キリマンジャロ山の登り方と登山情報

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キリマンジャロ登山

一般登山者の最終目標といっても過言ではない、キリマンジャロ登山。私も何回も何回も登って案内してきました!しんどい仕事です(^_^;) せっかくアフリカまで行くのだから山頂に立って欲しい。日本の登山の常識が通じない山でもあります。日本の山のベテランでも、高所登山のベテランは多くないです。

ネットでは一度しか登っていない方の情報が非常に多く、読んでいて??が付くことが多々あります。成功した人は細かく細かく書いてくれていますが、何度も登って来たガイドの客観的な情報が、安全登山のために必要かと思いました。コンディションは毎回変わりますからね!

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キリマンジャロ山とは

アフリカ大陸の最高峰(5895m)にして、世界一の独立峰。東アフリカのタンザニアに聳える山です。※ケニアではありません! 一部で世界一高い火山との説明もありますが、南米には6000mを超える火山があるので間違いです。赤道付近に位置しているにもかかわらず、その頂上部には氷河があり、年々その氷河が小さくなっていることでも知られています。何度も登っていると、本当に小さくなっていくのを実感します。山麓はキリマンジャロコーヒーの産地として有名なので、登山をしない人でもキリマンジャロの名前は知っていると思います。

​特別な技術がなくても登れる山で、トレッキングピークの最高峰として、一般の登山者の最終目標、憧れの山ともいわれます。

キリマンジャロ山の自然環境

キリマンジャロの登山口の標高は約1700m。熱帯のジャングルが生い茂る豊かな森です。標高が3000mを超える頃には草原に、4000mを超えると砂漠に、山頂部は氷河が存在します。山頂は5895m。まるで地球を赤道から極地へ移動するかのような環境の変化を、数日間で体験することになります。このような体験ができる山は、他にないと言っても過言ではないでしょう。垂直距離の移動は水平距離よりも遥かに短時間で多くの自然変化をもたらします。すごい山です!

キリマンジャロ登山をすすめる6つの理由

アフリカ大陸最高峰!

キリマンジャロは広大なアフリカ大陸の最高峰。大陸最高峰という言葉はとっても魅力的。サファリをしながら見上げる景色は最高です!

特別な技術がなくても登れる!

氷河を抱くキリマンジャロ山ですが、コース上には氷河は存在せず、特別な技術は必要ありません。トレッキングピークと呼ばれ、体力があれば、誰でもチャレンジできます。

変化のある自然環境

赤道付近に位置するキリマンジャロは登山口付近のジャングルから、山頂の氷河地帯まで目まぐるしく自然環境が変化します。このような山はほとんどありません。

万全のサポート体制

キリマンジャロはガイドの同行が義務付けられ(単独登山はできない)、山小屋も整備され、万一の時のレスキュー体制も整えられています。6000m近い山で、これだけ揃っている山は他にないでしょう。

大変な山だけど、手に届くギリギリの山

キリマンジャロの登山は決して楽ではありません。登頂日の寒さ、睡眠不足そして薄い酸素。体も心も自分の限界にチャレンジする登山となるでしょう。しかし、一般の登山者でもギリギリ登れる、絶妙な難易度です。

下山後も楽しい​

無事にキリマンジャロに登頂した後は、ぜひサファリを楽しんで下さい。野生動物を楽しみ、山を眺めながらビールを飲むのは最高です!

一般的なキリマンジャロ登山のアドバイス

おすすめキリマンジャロ登山スケジュール

5日間でも可能ですが。高度順応日を確保したほうがいいと思います。特にアフリカ到着翌日から登山をする場合は強くおすすめします。

登山口のマラングゲート(1700m)へ。ジャングルの中をマンダラハット(2727m)へ。 約4時間
潅木帯から草原へ変化すると、キリマンジャロのキボ峰が遠くに見られます。ホロンボハット(3720m)へ。 約6時間
高度順応日。ゼブラロックへ歩きます。
草原から砂漠に植生が変化します。山頂直下のキボハットへ(4703m)へ。 約6時間
深夜よりギルマンズピークを目指します。明け方、ギルマンズピーク(5685m)へ。さらにキリマンジャロ山頂のキボ峰(5895m)へ。登頂後、ホロンボハットへ。 約12時間
 一気に登山口のマランゲートへ。 約6時間

キリマンジャロに挑戦するのはどんな登山者?

