ゴアテックスなどのレインウェアや雪山用のマウンテジャケットのメンテナンスについて聞かれることがちょくちょくあります。プロのガイドは一体どうやってメンテナンスしているのか、紹介してみたいと思います。
プロのガイドだからって、特別なことをしているわけではないですが。。
レインウェアのメンテナンスとは
高価な高性能なレインウェアやハードシェルを購入しても、メンテナンスを適当にしているとせっかくの実力を完全に発揮することはできないんです。劣化を少なくして、長く使用するためには、正しいメンテナンスをしなければいけません。特に難しいことはないのですが、普通の洗濯物とはちょっと違う手間をかける必要があります。
レインウェアを洗濯しよう
ハードシェル以外のウェアは下山後に毎回洗うと思います。ハードシェル(ソフトシェルも)同じようなものです。毎回でなくていいですが、汗や泥で汚れたら洗うこと。撥水性が落ちそうだからなかなか洗わない、もしくは洗ってはいけないと思っているいらっしゃいます。でも、汗や泥の汚れを落とさないと性能を発揮できないばかりか劣化も早くなってしまいます。だから、洗いましょう!
特にレインウェアは素肌やTシャツの上に着用することから、汗や皮脂の汚れが内側に付着します。それが微細な生地の穴などに詰まり、ゴアテックスなどの透湿性を妨げてしまい、能力が発揮できないもったいない状況になります。もちろん臭くなるし。特にeventという防水透湿性は、詰まりやすいいので頻繁に洗ったほうがいいようです。ウェアのタグにもそう書かれています。
普通の衣類用でも洗えますが、やはり専用の洗剤を使ってあげましょう。価格の高いハードシェル、最大の性能を発揮できる環境を作りましょう! 専用の洗剤がない場合は、中性洗剤で柔軟剤や芳香剤の入っていないものを。ハードシェルに限らず、インナー類でも柔軟剤などが入っていると余分な成分が残り、吸水性や撥水性を妨げてしまうことがあります。
手洗いでもいいですが、私は面倒なので洗濯機で洗います。
実際に洗った時の様子を見てください。
この時はマウンテンジャケットを3枚、レインウェアを2枚、パンツを2枚、更にダウンではない化繊の防寒着をまとめて洗いました。これだけ手洗いすのは大変です!
モンチュラ(event)、ショッフェル(GORE) 、ミレー(GORE) のハードウェア
ファイントラック(EVERBREATH)とモンベル(GORE)のレインウェアと防寒着
ファイントラック(EVERBREATH)
ハードシェルはネットに入れませんが、一部はネットに入れます。
今回はレインウェアと防寒着をネットへ。
それらを洗濯機へ!ファスナーやマジックテープはすべて閉じておきましょう。
洗剤は専用のものを使います。(あとで紹介します!) すすぎは2回で脱水はしません。今回の洗濯では脱水していいものもありますが、ダメなものもあるので。きちんとウェアの洗濯方法をチェックしておきましょう。
あとは洗濯機の中に放り込んで、ボタンを押すだけ! 手洗いなら汚れがこれだけ出ました!!的な写真が撮れるのでしょうが、いかんせん洗濯機なので汚れが浮き出た水の写真はありません(^_^;)
撥水性を回復させる
よく、レインウェアの撥水がなくなったら防水透湿性もなくなったと思う方がいます。生地が水を弾く撥水性と防水性は全然違います!
多くの防水透湿性素材は、基本的に素材を3層に重ねた3レイヤーの生地で構成されています。軽量化を追求した製品には2レイヤーもありますが。その真ん中にはメンブレンと呼ばれる、防水性と透湿性を併せ持つ薄い素材が使われています。基本的にゴアテックスなどのメンブレンは劣化に強く、その機能は半永久的に続きます。レインウェアの主な劣化は、表生地とメンブレンを接着するポリウレタン系素材の劣化による剥離です。表生地の撥水性が落ちてきて、水が染み込んでいるように見えても、中まで水が染みてこないのはメンブレンのおかげです。しかし、表生地の撥水性が落ちてしまうと、水の膜ができるのでメンブレンの透湿性は落ちてしまいます。正しいメンテナンスを施して表生地の撥水性を回復させることは、透湿性を落とさないことになります。
撥水性を回復させるには専用の撥水剤を使います。
選び方とか、注意点とかいろいろありますが、それは今度記事にするとして。。。
撥水剤には大きく2つあります。スプレー式か漬け込み式か。
個人的には、漬け込み式をすすめます。理由は、生地の内側にも撥水を施せるから。
表生地がいくら撥水しても、内側の生地が撥水しないで汗が付いちゃったら、透湿性は落ちます。そして、内側の汗や皮脂での汚れもある程度防いでくれます! そして、一着一着スプレーするよりも、まとめてできるので速い!いい事だらけです!
当たり前ですが、洗濯して汚れを落とした後に撥水加工ですよ!
洗濯と撥水加工が終了すれば、しっかりと干しましょう。
可能であれば、乾燥機に入れて加熱してあげると、簡単に撥水性能が上がります!
しかし、我が家の洗濯機の乾燥はヒートポンプ式で加熱式ではないので、いくら乾燥機に入れても効果なしです。。。
一枚くらいならアイロンかけてもいいですがね、こんな枚数はやってられないので、コインランドリーへGO!
私が使っている洗剤
こういうセットもおすすめ
面倒くさがらず、時々はメンテナンスをしてあげましょう! もしかしたら、あなたの命を守ることになるかもしれない、重要な装備ですからね。