おすすめの山岳用ソロテントはどれ?

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登山&アウトドアガイドの沖本です!

「沖本さん、おすすめのテントはどれですか?」

よく聞かれることなのですが。なかなか答えづらいです。全てにおいて完璧なものはないですからね。
常に勉強は必要なので、ちょっと時間がある時に人気のソロ用のテントについて比べてみました。

お世話になっているメーカーもありますが、忖度せずに思ったことを書きたいと思います(笑) 今回は自前と友人のテントを集めて比べています。メーカーからテントを借りて記事書いちゃったりすると、本当に思ったこと書けないですから。

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ソロ用の山岳テントを比べてみた

最近、ソロのテントが売れています。私の案内するお客さんもかなりの確率でテントを所有するようになりました。先日、台高山脈の明神平でテントをいっぱい持ち寄って宿泊したのですが、その時に色々気づいたことがあったので、確認しようと思い比べてみました。すべて2人用ということになっていますが、ソロでも2人用の方が広くて重量も大差ないので、私は常に2人用を薦めています。

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山と自然を案内する 旅とアウトドアの達人

比べたのは以下の通年使える定番テント

よくWEBで情報だけ集めて、スペックなどの数字の羅列で比べた記事とかありますが、私はそんなことはしません。
実際に触っていない物の批評なんてできようがないし、ましてやオススメ記事なんて書けるわけない。

今回紹介するテントなら、テントだけを持って100g〜200gの違いはわかっても、パッキングしちゃえばそれは誤差の範囲。あまり細かく数値を気にすることは必要ありません。それよりコンセプトやテントの個性を理解して選びましょう。

アライテント エアライズ2

定番のテント。メーカーのWEBサイトなどに力が入っていないので、ネット検索だけなら購買意欲が掻き立てられないですね。特に秀でた所はないが、設営しやすく非常に安定した商品。個人的に好み。同社のタフライズを所有していますが、長年使っても故障もなく信頼性は高いです。

重量 1,550g
サイズ 間口130×奥行210×高さ105cm 短辺に出入口
タイプ スリーブ

プロモンテ VL-27

初めて設営しましたが、ダンロップに似ている印象。細部まで考えて作られてあり好印象でした。同じ吊り下げ式にしては、ステラリッジより薦めます。

重量 1,490g
サイズ 間口205×奥行120×高さ100cm 長辺に出入口
タイプ 吊り下げ

モンベル ステラリッジ2

ド定番のテントです。初心者の多い山では非常によく見かけます。しかし、比較した4つのテントの中ではやや品質面で劣る印象があります。というのは、私の所有するステラリッジ4は1年ほどの使用で吊り下げ部が裂けて修理中なので。テントとフライは別売りになります。アマゾンのリンクは貼っていますが、モンベルのオンラインショップの方が安く買えます。

重量 1,430g
サイズ 間口130×奥行210×高さ105cm 短辺に出入口
タイプ 吊り下げ

ファイントラック カミナドーム2

最も軽く、イメージ戦略も上手で購買意欲を掻き立てられる。私も所有しているがコンパクトで良いものの、使用する登山者をやや選ぶ傾向があります。商品に関する理解が必要な商品。初心者向きではないイメージ。

重量 1,310g
サイズ 間口212×奥行130×高さ105cm 長辺に出入口
タイプ スリーブ

ソロテント 目的別比較

比較するに当たり、私は設営していません。今回2名にアシスタントを頼んで、設営してもらいました。私がやっちゃえば、どれでもそんなに問題なく設営できますからね。実際の使用者に近い感覚をお伝えできればいいかなと。

誰でも張りやすいソロテントとは

ズバリ、最も設営しやすい、張りやすいテントは、アライテントのエアライズ2です!