キリマンジャロは経験豊富なベテランの登山家でなくても挑戦可能な山です。俗にトレッキングピークとも呼ばれ、ピッケルなど必要なく、特別な技術なしで登ることができます。南米には麓から日帰りのできる6000m峰もありますが、知名度では圧倒的に劣ります。登山経験がそれほどなくても登ることができる、最も有名であり標高の高い山と言えます。初心者でも登頂の可能性が大いにありますが、ベテランでも高度順化に失敗すると登頂できません。日本の登山経験と登頂率はあまり関係がないと思います。誰でも登れる山ではなくて誰でも挑戦することのできるできる山と言ったほうがよいでしょう。私が同行したお客さんの、登頂成功最高年齢は75歳です!

キリマンジャロ登山と日本の登山との大きな違い

キリマンジャロのような5000mを超えるような高所の登山は、日本国内での登山では体験することができない登山となります。大きな違いは何でしょうか?大きく分けて以下の5つを挙げられます。日本ではベテランの登山者でも、その常識はキリマンジャロでは通用しません。

高度による低酸素状態

最も大きな違いは低酸素、いわゆる空気が薄いという状態です。標高が上がれば空気が薄くなり、酸素も減ります。それに合わせて酸素と結びついた血中のヘモグロビンも減り、血中の酸素飽和度が低下していきます。酸素飽和度(SPO2)の低下は、少しの動きで息が切れたり、頭が痛くなったりと人体に様々な障害をもたらします。最初はあくびが増え、頭痛、肺水腫、脳浮腫と悪化、ひどくなれば高山病で命を落とすこともあります。私も現地で亡くなった人が、一輪車担架で運ばれる様子を見たことがあります。酸素飽和度の低下は標高の上げ方や、個人差、体調で大きく異なります。

極度の乾燥

高所の空気は非常に乾いています。そして高所では誰もが呼吸が大きく早く、さらに口呼吸になります。キリマンジャロの登山中は行動1時間あたりに100〜200mlの水分が呼吸とともに失われます。結果として、1日3~4リットルの水分補給が必要となります。喉が乾く前に、水分補給を欠かさないように。水だけで3リットルの水分を取るのは現実的ではないので、午後のティータイムや食事の時にも積極的に水分を補給しましょう。体が乾くと血流がドロドロになり、高山病のリスクが高まります。

強烈な紫外線

空気が薄いことと、空気が乾燥していることは、どちらも紫外線の空気中での散乱を減らします。帽子、サングラス、日焼け止めは絶対に必要です。不用意な日焼けは、回復のために、エネルギーを大量に消費します。耳や鼻そして唇の日焼け予防は特に重要です。男性は日焼け止めのリップクリームなど持参しない方がいますが、甘くみると登山を楽しめなくなるでしょう。山頂部で雪が降った場合などは、サングラスがないとまともに目を開けられなくなります。日本では考えられないほどの強烈な紫外線が降り注いでいます。

食事

登山中の食事は、日本食と異なります。大きな違いは油ものが多くなり、炭水化物の比率が下がります。日本では多く歩く日は、カロリーを多く消費するので、いっぱい食べようという雰囲気があります。しかし、高所の低酸素状態で消化能力の落ちている消化器官にとって、それは負担です。私は登山中は腹5分目程度で抑えるようにアドバイスしています。胃腸の調子を悪くしないように、細心の注意を払いましょう。日本から好きなものを持参することを強く勧めます。

寒さ

100m登ると気温はおよそ0.6℃低下します。キリマンジャロの登山口から山頂までの標高差はおよそ4000mなので、約24℃低下することになります。さらに昼夜の気温差が加わります。とはいえ、いくら下がっても−10℃程度、日本で冬山に登っていればその程度は経験済みと甘く見る方もいるかもしれません。しかし、山頂アタックの時は、低酸素状態のために、本当にゆっくりしか動けません。結果、体がなかなか温まりません。最も冷える明け方に、山頂部へ到達します。体感気温と実際の気温には大きな乖離があります。体温が奪われると結果として急性高山病にもつながります。防寒対策とともに水分補給はしっかりしておかなくてはなりません。特に冷えやすいのは足先と指先です。アタックの日以外は不要ですが、オーバーなほどの手袋や、アルパインブーツの準備を勧めます。

