ネットでキリマンジャロ登山と検索すれば、色々なサイトがヒットします。
旅行会社の宣伝サイトもあれば、個人で登った人の成功記録まで様々です。
私もこのサイトでキリマンジャロのことを書いているのですが、あんな危ない所へネットの情報だけで登るのはやめましょうね(^^)
ブログタイトルとやや矛盾しちゃっていますが、イロイロな情報と合わせて私の情報も参考にして欲しい(*^^*)
キリマンジャロ登山における正しい情報の見分け方
旅行社のサイトは、多少歩ける人なら、誰でも山頂に立てるかのような書き方をしていたり、いかに安全に配慮しているかがわかりやすく表記されています。
でも、肝心な細かい情報はあまり書かれていません。申し込んだ人に資料を送るからです。ノウハウをwebで公開しても、申し込みには直接繋がらないからだと思います。
一方、個人のサイトは非常に細かく書かれていて、まるで行った気になるようなものまで存在します。
しかし、個人のサイトはみんな一回だけしか登ってないんですよね。個人的に何度も登る人はいないでしょう。結果として、ネットには都合のいい情報ばかりが集まります。成功した人は細かく書いてみんなに見て欲しい!
でも失敗した人は・・・。わざわざ書かないですよね。。。
結局ネットは都合のいい情報の比率が圧倒的に高いと思って下さい。
キリマンジャロの登頂率
ウフルピークは30%~50%といわれます。私自身もそういう実感がありました。しかし、統計的な根拠があるわけではありません。
しかし、登れない多くの原因は結果的には高山病であることは、疑いの余地がありません。
ちなみに私の案内した場合はウフルピークの登頂率95%以上です!この10年は全員登頂しています。もちろん、どんなお客さんが参加されるかという運もあります。天候の運もあると思います。
でも、それだけでは説明がつかないほど成績がいいんですよね(^^) ただ、自信があるからこういう記事を書いているということでもあります。だからネットはいい事だらけになってしまうのですが(^_^;)
2015年、日本旅行医学会の登山医学セミナーに参加しました。常に新しい情報を得る努力をしています。
その講演テーマ
「新しい高山病予防」もう興味津々です(*^^*)
ま、結果は・・・。
高所登山をしたことなないお医者さんが薬の話ばかりしても・・・というわけで、期待ほどの情報は全く得られなかったわけですが。
あるお医者さんがダイアモックスの他にある薬を処方したら、こんなに成績が良かったと発表していました。
しかし16名だけ、ワンパーティーでは判断できんと思いました。何より驚いたのは、その下の数字。
平均登頂率10%!!!
某S旅行会社は5%!!! 最後の?は何やねんと思いつつ。。。お金出して聞きに行くわけなので、データ元のエビデンスがないとダメでしょう。噂話と同程度のレベルです。
強烈に記憶に残りました。何をどうすれば5%に?逆に難しいぞ、と。ちなみにSとは大手の西◯旅行社のことらしいですが。そんなものなのかなぁ?? 疑問。ここでいう登頂率とはギルマンズポイントではなく、ウフルピークのようですが。違っていたら西◯旅行社さんはきちんと反論すべきすよ!
大事なのは日本人スタッフ!
上記のイメージが強烈に残っていたので、ツアー中に他社の案内と自分の案内を冷静に比較してみました(^^)
登頂率の高い私のやり方と、何が違うのか??
正直、キリマンジャロの山中では、どこの会社も手配に大した違いはありません。
泊まる所は同じだし、違うとすれば
・マンツーマンスタッフが同行するかどうか
・高度順応日があるかないか
・日本食が準備できるか
こんなもんでしょう。
では、何が大きく違うのか??
それは一緒に歩く日本人スタッフです!
キリマンジャロの高さでは、経験や高度への強さがないと、日本からのスタッフ自身がイッパイイッパイになってしまいます。高度順化もヒマラヤとは違い一発勝負ですからね。
うまいこといかず、途中で下山したスタッフをいっぱい知ってます。
危ない登山ツアー
山中で出会った登山大手某社のスタッフさんは、山頂アタック時に空身で列の最終を歩いていました。
最後尾ではパーティーの状態の把握はできないし、休憩のタイミングなどの指示も出せない。
ツアーのコントロールは現地ガイドに丸投げで、言葉は悪いですが、金魚の糞です。最後尾から「がんばろー!」と言っているだけ。 お前が頑張れ!(笑)
しかも、何も背負っていない。お客さんでも荷物背負っているのに・・・。水やファーストエイドくらい持とうよ!
危険だなぁと思ったのは、状態が悪く、まともに歩けないお客さんに、スタッフ2人を付けて両サイドを確保して山頂へ引きずるように連れて行く行為。確かに上まで行けばツアーとしての登頂率は上がるけど、それは危ないやろ!
私なら、サポート1人でコントロールできない状態ならば、即刻下山!
