登山で最も大切な装備はレインウェアであると断言してもいいと思います。
登山を始めた時に、レインウェアの値段に驚いた事をはっきりと覚えています(^_^;)
登山靴やザックは予想の範囲内でしたが、ゴアテックスの雨具の値段を見て。。。驚きました! 登山を始めるにあたり、高い!と感じてしまう用品だと思います。
登山用のレインウェア(雨具)選択に必要な4つの要素
登山用のレインウェアに必要な要素は防水性・透湿性・動きやすさ・耐久性になります。運動量が多い登山では、じっとしている、または緩やかな運動をしている場合のレインウェアとは異次元の性能が必要になります。いいレインウェアがあれば、雨の日に森を歩いたりするのはとっても楽しいです(^^)
防水性能
当たり前ですが、レインウェアで最も大切なのは防水性能です。しっかりと雨を防いでくれないと、レインウェアを購入する意味がありませんよね。しかし、登山用のレインウェアの防水性能はそれぞれ違います。それはコストを優先するか、防水性能を優先するか、透湿性能を優先するかという選択でもあります。生地の表面で水を弾く撥水と素材で水の侵入を防ぐ防水性を一緒にしないようにしましょう。
透湿性能
登山を始め、運動量が多い場合は、この透湿性能が非常に重要になります。例えば、安価なビニール製では透湿性はほぼ0です。外からの雨を防いでも、自らの汗でビショビショになってしまうこともあります。雨の量によっては、着ていないほうがマシかも知れません。
運動性能
歩いたり、岩場を登ったりする登山では、動きやすさが非常に重要になります。最近のレインウェアには伸縮するものもあり、従来のレインウェアの常識をくつがえす物も販売されています。
耐久性能
山岳エリアという、過酷な環境で命を預けることになるかもしれないレインウェアには、簡単に破けたりしない耐久性が求められます。また高価な物なので、何年も使える耐久性もあるに越したことはありません。
登山用レインウェアの素材とは
安心と信頼のゴアテックス
登山用レインウェアの素材として最も有名なのが、ゴアテックスというものです。ゴアテックス社の商品なのですが、防水性・透湿性・耐久性のバランスが非常に優れています。ベテランの登山者は「ゴア」と省略して呼んでいます。レインウェアやジャケットにゴアテックスというラベルやロゴマークがあるのは、この防水透湿素材を採用している証拠です。素材にはミクロレベルで小さな穴が空いていて、(液体)の分子より小さく、気体(蒸気)の分子より大きいのです。要するに外の雨は入れないけど、汗(水蒸気)は外に出すということです。欠点は値段が高い!ということかな。
ゴアテックス以外の防水透湿性素材
ゴアテックス以外にも、H2NO,ドライQ、イーベント、あるいは各メーカー独自開発の素材のエバーブレス、ティホンなどです。
ライバルはゴアテックスであるのは間違いないと思うのですが、それぞれに開発目的があると思います。ゴアテックスよりも透湿性を高めたもの、ストレッチ性能をもたせたもの、安価なものなどなど。
登山用としては論外のビニール製
レインウェアが無いよりは、これでもあったほうがいいかもしれませんが。。。ビニールの防水性能は高いですが、透湿性能はありません。1,000円ほどの安価な物が多く、作りも悪い。強度も足りません。残念ながら、今でも富士山などでこのスタイルはよく見かけます。しかし、富士山は山小屋が多く、すぐに避難できますが、ほとんどの山は違います。私の場合、登山前にこのようなビニールの雨具を持参を見つけた場合は、山にお連れしません!安全を保証できないからです。
登山用レインウェアの選び方
ゴアテックス社の素材でできたレインウェアはアウトドアメーカー各社から販売されています。一般的ですが、登山目的によってはオーバースペックなこともありますので、選び方について考えてみます。耐水圧※※※mm、透湿性※※※g/m2/24hなんて書かれていても、よくわからないと思います。また、カタログスペックだけではわからないことが多いですしね。
日帰りの低山登山が目的の方
ゴアテックスのレインウェアは高性能ですが、考え方によってはオーバースペックになりかねません。予算があれば、ゴアテックスがおすすめです。しかし日帰りの低山ということは、悪天候の場合は登山をキャンセルしやすく、大幅な気温低下もありません。そこまでの性能を求めなくていいと思います。
ミズノのベルグテックは非常にコストパフォーマンに優れています。
アルプス登山が目的の方
ゴアテックスのレインウェアを強くおすすめします。ゴアテックス以外の素材のレインウェアを着用して、浸水してきた様子をいっぱい見てきています。もちろん、ゴアテックスでも新旧やメンテナンスで状況は変わってくるのですが。