キリマンジャロに登頂する6つのコツとポイント

キリマンジャロの登頂のポイントは、高山病をひどくさせないことです。断念した人のほとんどは高山病かそれの影響で体調を悪化させた人。高山病がひどくなるかならないかが、登頂を左右します。※頭が痛くなる程度の高山病は誰でもなります。事前の知識があればいいですが、高山病で欲しいのは経験。確実に登りたいという方は、経験豊富なガイドと登ることを強くお勧めします。

水分補給

上の感想の欄で書いていますが、キリマンジャロの登山中はドンドン体の水分が失われます。水分が不足すると血液の粘土が上昇し血中の酸素運搬が円滑に行われなくなり、また血液がドロドロになります。積極的に水分を補給し、高山病を防ぎましょう。

ゆっくり登る

とにかくゆっくり歩くこと。急がずに、ゆっくりのんびり景色を楽しみながら登りましょう。急いで登ってもいいことはありません。※山頂にアタックする日のみ、時間制限がかかる場合があります。

腹式呼吸

常に深呼吸をしているくらいのイメージで。より多くの酸素を体内に吸い込むことを意識して呼吸をします。息を最後までしっかりと出し切ります。そうすれば自然に新しい空気が肺に入ってきます。腹式呼吸は大きく息を吸って、2~3秒息を止めて、口をすぼめて力強くでもゆっくりと息を吹きだします。風船を膨らませたり、ロウソクの火を消したりするようなイメージです。私はかつて、低酸素部屋で腹式呼吸のトレーニングを指導していました。腹式呼吸が血中の酸素飽和度を大きく改善させる事は、経験でも数値でも明らかです。

高山病予防薬

高山病薬としてはダイアモックスが有名です。治療薬にもなりますが、一発勝負のキリマンジャロでは、即下山となり、治療薬としては使えません。※時間をかけるヒマラヤならば有効です。もともとは緑内障の薬で、薬局では手に入らず、医師の処方箋が必要となります。ダイアモックスは就寝中の酸素摂取量の落ち込みを防ぎます。就寝前に服薬するのが有効です。私は指先に若干のしびれなど副作用が出ますし、何より利尿効果があるのでトイレの回数が増えます。効き方には個人差もありますが、私は有効であると判断しています。バファリンなどの痛み止めは血がサラサラになるので良いとされています。ロキソニンはサラサラ効果がないので注意ください。

高所順応

私は高度順応日のないキリマンジャロ登山は案内しません。3700mのホロンボハットで連泊し、体調をしっかり管理しましょう。

防寒対策

頂上アタックの出発は真夜中の気温はおよそマイナス3度、頂上に着くころにはマイナス10度ほどまで下がります。真っ暗で不安な中、体が冷えるととても辛い状態になります。服以外にしっかりと手袋・靴・帽子を準備しましょう。寝袋は−5℃対応程で十分です。山小屋はそれほど寒くありません。

キリマンジャロ登山でやってはいけないこと4つ

早く動く

息切れがしないように、ゆっくりと動いてください。高所で息がきれると回復には時間がかかります。その後で頭が痛くなることも多いです。

お酒を飲む

数日なので、お酒は飲まないように我慢しましょう。登頂し、下山した後のビールは格別です。この世で一番美味しいビールかも。アルコールは分解に体内の水分を大量に消費します。高所ではアルコールを摂取しないように我慢しましょう。代わりに砂糖をたっぷり入れた紅茶を勧めます。

睡眠薬や睡眠導入剤を服用する

睡眠中は呼吸が浅くなります。睡眠剤などを服用すると、一気に高山病が進む方がいます。高所で熟睡するのは難しく、睡眠時間を確保したい方がいると思いますが、絶対に服用しないように!過去に服用して、呼吸が一時止まった方がいたという報告を聞いています。

