登山&アウトドガイドの沖本です!
ガイドだって、遊びに行きたいです(笑) ガイドの遊びは一般の人と比べたら、ヘビーなアウトドアになることが多いです。
そこで、ずっと行きたいと思っていた、知床岬へ友人と行くことにしました!
知らない人からすると、車で行けるんじゃない??ってな感覚かもしれませんが、いやいや日本で一番行くのが大変な岬です!
わくわく(*^^*)
知床岬トレッキングの日程
トレッキング自体は3日間でしたが、天候待ちや予備日が絶対に必要なので、倍の時間を確保することが必要です。
結果的にこのような日程で行ってきました。
① | 関西空港より釧路空港へ 釧路湿原観光の後、釧路泊 |
② | 羅臼のルサフィールドパークで情報収集 ウトロ泊 |
③ | 天候待ちの間に観光 ウトロ泊 |
④ | 知床岬トレッキング 相泊…ペキンノ鼻付近 テント泊 |
⑤ | 知床岬トレッキング ペキンノ鼻…知床岬…滝ノ下 テント泊 |
⑥ | 知床岬トレッキング 滝ノ下…相泊 羅臼泊 |
⑦ | 阿寒湖温泉へ(予備日) 阿寒湖温泉泊 |
⑧ | 釧路空港より関西空港へ |
知床岬トレッキングまで
まずは釧路へ
出発の前日まで家族旅行で白馬岳。帰宅後、大忙しで準備を開始(^_^;) 次は自分の時間です!
出発日は2019年の8月15日。この時、関西には大型の台風が接近。もしかしたら飛行機が飛ばないかもって思いつつ関空へ。無事に飛行機は飛ぶものの、搭乗前に雨でずぶ濡れ(笑) LCCだからね、仕方ない。
機内に入ると、緊急速報 あらら。でも飛ぶからいいや!
予定通り、釧路に到着です。関西から道東は直行の飛行機がなかったので、このピーチのフライトはありがたい!
とりあえず最初の食事は海鮮丼で
台風は四国に上陸している状況ですが、2日後の8/17に北海道へ来る予報。。。
結果的にはこのような台風の進路で、途中で温帯低気圧に変化して、道東に大きな影響はありませんでしたが。
この時は嫌の予感がしまくってました。
友人は北海道2回目で、道東は初めてだったので観光案内。
湿原でタンチョウを探したり、湿原の展望台へ行ったり。
夜は釧路に宿泊
ホテルの部屋がランクアップでムダに広いスウィートルーム!
運を使い果たさなかったらいいけど。。。
ルサフィールドパーク
ホテルが快適なので、チェックアウト時間まで部屋でのんびり。天気は悪い。。。
お昼は豚丼!
情報収集にルサフィールドパークのある羅臼へ。
ココでは最新の情報が手に入ります。センターの方はすごく親切です!!
ちなみに、8月はトドの死体の漂着などでヒグマが海岸線に定着していて、危ないのでみんな帰ってきているとか。。。
半島まで歩くのに重要な潮汐のデータなどをいただきました。
クマスプレーのレンタルも可能です!
事前にイメージトレーニングしておきましょう(^_^;)
翌日(8/17)のトレッキングスタートはまだ高波が怖いので、8/18からスタートすることに。
この後、スタート地点の相泊へ行き、入山届を見てみ見てみる。残っている8月の届け出を見ると全員撤退してきていました。
宿泊はウトロへ。1泊2食、8,000円でコスパ最高(#^.^#) 食べてばかり。。。
道東観光
網走監獄博物館や摩周湖など、観光案内。
最近人気の天空の道
網走監獄博物館
美幌峠
明日からは簡素な食事になります。
友人は宿のゴールデンカムイを読んで、ヒグマの予習はバッチリとか。いや、もっと早く予習しろ(笑)
持っていく地形図はなんと25年前になる19歳の時に買ったもの。あの頃から行きたかったんだな〜。
やっと役に立つ時が来た。
知床岬トレッキング
計画では3泊4日で歩くつもりでしたが、台風の関係で出発が既に2日遅れています。残された時間は2泊3日で歩いて予備日が1日ということに。ちょっとハードですが、2泊3日で歩くことにしました。予備日は絶対に欲しいから。
地名がいろいろ出てきますが、わかりにくいです。地図を参考に読んでみてください!
