登山ガイド・山岳ガイドになりたい方へ

ガイドを目指している方から、時々問い合わせがあります。ガイドのサイトにしてはここがアクセスが多いからだと思いますが。

どうしたらガイドになれますか?
どうしたら海外の山を案内できますか?
実際に生活していけますか?
などなど。。。

きっと自然が好きな方々には「好きなことを仕事にしている」と憧れがあるのかもしれません。
でも実際はどうなんでしょうか?

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山のガイドになるということ

山や自然のガイド需要は高まっていると思います。今はガイドの専門学校までできたりしていますからね。志願者も増えているんじゃないかな。でも、仕事は好きや憧れだけで選ぶものでもありません。

山や自然が好きで、ガイドになりたい!と思う方。あなたはお金を出してガイドを雇ったことがありますか? ほとんどの方がないんじゃないでしょうか? 何度かはガイドを雇い山に行くべきです。実態もわかるし、話を聞くこともできるでしょう。その程度の投資ができない&思いつかないようでは、ガイドビジネスで成功なんて無理じゃないかな〜と思います。

偉そうなことは言えませんが、ガイド協会に問い合わせもせず、私に「どうしたらガイドになれますか」って質問してくる時点で、情報収集能力に問題ありです。

ガイドの仕事は典型的な3K

山のガイドっていうのは、ホントに3K(きつい・汚い・危険)だと思います。そりゃそうです。重たい荷物を背負い、汗だくになり、危険なコースを歩いたりします。アルプスの山小屋には風呂もないし。。。

ガイドの仕事は不安定

ガイドの仕事は安定しないです。ガイドになりたいと思う時点で、サラリーマンのような安定した給料があるわけないのは理解しているはずですが。

天候による中止・お客様の都合による中止・旅行会社のツアー中止・ガイドの体調管理 などなど、不安定な要素がいっぱいです。

2018年は2回、2019年は1回、台風や悪天候で登山を中止しました。それでも夏は大半を海外で過ごしていたので少ない方かと思います。もちろん中止になれば収入は0!

旅行会社のツアー中止も悩ましい。早い時は1年以上も前からスケジュールを押さえられていても、中止になれば0円です。そのリスクを納得して旅行会社と付き合うかどうかは、ガイドさんの考え方次第ですが。

そして、怪我をしてしまえばもちろん収入は途絶えます。一般サラリーマンよりもあらゆる意味でリスクは高いです。

ガイドの年収・収入

簡単にいくらとは言えません。ガイドさんによって、ものすごく幅があります。1,000万円を越える高収入の方もいます。でも、その収入を得る知識と経験・技術を得るには、何年かかる??? どれだけの努力がいる?? きっと大企業で出世するほうが簡単です。

一方、ガイドでは全然食べていけなくて、副業でなんとかやっている人も。ネットで検索してヒットするのは専業ガイドさんが多いですが、実際には専業ガイドさんの比率は高くありません。そして、専業でも安定して食べていけてるかはまた別。

私の副業はこのサイトづくり。登山に役に立つ情報を発信しつつ、読者は対価としてアマゾンとかで買い物してくれたら嬉しいなぁみたいな(笑)

サラリーマンの平均年収が4〜500万円程度といわれます。個人ガイドの日当は3万円が目安。例えば年間200日も山を案内して、やっと600万円。一方サラリーマンの年間休日は120日、有給が20日。ホワイト企業なら実際の出勤は220日程度です。ガイドの多くは個人事業主なので、社会保険が国民健康保険、厚生年金は国民年金、労災保険なし、退職金なし、セーフティーネットは大きく劣ります。よっぽどやれる自信がなければ、そこそこのポジションにいたサラリーマンは退職してガイドを目指す金銭的なメリットは全くありません。

ガイドをしている方ならわかるかと思いますが、3万円の単価の仕事が年間200日ある方は、ほんの一部です。仮にそれ以上あっても体がしんどい。年間通じてコンスタントな仕事は望めません。専業ガイドでやっていくのは一般の方の想像以上に大変だと思います。

ガイドライセンスを取得しても簡単に仕事は入ってこない

ガイドのライセンスを取得するのが目的になっている方をお見かけします。取ってからどういう仕事をしたいのかが明確になっていないと、成功は難しいでしょう。普通に考えてみると、ガイド経験が浅い新人ガイドを好き好んで雇う理由がお客さんにはありませんからね。

私が顧客なら、特別なスキルがない新人ガイドは絶対に雇わないです。

ガイドは経験が大きくものをいう仕事です。普通の山のガイドでは、技術的なことより、コミュニケーション能力やいろんな知識がお客さんには重要なような気がします。

さらに、どうやって知ってもらうのかとハードルも高い。このホームページが年間100万以上のアクセスが有りますが、それでもネットからの成約率は高くありません(実体験)!
ということは、最初は個人ガイドとして独立しても開店休業状態の確率がかなり高いです。

