好みです。

寝袋マットの選び方

上記の3タイプの特徴を理解して選びましょう。

ちなみに、私と雪山に行くメンバーはほぼ100%サーマレスト製のマットです。

耐久性と使いやすさを優先

オートキャンプやツーリングで使う場合は別として、登山は厳しい環境での利用を想定したほうがいいです。どんな場所でもいつでも使える、クローズドセルタイプを強く強くおすすめします。例えば、こんな環境ではエアマット使えません。

敷物として使えるのは便利!

長過ぎるマットを買わない

頭の先から足の先までのマットは必要でしょうか?頭は何かで枕にしたり、足元にはサックを置いたりしませんか? 長ければ長いほど快適ではありますが、その分マットは嵩張ります。私の場合、膝下までのマットにしています。

おすすめの寝袋マット

サーマレスト リッジレスト

私が25年以上使っていたのは、このシリーズ。抜群の耐久性能と断熱性能で四季を問わず、日本中の山を泊まり歩きました。絶大な信頼をおいています。色々な長さがあるので購入時は長さに注意。大型ザックなら、ザック内部に収納できます。今も使えるけど(家族用)、友人がみんな新しいZライトを買っているので、悔しくて自分もZライトに買い替えました(笑)

サーマレスト Zライト

現在はこれを使っています。抜群の耐久性能と断熱性能で四季を問わず使えます。折り畳めてリッジレストより運びやすくしたものです。これは折りたたんで座布団やテント内の椅子としても使えるので、便利です。

おすすめのマットにインフレータとエアマットを入れない理由

空気を入れるタイプは、寝心地も良さそうで、いい感じがします。私もそう思ってインフレータータイプと併用していた時期もあります。

しかし、インフレータータイプの寿命は3〜5年。寝ている時にプチプチと音がし始めて、接着面が剥離していく様子を目の当たりにしました。幸い、カヤックキャンプだったのでなんとかなりましたが、雪山なら致命的です。また、同行者のエアマットの空気漏れも見てきました。そして、畳むのも面倒くさい。これまでの経験上、最も故障しやすい登山用品の一つだと思います。

一部では、クローズドセルマットはザックの外付けになるので、岩に当たると危ない。という理由でクローズドセルタイプは初心者にはおすすめできないって言う人もいます。しかし、初心者がテントを背負って岩場に行くのは、もっとおすすめできないと思うんですけどね。マットどうこう言うより、そっちが問題でしょ。

テントの外で遠慮なく使え、信頼性の高いクローズドセルタイプは、ほんとに安心。特にZライトは抜群です。壊れない、多少手荒に扱ってもいい物を。

寝袋は真剣に丁寧に選ぶのに、マットのことになると適当に選んじゃう人がいます。寝袋とマットはセットで考えるようにしましょう!