すべてが難所でリスキーな世界って。。。
相泊からトッカリ瀬
いよいよ知床半島羅臼側の相泊からスタート!
クマスプレーの準備もバッチリ!
天気悪いけど、行ってきます!!
しばらくは番屋と番屋の後が残る海岸線
最初の川だけ橋がかかっていました。 以後は橋なし。
延々と海岸線を歩いて、最初の目標である観音岩へ
後で気づくが、ココが観音岩。よく見ると高巻きの道があるが、勢いで海岸線へ突っ込んでしまい、やや苦戦(^_^;)
へつりは最後が濡れそうだったので、登山靴から沢タビに変更
沢タビなら多少濡れても怖くない!という事で、観音岩のへつりを突破!
突破した海岸線。なかなか面白かった(*^^*)
でも、登り返すと、いい道が(^_^;) あれ?? カウンターまで。 どんまい!
まぁいいか。こういうのが楽しいなぁ〜って思う自分。
友人はヤマレコとかで完璧に調べてくればよかったって。。。
どっちが正しいってないけど、全く価値観が違うことに気づく。知床岬は冒険に行くところだから、調べすぎて行くなんて面白くない。自分で道を探していくのが楽しみだと思っていた。ルサフィールドパークにはポイントの歩き方が書いてあったけど、それも敢えて詳しく見てこなかった(笑) 潮の満ち引きなどは重要なのできっちり調べたけど。※ガイドをする時は全てきちんと調べますよ。
でも、この先は高巻きか渡渉かくらいは確認して歩くようにしました。
沢タビから登山靴に履き替えるのが面倒だなって思ったら、観音岩直下の沢は意外と水量があり、どちらにしろ履き替えていた可能性大。自分の足は濡れに弱いので、可能な限り濡らしたくない。
そのまま、トッカリ瀬まで行くことに。
浜には高級羅臼昆布がいっぱい。
それはいいんだけど、とにかくヌルヌルで滑る。
トッカリ瀬目前で、観光客を乗せた漁船が近づいてきて、この先にヒグマが2匹いることを教えてくれる。。。
お礼を言って、もちろん先へ進みます。
野生のヒグマとのファーストコンタクト(*^^*)
わかりにくいけど、指の先の崖の上にいます。
もう一匹は海岸線に。すぐに後ろの藪に入ってしまいました。
その後も海岸を歩いて
これは干潮の時間に合わせて通過しています。満潮だと大変でしょう。
とりあえず最初の難所はクリアです!
化石浜からペキンの鼻
高級昆布が〜!乾かして持って帰りたい気分になります。
海岸には朽ちた番屋が点々としています。
そして、タケノコ岩付近の巨石帯へ
意外と時間がかかります
たぶん海に突き出ているのがタケノコ岩
眼鏡岩は往路はくぐるのがわかりやすいけど、帰路はわかりにくい。
帰路はへつって帰ったので、難易度高めでした。
写真を見ると危なそう!とか思うかもしれないけど。だんだん慣れてきます(^^)
モイレウシを高巻き
高度感はないのでスルッといけちゃうけど、実は登りと下りが1本の同じロープで固定されていません。複数で登る時は要チェック。
高巻き抜けると次は剣岩へ
剣岩も干潮時に通過したいけど、トッカリ瀬とのタイミングが難しい。。。
この通過時間だと絶対に濡れるので、沢タビに履き替えて先へ。
濡れるのさえOKなら特にって場所でした
濡れるのが嫌とかじゃなく、楽しい(*^^*)
でも、距離があるので満潮時は通過しないほうがいいと思う
船泊の川を越えて
いい時間になったので、ペキンの鼻を越えたポイントで幕営することに。
初日最後の登りは、ペキンの鼻に。大きくてフレッシュな熊の足跡が!! こういう緊張感が楽しい。
登ると赤い鳥居が。過去にココへ入植していたのか、番屋の神様だったのかは知らないけど。。
荒々しい海岸線ばかり歩いていると、この景色にホッとする(*^^*)
キャンプ地へ到着!
