死んだシカの頭をつけた エゾシカ

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登山&アウトドアガイドの沖本です!
登山以外に自然観察、動物観察も案内します。

2021年、冬の北海道では死んだシカの頭をつけたシカが、ちょっと話題になっていました。
この冬は4回ほど野付半島を案内する機会があったのですが、3回でこのシカを見かけました。

どうしてこういう事が起こるのか、解説してみたいと思います。 ちょっとグロイ写真もありますので、自然の可愛いところ、キレイなところだけ見たいという方は、ここから先は離脱した方がいいかもしれません。でも自然に興味があれば、読んだほうがいいと思います(笑)

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野付半島のエゾシカ

私は野付半島が大好きです。道東の知床半島の南にある小さい半島なのですが、とっても面白いんです。砂嘴(さし)という、砂が海流で運ばれてできた地形です。砂が溜まっただけなので、ほぼ平で強い風が吹き抜けます。野生動物や鳥類が簡単に見られるので、20年以上冬の野付半島には通っています。

エゾシカは、本州のホンシュウジカよりも大きく角も立派です。
日本のシカはケラマジカ<ヤクシカ<ホンシュウジカ<エゾシカと北に行くほど大きくなります。

こういった写真は北欧のイメージに近く、トナカイが走っていると錯覚しそうになることも

野付半島の内側にある野付湾は、水深が浅く冬期は凍結します。それがまた広大な感じにさせてくれます。

現在の冬の北海道にはエゾシカの天敵はいません。エゾオオカミは絶滅したし、ヒグマは冬眠中だし。

非常にリラックスして、集団になり人間の近くで餌を食べています。一部のシカは奈良公園のシカに近いイメージだと思ってください。逃げないというより、人間のエリアに入り込んできています。

死んでも絡んだ角と頭が離れないシカ

頭の大きなシカを発見

このシカを最初に見た時は衝撃でした。こういうのがいるっていいうのを、まだ知りませんでしたから!

ちらっと見て、なんか頭の大きな鹿がいるぞ!!角が複雑?? っていう認識です。野付半島には奈良公園並みに大量のエゾシカがいます。途中からはシカに対して興味を持たなくなります。まさか頭が絡んでいるとは思っていないですからね。

よく見て、状況が理解できて、驚きましたよ(笑) こんな奇跡みたいなことが起こるんだと!

このような状況になるまで(推測)

現場を見たわけではないのですが、こう考えるのが最も理にかなっています。

オスのシカは、角をぶつけ合い力比べをします。秋の繁殖期前は特に激しくなります。

そして、その角が奇跡的な角度と力で絡み合って、外れなくなる。

このシカの状況を理解した時に、閃いたのは「星野道夫」の本に出てくる、角の絡まったカリブーの写真。

そういうことか!

この世界に入る前、入ってから、星野道夫の本は全て読みましたし、殆どの本は家にあります。

そして、その写真から絵本ができたようです。これは読んでいませんが。。。

絡まって、外れなくなった2匹のシカは、自由に動くことも餌も食べることができずに衰弱します。

どれくらいの時間が立ったのか。

片方が衰弱死します。

きっとオオワシやオジロワシ、カラスなどがその死体を食べに来たことでしょう。それを目の前で見ていたかもしれないし、早く死ねと突っつかれたかもしれません。

そして、それに耐えて、死体から首を引きちぎり、立ち上がる。

このシカはメチャメチャ生命力のあるタフなやつです!

一見グロイですが、強い生命力を感じる、生き抜く力を感じさせます。

春になれば、鹿の角は落ちて生え変わります。また、元の生活に戻れます。もう少し頑張って!!

こういうシカが生き残ったことを考える

こういった試練を乗り越えて、このシカが生き残っていることに感動する一方で、なにかおかしいな?って感じませんか。

本来の自然環境であれば、こういったハンデを持つ(角が絡まっている時は動けない、頭をつけていては重くて早く走れない)草食動物は、真っ先に肉食動物に狩られる運命にあります。狩られて、肉食動物の命を繋いでいきます。

もしも、アフリカのサバンナであれば、生き残ることはできなかったでしょう。北米でも生き残ることはできなかったでしょう。

狼という天敵を人間が絶滅させ、数が増えすぎているエゾシカの現状の一部だと思います。

ということで、天敵がいなくなり、生態系が崩れているという証明みたいな存在のエゾシカでした。
※シカが増えた原因は、融雪剤に使われる塩化カルシウムを摂取するようになり、健康状態が良くなったからだともいわれています。一つだけではなく、いろいろな原因があるはずです。

最初は珍しいぞ!ってテンション上がりましたが、
よく考えると、こんな自然はおかしいんじゃないかっていう結論に至りました。

でも、見ることができてラッキーでした! 矛盾してるなぁ(笑)

これからも、珍しい野生にシーン出会えたら紹介したいと思います。

それほど高価なものでなくていいので、双眼鏡があると動物観察は楽しくなりますよ。

カメラ機材はこれを使っています。防塵防滴&超低温下でも安定して動くのでアウトドアで使うミラーレスとしてはおすすめです!

レンズはこれ。F2.8でテレコン1.4を装着してもF4で撮影できます。マイクロフォーサーズなので、フルサイズ一眼の420mm相当です。

倉本聰さんに写真を提供しました

北の国からで有名な倉本聰さん。その倉本聰さんから連絡がありまして、雑誌のコラムを書く時に載せる写真を提供しました。

提供した写真は、このブログのトップに使っているものです。記事を読んでみると、私がこの鹿を見て感じたこととは全然違いましたが、どう思うかは人それぞれだと思います。

これまで、いろんな雑誌やテレビ局なんかに写真を提供(販売)してきましたが、この案件が一番嬉しかったのは間違いないです。

提供したのは「財界」2023年12/6号です。

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