大峯奥駈道完全縦走 吉野から熊野本宮大社へ 

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大峯奥駈道縦走

登山者の憧れ、大峰山脈の大峯奥駈道を3泊4日で完全縦走してきました。

大峯奥駈道とは奈良の吉野から熊野本宮大社へ続く道。大峰山脈の主稜線を北から南へと縦走する道。
役行者によってひらかれた、山岳信仰の道。
※大峰奥駆道と表記している方々がいますが、大峯奥駈道が正しい表記です。

紀伊山地の霊場と参詣道として世界遺産登録にされています。

カシミールで測ると全長90km以上の長大な縦走路。日本最古のロングトレイル!登りは累積約7700m、下りは約7900mとなりました。

注意してほしいのは、他の熊野古道とは難易度が決定的に違うこと。他の道は歩きやすい所につけられているのに対し、奥駈道は修業の道。完全に経験者向けの登山コースです。

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大峯奥駈道とは

大峯奥駈道は、山桜で有名な奈良の吉野山と熊野三山を結ぶ、修験道の修行場として開かれた道です。上記に記した熊野古道の中で最も険しいルート。標高1200m~1900mの山々が連なる大峰山脈の尾根を沿うようにして続きます。一般的に大峰山といえば歴史的経緯から山上ヶ岳を指します。しかし、登山で大峰山といえば最高峰の八経ヶ岳を指します。大峯奥駈道でいう 「大峯」とは、吉野から山上ヶ岳を経てさらに奥の山々、そして最終的には熊野三山に至る大峰山脈を縦走する修行の道全体を指します。大峯奥駈道は、修験道の開祖、役の行者によってひらかれた1300年の伝統をもつ山岳信仰の聖なる道。女人結界のある山上ヶ岳を通過するので、縦走できるのは男性のみとなります。元々が修験の道であり、登山道として整備されているものの、他の山域とは雰囲気が異なります。

 

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」とは

いわゆる熊野古道を中心とした紀伊山地の世界遺産です。
参詣道として幾つかの道が登録されています。
①熊野参詣道・中辺路(田辺~熊野本宮大社~那智大社)
②熊野参詣道・小辺路(高野山~熊野本宮大社)
③熊野参詣道・大辺路(田辺~那智大社)
④熊野参詣道・伊勢路(伊勢神宮~本宮大社)
⑥高野山町石道(九度山町~高野山)
⑦大峯奥駈道(吉野~熊野本宮大社)

この中で、ぶっちぎりの難易度を誇るのが、この大峯奥駈道。
次に難しいのは小辺路で、他はハイキングか登山との中間的な難易度。
私は大辺路の一部は歩いていないですが、他は全て歩いています。

世界で道が世界遺産なのは、この紀伊山地の霊場と参詣道と
スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道のみです。
この道も歩いたことがあります!

スペイン サンチャゴ巡礼の道を歩いてきた
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大峯奥駈道(大峰奥駈道)全山縦走の日程

 行程宿泊コースタイム
自宅-近鉄-吉野駅…青根ヶ峰…山上ヶ岳…小笹宿小笹宿11:30
…大普賢岳…行者還岳…弥山…八経ヶ岳…釈迦ヶ岳…深仙小屋深仙小屋15:00
…涅槃岳…行仙岳…笠捨山…地蔵岳…玉置山展望台玉置山展望台16:30
…玉置山…大森山…熊野川…本宮大社=バス=紀伊田辺-JR&近鉄-自宅7:30

かかった時間は参考にしないほうがいいと思うので、記載しません。
最近はSNSやネットだけで情報収集する方が多い事に不安を感じるからです。

通常は6〜7日かけて大峯奥駈道を歩く人が多いようですが、今回のプランは自宅から4日間。
とても山の中でのんびりできません。。。

※普段からそれなりの荷物を背負って歩いている方でないと、この日程では歩ききれません。簡単な真似は厳禁です。余裕を持った日程であるきましょう。私はガイドです!

大峯奥駈道地図

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大峯奥駈道完全縦走に持っていく物

大峯奥駈道縦走の食料

3泊分の食料と非常食でこのくらい。今ならきっとモンベルのリゾッタをいっぱい持っていく!