テントはそれぞれがソロテント。カミナドーム2とエアライズ2。食事は3食ともモンベルのリゾッタ。夕食はカップヌードルのリフィルをプラス。
お湯が沸けばさっと食べられるので、楽です。味はまあまあ。
ペキンの鼻から知床岬
キャンプ地を出ると、いきなりの難所(笑)
近藤ヶ淵
ココは高巻きの踏み跡がいろいろあり、めっちゃわかりにくい! いけるやんって歩いていると踏み跡なくなって。。 あるのはシカとヒグマの足跡みたいな
まずは海岸の岩場
次は登って
最後はかき分けて(笑) きっと正解は違うんだろうけど、面白かった!
次は念仏岩がポイントらしい。しばらくは海岸線をズンズン進みます。
昆布は見飽きた。。。
立派な番屋が(この時期は無人)
番屋を越えると男滝と女滝
岬に到達した後、今夜はココでキャンプがしたい!!
オオセグロカモメの繁殖地
念仏岩
高巻きの入り口を見つけると難なく通過
最大の難所はカブト岩の高巻き
標高差は100m程度
景色が良くてテンション上がる!!!
しかし、北斜面の下りはなかなか足場がもろく、友人の実力ではやや危険を感じる。
ここで初めてザイルを出す
しかし、このエリアは支点になるものがない。。。やむなく腰絡みで下りてもらうことに。
とにかく土がもろく、クライミングできないとココはしんどいね。
支点がないということは、自分の時は誰も確保してくれない。。。慎重に下りました!
あとは、知床岬を目指すだけ!!!って思っていたら
のっしのっしとやってきた。こっちが声を出しても無視。。
キタァ〜!! ってビビることもなく、クマの進路を邪魔しないように山側へ避けてやり過ごします。
これくらいの距離感なら大丈夫(*^^*) もちろん、クマスプレーの準備はしていましたよ!
テンション上がった!! そして天気も良くなった!
岬を目指して、赤岩の海岸を進みます。
遠くから見えていたローソク岩へ
ローソク岩を過ぎると、ついに知床岬の灯台が目に入ってきた!!
もう少し!!
と思ったら、次は正面から親子クマ。これは慎重に行動しないと。。。
斜面を登って距離を保ちました。
親子クマ、かわいい(*^^*)
海岸段丘の上に出ちゃったので、そのまま岬を目指します。
絶景だなぁ
そして、知床岬についに到達!!!
19歳からの夢と言ったらオーバーだけど、ずっと引っかかっていたものが取れた感じ(*^^*)
今の自分には全く難しいとは感じなかったけど、ここへ来るまでのハードルは高いね。
ただ、来た道を帰るのはしんどい(^_^;)
海岸線を引き返し
苦労したカブト岩の高巻きを登り返し
予定キャンプ地へ
無事到着!! お疲れ様〜!
相泊へ
砂地で快適。良いキャンプ地でした!!
周囲にはクマの足跡と糞がいっぱいだったけど、疲れてすぐ寝た(笑)
相泊まで帰りましょう!
往路でやや苦戦した海岸は干潮でらくらく通過!!
ありがたい
しかし、トッカリ瀬へ着く頃には、潮位が上がり。。。 写真だけ見ると危ないね。。
相泊の番屋が見える頃には友人はヘロヘロに。もうベトベトで、海水か雨か汗かわからない(笑)
でも、そこそこのスピードで歩く自分に、一生懸命ついてきてくれて嬉しかった。決して遅いわけじゃなく、自分が速かっただけ。自信を持っていい!この天候を2泊3日で歩いたんだから。
お疲れ様でした! 一緒に来てくれてありがとう。感謝。
この後は、羅臼のホテルへ。夜は焼き肉をたっぷり食べて飲んでぐっすり寝ました!