愛用しているモンベルのストームクルーザーやレインダンサーは安定のコストパフォーマンスです。気をつけたいのは、着用者が多いので山小屋などで取り違えたりされることかと思います。特に黒のパンツでのトラブルが多いです。自分の印や名前を書いておきましょう。ジャケットとパンツは別売りです。私はノースフェイスのレインテックスも愛用していたことがあります。
軽量で動きやすいレインウェア
初めて着た時に驚いたのが、ストレッチ素材でできたレインウェア。一般的なレインウェアは伸縮性がなく、大きく体を動かすと突っ張った感じがします。伸縮する素材でできたレインウェアは、ソフトシェルを着たいるような感じに近いです。私が着ていたのはファイントラックのエバーブレスでできた製品です。非常に動かしやすく、メッチャ気に入りました。でも、雨の量が多いと浸水します。雨が一日中降るような日はおすすめしません。でも、軽い雨や天気予報が晴れで念の為持っていくレインウェアとしては最適です。
軽くて伸びるので、ソフトシェルのように使えればいいのですが、この次に紹介するミレーのティホンの方がそういった用途ではおすすめです。
驚異的な透湿性のレインウェア
ミレーのティフォンは50,000g/m2/24hという、驚異的な透湿性を備えた素材です。数値はおいといて、レインウェア特有の蒸れをほとんど気にすること無く歩けるます。着心地も非常に柔らか。初めて着た時は、コレほんとにレインウェア??って思いました(笑) 雨が降っていなくてもソフトシェルとして私も愛用しています。ものすごく万能! 私が勧めたので、ミレーショップ大阪でメチャ売れました(笑)
この商品も1日中強い雨が降るような日はおすすめしません。やっぱり水が侵入してきます。また、生地が薄く、柔らかいのは利点もありますが、アルプスなどでの悪天候時に使うシェルとしてはやや心細い感じがします。軽い雨や晴れの用レインウェア。大雨&強風の時は、このティフォンの上にゴアテックスの雨具を着るとWで防いでくれて完璧です!しかも、蒸れない。 ということで、アルプスや標高のある山ではソフトシェルとして持参しています。
ストレッチで快適なのですが、伸びるように生地をニット状に編んでいるので、一般的なレインウェアより汚れやすいです。白や黄色はやや頻繁に洗濯したほうがいいと思います。※洗濯で性能の劣化はありません!
レインウェアを1着買うなら、やはりゴアテックスの製品が最も無難かと思います。オールマイティーに雨や風を防いでくれます。ストレッチ性や透湿性の高い商品は、実際に山で使用した場合、防水性ではゴアテックスに劣ります。しかし、それぞれにメリットがありますので、初心者から中級、上級へとステップアップしていけば、2着目のレインウェアとして購入するのはアリだと思います。実際に私はそうしています。
私のレインウェアの歴史
私がどのようなレインウェアを着てきたか紹介します。基本的に晴れ男なので、レインウェアを酷使してはいません。同業者の中では、買ったレインウェアはかなり少ないと思います。①を買ったのは1993年ですから、もう26年前になります。
①イスカ(ハイパロン)→②ノースフェイス(ゴアテックス)→③ダンロップ(ゴアテックス)→④ノースフェイス(ゴアテックス)→⑤ファイントラック(エバーブレス)&⑥モンベル(ゴアテックス)です。
①イスカのハイパロン 学生時代にお金がなくて購入しましたが、最初の雨で後悔しました。。。蒸れる(T_T)
②ノースフェイスのゴアテックス 学生時代に大雪山を完全縦走する前に購入。トムラウシで大雨に降られた時感動しました。ハイパロンと違うと(^^) このレインウェアでガイドをはじめました。
③④ダンロップ&ノースフェイスのゴアテックス 劣化に伴う買い替え ④は10年着ましたが、流石にデザインが古くなり。ノースフェイスの品質は非常に良かったと思います。この頃は旅行会社勤務時で、後半は海外登山が多く年に数回しか着なかった年もあります。
⑤ファイントラックのエバーブレス ゴアテックスではないので、購入時に悩みました。着た時はフィット感、ストレッチ性能で感動しました。でも大雨では染み込んできます。天気予報が晴れの日か、運動量がかなり多い山用という感じです。
⑥モンベルのゴアテックス 現在の主力です。⑤が期待はずれだったので追加購入。安定のゴアテックス。
⑦ミレーのティホン ⑤の代わりに。しなやかで日常でもソフトシェルとして着ることができます。お気に入り!
振り返ると、④のノースフェイスのレインテックスはお気に入りでした。⑤以降は止水ファスナーを採用しています(最近はほぼ全てが止水ファスナー)。個人的に止水ファスナーは防水性や耐久性で劣ると思っているので、元に戻して欲しいなぁと期待していますが、デザインでは止水ファスナーがスマートなので、この流れは変わらないでしょうね。
レインウェアを購入したら、メンテナンスもきちんとしましょう!