登山の装備で必ず必要ではないけど、持っておいて欲しい装備にツェルトがあります。いわゆる緊急時に雨や風を防いで身を護るシェルターです。
通常のツェルトはきちんとした使い方を知らないと非常時に有効に使えなかったりします。個人用のツェルトは使い方を特に勉強しなくても大丈夫!簡単に使えて自らの身を守ってくれます。個人用のツェルトは非常に小さく、写真ので私の握りこぶしくらい。若干大きく見えますがモデルさんの顔が小さいので(笑)
個人用ソロツェルトの概念
個人用のソロツェルトができたのは、もう10年以上前になるかと思いますが、私が旅行会社に勤務していた頃です。その勤務していた旅行会社の登山ツアーでは必ずガイドと添乗員はツェルトの持参を義務つけられていました。しかし、緊急時に1つのツェルトに入れるのは2~3人が限度。2つあっても6人が限度です。一方ツアーの定員はコースによって様々でしたが、ツェルトで保護できる人数を大幅に超えてしまいます。
参加者全員が持つことのできるサイズと価格のツェルトが欲しいけど、当時はそういった商品がありませんでした。そこで、通常のツェルトを製造販売していたアライテントと共同で開発したのが、この写真で出てくる個人用のツェルトです。
私も多少開発に意見を出しました。商品開発後、2~3年は一般販売されず、勤務していた旅行会社と関連の登山用品店のみで販売されていました。そのため、私の持っている個人用のツェルトはツアーツェルト「カブル」という一般に販売されていない表示になっています。ネーミングは被るだけで最悪の時に身を守ることができるからでした。
今はこのツェルトの発想がアライテント以外にも広がりました。アライテントも開発を進め、私の持っている物より、もっと小さく性能の良い個人用のツェルトが販売されています。
初心者に個人用のソロツェルトをすすめる4つの理由
緊急時での使用がとても簡単
一般のツェルトはしっかりと張るとテントのような役割をさせることができます。私は天気予報や登山時期・登山エリアを考えて、テントを持たずにツェルトで宿泊することもあります。
しかし、緊急時にツェルトが欲しい時は、強風や大雨などのコンディションが悪い可能性が高いかと思われます。ツェルトは持っているだけではダメなので、きちんと設営しないとダメです。そんな時、初心者が悪いコンディションできちんと設営できますか? 設営できたらもう初心者じゃありません(笑) 写真はツェルトの講習会の時のものです。
個人用のツェルトには設営は基本的に必要なく、被るだけでOKです。もちろん、一般のツェルトの方が用途は広く、理想です。でも、いざという時に簡単に使えたほうがいい!
持っていく装備が少なくてすむ
きちんと張るなら、ツェルト以外にもザイルやストック、スリング、カラビナなども必要で、有効に使うには装備も嵩張り重たくなります。こんないくら安全のためとはいえ、初心者ががいつも山に持っていくにはハードルが高いです。1人でこれができるなら初心者じゃないし。
価格も安い
当たり前ですが、複数人用のツェルトを買うよりも個人用のソロツェルトの方が値段も安いです。
自分の身は自分で守るという意識
万が一の緊急時、同じような技術を持つ友達や仲間同士で登っていて、助けてもらえるかな? 自分がギリギリなら友達もギリギリでは? 最終的に自分の身の安全を守るのは、他の誰でもなく自分自身です。
こういった装備を予め準備しておくことは、自立した登山者になるためには必要なものです。保険と思えば決して高いものではありません。
個人用ツェルトの使い方
袋から取り出して
頭から被るだけです
それだけ。超簡単でしょ(笑)
完全防水ではないので、長時間雨にあたっているとしみてきたり、結露したりするでしょう。しかし、あるとないでは大違いです。被ってみると、その暖かさに驚きます。
私は緊急時にツェルトを使ったことは一度もありません。(練習はしますよ!)
そういう状況に個人でもガイド中でも陥ったことがないからです。だからそのありがたみを実際に感じたことはないのですが、非常時以外にも使ったりします。
例えば、ご来光を待っている時はすごく寒かったりしますが、これを被るだけで全然違います。
背負子に乗る、子供の体温維持に使ったことも。
女性なら山小屋などで男女相部屋での着替えの時や、緊急のお花摘みにも使えます。
安全登山、自分の身を自分で守るということを考えると、ぜひ持っていおきたい製品です。
おすすめの個人用ツェルト
やはり一緒に開発したアライテントさんの商品を最初に推したいです。
応用範囲が少し広がる、ファイントラックさんの商品
競合する製品としては、銀色や金色のエマージェンシーシートがあります。もちろんエマージェンシーシートも素晴らしいですが、1回使ってしまうと元の大きさに折りたたむことは不可能です。やや使い捨て的な概念があります。だから、使おうかな~どうしようかな~という時にためらってしまいます。ちょっと高くて嵩張りますが、個人用のツェルトのほうがおすすめです。
じゃあ、一般のツェルトは必要ないかというと、いざという時に横になって保護できるので欲しい装備です。でも、登山者全員には必要なく、パーティーやグループに1つくらいで充分かと思います。
安全に歩ける準備はしっかりとしておきましょう。
普通のツェルトについてはまた書きたいと思います。