アルファ米 白米
アルファ米 味付きご飯
カップヌードルリフィル
レトルト食品
フリーズドライスープ
魚肉ソーセージ
オールレーズン
ふりかけ
魚の煮物
コンデンスミルク
アミノバイタル10

大峯奥駈道縦走の装備

レインウェアストック
防寒着ヘッドランプ
シュラフファーストエイド類
シュラフカバーツェルトセット
シュラフマット山と高原地図&地形図
ザック45Lコンパス
登山用シャツ&アンダーウェア 2組カメラ
靴下 2組iPhone
バーナー&コッヘルセット・マグカップ
水筒4L

テント→ツェルト サンダル→諦める など 重いと早く歩けないので軽量化を心がけました
※最後に熊野川を渡り、本宮大社を目指す方は、サンダルがあったほうがいいかもしれません。

大峯奥駈道縦走 1日目

自宅〜吉野駅〜山上ヶ岳(1719m)〜小笹宿

自宅からは近鉄で吉野駅へ
貸し切り状態(^^)

ザックは古いグレゴリー

歩き出しは吉野駅前から

桜のシーズンが嘘のように静かです。意外と車道を登るのはしんどい・・・なぁ。

吉野水分神社
吉野山の最高峰/青根ヶ峰(858m)
吉野山を案内する時は、ここが最終地点ですが、まだまだ始まったばかり!
四寸岩山(1236m)
50リットルで収まるように軽量化してあるので、単独縦走にしては楽!
先は長いので、ガンガン進みます!! 先は長い!

足摺小屋 もちろん通過!

二蔵小屋
遠方から来る方なら、ここに初日泊まり、翌日は行者還避難小屋か弥山小屋っていうのもあり。

山上ヶ岳への女人結界
故意的に女の字が壊されています。いろいろな意見があるのは知っていますが、物を壊したり落書きしたりして抗議するのは逆効果。※山上ヶ岳は現在においても女性の入山を規制していることで知られています。

女人結界の事情を説明しています。
事前に調べないで、ここを女性が歩こうとした場合、どうするのかなぁ??

チェルメル草

ブナの森がキレイ

しかし、誰にも会いません。。

洞辻茶屋
GWは賑わったんだろうな(^^) 大峯奥駈道が最も混むのはGWとはいえ、大峰山全体の登山者から考えれば微々たるもの。

陀羅尼助茶屋から道が分かれます。
もちろん険しい左の道を選びます!

やっと山上ヶ岳の頂上です。

静寂の山上ヶ岳(1719m)
本来、宗教的な意味で大峰山といえば山上ヶ岳を指します。
しかし、登山で大峰山といえば八経ヶ岳を指します。

少し下って、小笹宿で宿泊

この日のコースタイムは11時間30分! 10:00前に吉野を出たにしては、まあまあの時間に到着です。

小笹宿は4人くらいが定員。GWはテント必須ですよ!
すいません、写真撮り忘れました。。。

大峯奥駈道縦走 2日目

小笹宿〜大普賢岳(1780m)〜行者還岳(1546m)~弥山(1895m)〜八経ヶ岳(1915m)〜釈迦ヶ岳(1800m)〜深仙小屋

いよいよ奥駈道の核心部の縦走です! この日はまだ暗いうちに出発。長い一日になりそうです。

ヘッドランプで歩きます。たった一人で暗闇を進むのは、初心者には厳しいだろうな。
明るくなり始めると、鳥の声がいい!

深山の雰囲気(^^) すっごい神秘的。

女人結界を抜けて大普賢岳を目指します

けっこうあっさり
大普賢岳(1780m)

苔がキレイ 先日の屋久島を思い出す(^^)

大普賢と七曜岳の間はロープや鎖場が所々出てきます。

七曜岳

ブロッケンが見られました

次のピーク、行者還岳を目指します! 天気が良くなり、気持ちいい!!

大台ヶ原から見ると目立つ行者還岳も、山頂は森の中

行者還避難小屋は立派だなぁ〜

シカの食べないバイケイソウが増えています

行者還トンネルからの道と合流。八経ヶ岳を目指す人の大半は、ここら。
一時的に登山者が増えます。

仏経ヶ岳は八経ヶ岳のこと

理源大師像前で昼食

もうすぐ弥山
ここくらいじゃないのかな? 登りやすいつづら折れの登山道は。他は直登ばかりの、修業の道

近畿の最高峰 八経ヶ岳は目の前

弥山(1895m) 山頂
ルート上ではないが、ちょっと寄り道

小屋の右奥、平らな山が山上ヶ岳

弥山から20分もかからず八経ヶ岳(1915m)
この登山中、唯一他の登山者がいた山頂です

次の目標は釈迦ヶ岳!  遠いなぁ(^_^;)