スリーブにポールを差し込むと反対が袋状になっているので、設営が非常にスムーズです。力も要りません。

ファイントラックのカミナドームは、ポールの両端にグロメットがあります。2人以上で設営する時は大きな問題にはなりにくいですが、1人で設営する場合は反対に回り込む必要があるので、面倒で時間がかかります。
そして、女性の力では困難なほどのテンションをポールにかけることが求められます。実際に張ってみて、このテントを購入するのを諦めた女性がいるくらいですから。

私が設営する場合は何の問題もないので、こういった体験をしてみないとわからないことです。
ということで、ファイントラックのカミナドーム2はパワーのない女性には勧めません。

テント自体は非常にしっかりしていて強度があるかと思います。でも、張れなければ意味ないですからね。

2番目に張りやすいと思ったのは、プロモンテのVL-27です。
本体と四隅がスリーブによりしっかりと固定されてます。

グロメットを差し込むだけのステラリッジとは大きく違います。

更に吊り下げのフックはねじることで簡単にポールと本体を固定できます。力は要りません。

ステラリッジは片側にしか爪がなく、パチンと力を入れてセットします。
これは断然VL-27の方が優れています。

ということで、今回のメンバーでの張りやすさは以下の順位になりました。

1位 アライテント エアライズ2
2位 プロモンテ VL-27
3位 モンベル ステラリッジ
4位 ファイントラック カミナドーム2

丈夫なソロテントはどれ?

ファイントラックのカミナドーム2は、テントを張った時のしっかり感が他のテントと違います。設営時に大きなテンションが必要なのが、強度に関係しているのかもしれません。また、ダイニーマ(イザナス)で要所が補強されていますから、信頼性が高いです。

逆に強度に不安を持つのがモンベルのステラリッジ2です。
ステラリッジは13個のフックで本体を支えています

一方テント本体を吊り下げるフックの数はプロモンテのVL-27も同じ。しかし、VL-27は四隅がスリーブで固定されているので、実際はステラリッジ2の方がテントを支えるポイントが少ないということになります。明らかにVL-27の方がテント本体がポールからキレイに吊り下がっています。さらにフックとフックの間も補強されています。フックの間隔が狭いうえに特定のフックに力が集中しないようになっているのがわかります。

フック1つあたりに掛かる力が強くなるので、ステラリッジが構造的に弱いのは想像できると思います。
私のステラリッジ4は、この秋にこんなことになりました。。。フックの場所が裂けています。修理に出したモンベルからの返答では初期不良ではないとのことです。これは初期不良よりアカン感じがします。強い力が加わったと予想されるそうです。スリーブ式であれば力が分散されて裂けることは考えづらいですよね。いくら丈夫なDACのポール使っても本体が脆ければ意味無し。購入は避けたほうがいいかも。

エアライズは構造が簡単なので、故障もしにくいし丈夫です。某メーカーはポールの片側が袋状でグロメットじゃないから耐久性に問題がありとか言っていました。しかし、私自身がこの構造の同社のテントを長期間使っていて耐久性に問題を感じていませんし、このテントで1000泊したお遍路さんもいるらしいです。スゴ!!

ということで、私の考える丈夫なテントは

1位 ファイントラック カミナドーム2
2位 プロモンテ VL-27
2位 アライテント エアライズ2
4位 モンベル ステラリッジ2

快適なソロテントはどれ?

何をもって快適なテントというかはそれぞれ。ここでは空間の広さと全室の広さを比較してみたいと思います。
といっても、どのテントもそれほどの違いはありません。カタログスペックではプロモンテのVL-27が少し小さいですが、小さいと思う方は20cm長くなったロングバージョンもあります。

はっきりと差が出るのは、テントの出入り口が短辺にあるか、長辺にあるのかということ。
短辺はアライテントのエアライズ2とモンベルのステラリッジ2長辺がファイントラックのカミナドーム2とプロモンテのVL-27。

左からモンベルのステラリッジ2、アライテントのエアライズ2、プロモンテのVL-27、ファイントラックのカミナドーム2

通常、テントの出入り口は風下にします。しかし、長辺に出入り口があると、出入り口を風下にした場合は風に対して横に張ることになるので、空気抵抗が大きくなります。短辺なら理想的な設営が可能。

前室が広く、快適に過ごせるのは長辺の出入り口。これはどっちを優先するかということになります。

強いて言うなら、設営が上手にできない初心者は短辺の出入り口を勧め、上級者は快適な長辺を勧めるといった感じでしょうか。

天井の高さも重要です。プロモンテVL-27は100cm、他は105cmです。カタログスペックではほぼ同じですが、空間の広さは異なります。空間を広く使えるのはスリーブ状のテント。吊り下げ式はフックの数が多い方がポールにテントが近づき広くなります。