無理をして登る

キリマンジャロに登るには、時間とお金をかけて来ていますので、絶対に登りたいと思います。しかし、調子が悪い時は、正直にガイドに報告してください。我慢をしてはいけません。私は1日に2回、お客さんの血中の酸素飽和度や脈拍など記録します。無理をしていれば、わかってしまいます。でも、見抜けないガイドの時、山頂付近で悪化すると命に関わります。一番大事なのは命なので、スパッと諦め下山することが重要です。

ガイドの決定には絶対に従うこと。

キリマンジャロ登山の服装と装備・オススメの装備

キリマンジャロ登山は、日本の登山に例えれば、夏山と冬山の両方を一度に登るようなものだと思ってください。

登山靴

キボハットまでは軽量のトレッキングシューズやトレランシューズで登ることができます。しかし、山頂アッタクでは軽量のトレッキングシューズでは防寒性能が決定的に不足します。重登山靴、いわゆるアルパインブーツが絶対に必要です。雪が多くあるわけではないので、トレッキングシューズに靴下をプラスすればいいと考える人もいるようですが、通常よりも靴下を足すと足の血流が悪くなり余計に寒くなります。

寝袋

キリマンジャロの小屋に布団はありません。日本から寝袋を持参します。色々試しましたが、−5℃くらいが丁度いいです。サマーシュラフでは寒いのでダメ。−10℃などの厳冬期用はキボハット以外では暑いし嵩張ります。

防寒着

初日はTシャツでも歩けますが、山頂では冬山のスタイルになります。日本との違い乾燥し、赤道の無風地帯になるので、湿雪対策、ムレ対策・風対策は不要。最近普及してきたドライウェアは不要です。ということは、ダウンジャケットを着用して歩いてもOKです。私は上下メリノウールのアンダーウェアを着用します。その上には保温力の高い長袖のシャツ、ダウンジャケット。下はストレッチのパンツとオーバーパンツ。インナーダウンとレインウェアの組み合わせもいいですが、最近のレインウェアはスリムなので、下にダウンを着るとロフトを抑えて、暖かくなくなったりします。寒さは高山病の状態により大きく感じ方が違います。使わなければラッキーだったと思い、過剰なほど持って行きましょう。特に手袋はインナー・ミドル・アウターと重ねることを強く勧めます。

紫外線対策品

絶対に・絶対に帽子・日焼け止め・日焼け止めのリップクリーム・サングラスは持参してください。日本では体験したことのない紫外線が降り注ぎます。必ず持っていくように。強烈な日焼けは火傷と同じです。

水筒

ハイドレーションの水筒は、こまめに水分補給をしたいキリマンジャロ登山では最適です。しかし、山頂アタック時はハイドレーションのチューブ内の水が凍ってしまいます。別売りのカバーを装着するなどの対策が必要です。また、凍らなくても冷たい水は体力を奪います。私は山頂アタックは少し重たくなりますが、魔法瓶に温かい紅茶を入れて飲むようにしています。山頂からの下山時は一気に暖かくなるので、魔法瓶は不要。片道のみ温かいものがあればいいと思います。

ストック

非常に有効です。Wストックがあるとかなり楽に登ることができます。私も山頂アタックの日は利用します。

行動食

山頂アタックでは、長時間食事の時間がありませんので、行動食を持参します。絶対に食欲が低下しますので、固形物はすすめません。私はショッツエナジージェルを持参します。他にはゼリー飲料も摂りやすい。絶対にエネルギーインのタイプを持参してください。間違ってもダイエット用を購入しないように!

装備についてはこちらで詳しく記載しています

キリマンジャロ登山に持っていた装備とウェア
何度もキリマンジャロに登っているプロは、どんな装備を持っていくのでしょうか? キリマンジャロは短パンでもOKな山麓から、冬山装備の必要な山頂まで多くの装備が必要となります。これから登る方は参考にしてください。

キリマンジャロは日本からは遠いし、時間もお金もかかります。簡単にチャレンジできる山ではありません。日本で安全に楽しく登れるように準備しましょう!多少でもこのホームページが参考になれば嬉しく思います。

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