知床岬に持って行った装備
少なすぎてもダメ、多すぎても重くなるのでダメ!
ザックが重くなると海岸線のへつりなどで強烈に体力を消耗します。
一般の登山装備
ザック(60L〜70Lくらい)・一般的な登山の服装・レインウェア・グローブ・防寒着・ヘッドランプ・登山靴
下界だとなめずに、しっかりした登山と同等の準備が必要です。岩がゴロゴロして、重い荷物を背負うので、登山靴は底が柔らかいものではなくのしっかりしたものでないと、非常に疲れます。スニーカーは厳禁。
宿泊に必要な装備
テント・マット・シュラフ・コッヘルセット
テント類は軽い物がベスト。海からの風が強いので、山岳用のテントがいいかと思います。マットはザックのサイドや底に装着すると岩場で邪魔なので、クローズドセルタイプでもザック内部に収容するようにしましょう。おすすめのキャンプ地は滝ノ下です! 数少ない砂地で、水場も近く、快適な睡眠が期待できます。※熊の足跡や糞はそこら辺で見かけます。
食料
クマを刺激しないように、匂いのしない加工品を持参しました。匂いがするものを持参する場合はフードコンテナを利用しましょう。
味はまぁこんなもんかというところでしょうか。あえてモンベルのリゾッタを試しただけで、尾西食品とかのアルファ米でももちろんOK。
クライミング用品
ヘルメット・スリング・カラビナ・ザイル30m・ハーネス・クライミンググローブ
安全確保に必要な場合があります。ロープワークができない方は、入山すべきではないと思います。8mm✕30mのザイルを持参しました。ザイルは重いので、ファイントラックのロープが軽くていいかも。
沢タビ
靴が濡れる可能性が高いです。沢タビはグリップ力があるので、海岸線をへつり歩く時はとっても便利。サンダルではなく、沢タビ持参を強く勧めます。
クマスプレー
絶対に持っていって下さい!すぐ取り出せる位置に準備を。
浄水器
北海道の川には寄生虫のエキノコックスがいる可能性があります。生水の飲用はおすすめできません。かと言って、毎回煮沸するのも大変です。浄水器でろ過すればすぐに飲用できるので、持参を強く勧めます!
地形図
おまけ
知床岬が終わった後のご褒美! 標津のイクラ丼!美味しいに決まってる。
家族からの土産リクエストはこれ
標津町出身の友人が教えてくれたソフトクリーム(ラ・レトリ)!これも美味しい(*^^*)
宿泊は阿寒湖温泉。食後はアイヌコタンでショー
シューの写真は不可ですが、最先端の映像と音響で演出され、ムッチャ頑張っています。オススメ
お盆の後の北海道はずっと天気が悪く、青空は知床岬で見たものだけでした。それって奇跡的な気がします。
知床岬のトレッキングは誰にもは勧めません。
このサイトは予備知識のない人には参考になると思うけど、これを見たから行けるってもんでもありません。書いていないこと、撮っていない写真、いろいろあります。興味がある方は、自然の中のいろんな局面を、自分の経験と知識と技術で打開できるようになってからチャレンジしてみてください。ココはああ行く、こう行くって勉強して調べていったら面白くないかもしれません。いろんな想像力が欲しい。ヤマレコやヤマップ見て歩く癖がある方は、まずそれを止めてみましょう。
深い自然の中に入り、自分でコースを考えながら歩くことが楽しめる方におすすめします。
次は高巻きする??渡渉する??なんて考えながらね!
簡単なクライミングの技術、地図読み、ロープワーク、ファーストエイドなど登山系の知識と海沿いを歩くので海の知識、ヒグマに対応する知識と技術など、総合的なアウトドア技術と知識が試されます。こんな場所は日本では他にないと思います!
もちろん、携帯はずっと圏外ですよ(笑)
知床岬の詳しい情報はこちらにまとめてみました