ファイントラックのカミナドームはポールの硬さを変えることで天井部の空間が広くなるように設計されています。一方でモンベルのステラリッジはポールと本体はこんなに離れているので空間は狭くなります。

その辺を考慮して、こんな順位にしました。

快適なソロテント

1位 ファイントラック カミナドーム2
2位 アライテント エアライズ2
3位 プロモンテ VL-27
3位 モンベル ステラリッジ2 

フライシートを比べてみる

フライシートの固定は好き嫌いが分かれるかもしれません。

モンベルのステラリッジはゴムに引っ掛けるだけ!簡単と思いますが、若干力が必要になります。そして張り具合の調整ができません。ゴムの耐久性に疑問は感じたりしますが、力があれば簡単です。製造コストも安そう。

アライテントのエアライズ2とプロモンテのVL-27は片側をグロメットで固定してからバックルで調整します。耐久性に問題はないし、上向きに引っ張るので調整しやすいです。

ファイントラックのカミナドーム2はバックルの調整が下向きに引っ張ります。正直、これは謎仕様。使いにくい。

フライシートは見た目も大事!
ファイントラックのフライはオレンジと濃いグレーの2色を使用しています、1色よりも高級感があります。他は1色です。その代わり、モンベルのステラリッジ4色、アライテントのエアライズは2色からフライを選べます。

各社のフライで気づいた点は以下
モンベル・ステラリッジ2 Wファスナーは便利ですが、とにかく噛みまくる。スムーズに開閉できる確率が低くて、ストレスがたまります。これは改善してほしい。
アライテント・エアライズ2 女子には、入り口右側に縫い付けられているアライテントのタグが、ダサすぎるそうです。

フライには順番を付けません。

収納時の比較

最も優れているのは、モンベルのステラリッジ2。本体とフライが別の袋なのですが。本体の袋に余裕があり、雨で濡れていても簡単に収納できます。ほかの3つは雨で濡らすと収納はちょっと大変。アライテントのエアライズは袋のコードストッパーが付いていないので、使いにくい。百均などで買い足すことを強く勧めます。

左からアライテント/エアライズ・プロモンテ/VL-27・サマヤ/サマヤ2.5・モンベル/ステラリッジ・ファイントラック/カミナドーム になります。

サマヤ2.5は今回比較出るテントではなかったので除外しました。後日、詳しく書きます!

世界最軽量シングルウォールテント Samaya2.5
シングルウォールテント2〜3人用で世界最軽量らしい、Samayaのテントを衝動買いしちゃいました! 軽くて使いやすくていいテントです。詳しく紹介するために、実際に雪山に持っていきました。

結論としては

私がプライベートで買うとすれば、ファイントラックのカミナドーム2ですかね、というか実際に所有しています。高いだけのことはあると思います。でも初心者や女性にはあまり勧めません。

オールマイティーに使え、誰にでも勧めるならアライテントのエアライズ2でしょうか。

吊り下げタイプなら プロモンテVL-27

モンベルのステラリッジはいくつかのポイントでライバルより劣っています。特に強度に不安があるテントは買ってはいけません。ポールなどはいい素材を使っているのに勿体ないです。ステラリッジは前モデルまでスリーブ式だったので、もう少し熟成が必要なのかもしれません。今のモデルは買わないほうがいいかと思います。次期モデルでの改良を期待します。フライの色を選べるのはいいと思いますが。

ファイントラックのカミナドームはここで詳しく書いています。

ファイントラックのテントを使ってみた
ファイントラック社のテント、カミナドームシリーズは超軽量で厳冬期まで対応可能なテントです。2年ほど使ってみたので、使用感か気になったポイントなどについて書いてみたいと思います。

すべての人の要望を満たすテントは難しいです。
軽くて、耐久性があり、張りやすく、快適で、しかも安いっていうのは無理です。

優先順位を決めてから、検討してみましょう。

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