年間100万アクセスあるこのサイトみたいなのを作るなんて、めっちゃ大変ですからね!続ける力とコンテンツと素材の全てが必要です。

山の技術より企画力と営業力

お客さんを安全に案内する知識と技術はもちろん必要ですよ。しかし、いくら練習でクライミングをしてもお客さんは増えません。常に鍛錬することは必要ですが、食べていくには、他のガイドができない企画を考えたり、色んな所に売り込んだりする能力が必要かと。ぶっちゃけ、夏のアルプスのガイドはレッドオーシャン状態です。アルプスなんて日本の山のほんの一部なのにね、

私は、カヤック・サイクリング・シュノーケル・キャンプ・スキー・海外ツアーなどあらゆるアウトドアを登山と同列に並べて企画を考えます。そうすることによって、季節変動の激しいガイドの仕事量を安定させることができています。ブログの写真を見た同業のガイドさんにチャラチャラしてるって言われることもありますが(笑) 山以外のアウトドアも大好きなのでそれでいいと思っています。

お客様を楽しませるセンス

表現が難しいですが、ガイドを雇って山や自然に行くということは、安全で当たり前。安全だとか親切だとかは当たり前のことで、アピールポイントにはなりません。いかにお客様を楽しませる事ができるのかということが重要です。そして思い出に残る写真や映像を残してあげることも大切。このガイドさんと色々行きたいなぁ〜と思ってもらわないと。それにはいろいろ自分が遊んでいないといけません(笑)

山のガイドの働き方

どうやったら、食べていけるガイドになれるのでしょうか?色々なパターンがありますが主なものをあげてみます。ちなみに私は2017年8月までは旅行会社勤務、以降は発地型個人ガイドと旅行会社のツアーを案内するのミックスでした。今後は旅行会社のツアー案内を減らす方向です。

着地型個人ガイド

得意なエリア、または住んでいる特定のエリアに絞ってガイドをする方法。その山域のシーズンのON・OFFで仕事量の波が大きいのと、お客さんは同じ場所に何度も行かないから、リピーターを作りにくいのが難点。私は同じ場所を何度も案内すると飽きてしまうので、きっと向いていない。。。これからガイドを始めるなら、まずはこのタイプが現実的でしょう。

発地型個人ガイド

日本中・世界中の山を案内する!色んな所に行けていいねって思われるタイプのガイドです。しかし、0から初めるならハードルはかなり高めです日本中・世界中の山を案内できるスキルとあらゆる知識が必要だからです。私の知識と経験をゼロから下見で補うとすると、それだけで最低でも10年近い時間と相当な旅費がかかります。旅行会社で勉強させてもらって感謝です。

旅行会社に就職する

登山を主力として扱っている会社なら、現場に出ることができるかもしれません。ただ、最近の大手旅行会社は分業が進み、添乗員は派遣、ガイドは現地、社員はマネージメントというスタイルが確立されています。小さな旅行会社なら、企画してガイドに出るということも可能かもしれません。 20〜30代前半なら知識と経験を得るにはいい選択肢かも。ただし、休みは少なく給料もかなり安い場合が多いです。お金をもらい知識を得ると割り切るなら、かなり有効な手段でしょう。

旅行会社のツアーを案内する

旅行会社といい関係ができていれば、気楽なのはツアーの案内。手配も行程も添乗員も全部アレンジしてくれます。そして多くのお客さんと接することができます。でも、自分なら絶対に企画しない納得の行かないコースを案内することも出てくるかもしれません。しかも、自分の努力と関係なしに仕事がなくなったりする可能性もあるので、特定の会社に依存し過ぎも問題があるかも。日当は会社によって様々で、いい会社と悪い会社では倍ほど違います。ガイドを使い捨てにしない、大切にしてくれる会社と付き合いたいものです。

旅行会社の仕事はコロナの一件で、大きな打撃を受けています。私も2020年3月からは旅行会社の仕事を受けていません。レジャー産業は平和産業ですから、世の中の動向に振り回されます。旅行会社と併せて淘汰が進む可能性大です。

まとめ

いろいろ書きましたが、日本のガイドの立場は高くなく、社会的な地位も低いです。
私の職業がガイドだと知ると、一番多い質問が「食べていけますか?」です。ガイドはそれくらいの社会的ステータスなのだと思います。ローンを組んだりするのも大変だとか。。。

私はどうかって? なんとか食べて行けてます。でも、こんな記事を書いていても、近い将来仕事がなくなるかもしれません。なんというか、常に追い込まれている感じがします。

ガイドは、山の技術・自然の知識はもちろん、接客・営業・企画の力が問われるサービス業です。俺について来い系の頑固な山親爺系ガイドは近い将来絶滅するんじゃないかな?

大切なのはお金じゃない!って転職する人もいると思いますが、お金は大事です!ないと心に余裕が無くなります。お客さんより遊んでないと、遊びを案内することはできませんしね。

ガイドの資格を取れば仕事が貰える、湧いてくると思っている人は、時間もお金も無駄にする可能性が高いので、考え直した方がいいと思いますよ。

資格はスタートライン、現実はそれほど甘くはありません。
それを理解した上で目指す方は、頑張ってください!

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