5800mでスタッフ2人も取られちゃうと、この後のツアー運営に支障が出ます。そもそも、支えないといけない状態では下山でしょう。でもその判断ができないようです。
そして、列は長く長く伸び、誰がどこにいるかなんて分かるわけない。ガスの中1人でフラフラ歩いているお客さんの姿もありました(^_^;)
それぐらい極限な状態でツアーは運営されている事があるのです。
私はあのスタッフさんは山のガイドじゃなく、純粋な添乗員さんなんだなぁ~と思って見るしかありませんでした。このやり方を続けていたら、そのうち事故はあるでしょう。
実際に事故はあっても、高山病で1名亡くなるくらいならニュースにならないです。過去に某社で死亡事故があったとか聞くことはありました。
添乗員と山のガイドを比べると、こういった状況での判断力には差があるでしょう。下山の指示というのは胸の痛むものです。でも、それを自信持ってやらないと、日本から来ている意味がない!安全第一。
添乗員さんよりは、山のガイドさんの方がはっきりと物が言えて判断できると思います。そういうトレーニングをしていますから。問題なのは添乗員さんではなく、そういう添乗員を派遣している旅行会社です。
トムラウシの次はキリマンジャロで大きな事故がありそうなんて言ったのは、的確かも。
一方、私は
・出発前にお客さん全ての装備を確認
・全員の水、テルモスに入れる温かい飲み物の内容と量まで把握
・全員の行動食の量と種類、そして含まれる成分まで把握
・列の先頭を歩き、常にペース配分と休憩をコントロール
・休憩時は何を食べるか飲むかまで指示
・高所の影響が出てきたら、目を合わせしっかりと状態の確認
・登りは列を長くしない
そして
登頂アタックまでに、いかにしてお客さんとの信頼関係を築けるか。
お客さんの状態に差が出て当たり前です。そして、なによりお客さんは安心するでしょう!
不安にさせないというのも、ガイドのスキル。不安になると余計に疲れます。
現地ガイド同行で安心?
個人旅行用サイト等では現地ガイドが同行するので安心・安全と書かれたりしますが、キリマンジャロ自体がガイドが同行しないと登れません。単独登頂はできないルールになっています。
それでも毎日のようにレスキュー隊が入り、担架で下山する登山者が跡を絶ちません。
現地ガイド同行が安全の理由ではない。断言できます。
これらは動けなくなった人を運ぶための担架。
亡くなっていたら2人で運ぶようです。4人付いているので大丈夫!
台数が多いでしょ(^_^;)
現地ガイドが同行していて、どうしてこれだけ必要になるのかな?
現地のガイドは道案内にはなっても装備のこと、体調管理、エネルギー補給の細かいことに関してはほぼノータッチ!よく眠れたか? 装備はあるか?って聞いてくるくらいです。これまで5人のガイドと歩きましたが、似たようなもん。ホスピタリティはあるんですがね。
ツアーの定員は大事
私は細かにお客さんを観察しますが、キリマンジャロのような高所では10名が限界かと思います。できれば8名がいいですね。
旅行会社により定員は様々ですが、15名様限定なんてのは限定ではない(^_^;) 15名も受けちゃいます!って事です。ただ、人数を多く受ける会社は料金が安めです。
そして15名もいるといろんなことが起こります。。。少人数が安全で楽しく登る条件の1つ!
登頂率という言葉に注意!
登頂率○○%という言葉に注意です。キリマンジャロの山頂部は大きな大きなお鉢です。火山なので噴火口があるんですね。
例えば富士登山、富士山に登ったといっても、最高峰の剣ヶ峰(3776m)にはどのくらいの人が登っていますか?? 吉田口から登ると吉田口頂上で引き返す人が多くないですか?? 大半のツアー登山も吉田口頂上(3710m)を山頂としています。
キリマンジャロも同じ。吉田口頂上にあたるのが、ギルマンズポイント5685mです。ここに登っても登頂扱いとなります。ウフルピーク5895mとは形式が違いますが、登頂証明書が発行されます。
登頂率がどこを指しているかで、%は全然違います!
ギルマンズポイントからウフルピークへは、現地の表示で1時間。実際には1時間半~2時間もかかります。
同行スタッフは山のガイド力だけではダメ
キリマンジャロはアフリカ。ガイド能力も大事ですが、日本から同行するスタッフには、レベルの高い旅程管理能力(添乗力)が必要となります。
何事もゆっくりで、日本に比べるとルーズな東アフリカ。旅行の日程が予定通り行かないことだって、考えられます。多少のトラブルは当たり前!
ということは、山のガイド能力と、旅程管理能力を高次元で併せ持つ日本人スタッフと一緒に登ったほうが良い!ということです。
経験豊富な日本人スタッフと登って下さい!
結論としては、どこの会社で行くかより、誰と行くかの方が登頂率を左右すると思います。ツアーを申し込む時は、誰が一緒に行ってくれるか、その人の経験はどうかということが、とっても大事なのです。特に経験の浅い派遣添乗員さんを雇う会社は要注意!
でも添乗員さんが悪いわけじゃないですよ。会社からの指示なわけで。
以前ですが、○日新聞のキリマンジャロツアーに知り合いの派遣の添乗員さんが行くことになって、相談を受けたことがあります。不安の塊でした・・・ 。そんなツアーに、もしも知人が申し込んでいるならな、キャンセルすることを勧めたでしょう(^_^;)
ツアーを申し込む時に同行する添乗員は「いつのツアーに同行し、登頂率はどうだったか具体的に聞いてみましょう」それで旅行を決めてもいいと思う。それくらい日本からの同行スタッフは大事です。誰が行くか決まっていないなどの返事があれば論外。そして、ツアー定員が少ない会社で!
何度もチャレンジできる山ではありません! 少し安いからと値段だけで決めて、登れないと悔しいです。
そして登るなら楽しく登りたい!
氷河にも行ってみたい!
その辺をよ〜く考えてみましょう(^^)