まだ山桜が咲いてます(^_^)

七面山が見えてきました。今回の縦走路には入っていません。

ミズゴケ

七面山の南壁はかっこいい! 今度はこの山に登ってみたいなぁ(^^)

楊枝ケ宿小屋
ここで泊まれば今日は楽だけど、明日はしんどくなる。ちっと疲れた(^_^;) でもまだ釈迦ヶ岳を越えなければ・・・。

気合を入れなおし、釈迦ヶ岳を目指します
前鬼の谷を見下ろす。前鬼は南奥駈の起点です。ちょうど半分って感じかな。

釈迦ヶ岳がだいぶ近づいてきた!
でもかなり疲れてきた(>_<) 道自体は歩きやすい

オオミネコザクラがキレイ!

釈迦ヶ岳の登りは若干危ないところもあるけど、特に問題はない。
集中力を保つように!

どこまでも山が続くように見える

本日最後のピーク 釈迦ヶ岳(1800m)

遥か彼方に山上ヶ岳が見えてます。 あの山の麓からよく頑張りました!

ついに玉置山神社の表示が(^^)
でもまだ30km以上。明日も長くなるぞ!

ミツバツツジが満開

定員4名 深仙小屋に到着
水場はポタポタ・・・。人数多いと大変だろうな。ここもGWはテント必須!
この日のコースタイムは15時間でした(^_^;) 疲れたけど、充実した一日!

大峯奥駈道縦走 3日目

深仙小屋〜涅槃岳(1376m)〜行仙岳(1227m)〜笠捨山(1353m)〜玉置山展望台

この日が正念場でした。地味に距離が長く、しんどそう(^_^;)

出発してすぐ、前鬼への下山道の分岐。これ以降が南奥駈道。

ゴールの本宮大社まで45km、24時間の表記・・・。
テンション上がるか、下がるか?? 玉置山までは16時間!!

この先は本当に地味な山が続きます。

涅槃岳(1315m)
山の名前も宗教的なものばかりに

ヒメシャラのトンネル

シャクナゲ

持経の宿
ここの水場で4リットル汲んでおきました。重たくなった(>_<)
南奥駈は水がないから、汲める時に汲んでおくこと。

完全にな樹林帯へ。この辺は、エアリアマップが間違っていた・・・。

すこしだけアカヤシオが

行仙岳(1227m) 山頂も地味やなぁ。

この辺から雨が降り始めた・・・。キツイ

でかいサルノコシカケ

森の中なので、樹木が傘の代わりに

行仙宿 立派です

ゴヨウツツジ

しんどかったのは、笠捨山(1353m)
エアリアマップではきちんと地形が読めないので、ピークと思ってもまだだったり。
でもこんな広範囲の地形図は持ってこれない(>_<) 疲れました・・・。

雨も強くなり、レインウェアを着て、黙々と。
この先は写真激減です。

疲れからか、コースタイムをあまり切れなくなってきた。。。足が重い。。。

夕方になったのにまだ玉置山まで距離があります。

きちんと整備された森は人工林でも美しい

そこに夕陽が差し込んだ!
キレイだけど・・・ここで夕陽はまずい・・・。

林道に出る頃には真っ暗に

この日は玉置山の展望台でビバークすることにしました。屋根があるのでツェルト張る手間もないし、トイレも有る。急いで夕食を食べて、砂利にマットをひいて、シュラフをカバーに入れておやすみなさい。

この日のコースタイム16時間30分・・・・。頑張った(^_^;)

大峯奥駈道縦走 4日目

玉置山展望台〜玉置山(1076m)〜大森山(1078m)〜熊野川〜本宮大社

いよいよ最終日。夜中は星がメチャメチャきれいでした!!
この日の目標は午前中に本宮大社。そのためには暗いうちに出発
ヘッドランプで歩きます
玉置山のシャクナゲはきれいでした

景色はおあずけ

玉置山神社

玉置辻で夜明け

相変わらず、地味です(^_^;)

大森山(1078m)を過ぎると和歌山県
すると、これまでしっかり整備してあった道標が消えます。いつも思う、自治体ごとの統一感のない標識や看板。
誰のために設置してるんだろう??役所同士の調整能力がなさすぎる!!!

最後のピークらしいピーク
五大尊岳(825m)

熊野川が見えてきた!

ゴールが近いという実感(^^) エネルギー出ます!
旧社地、大斎原の大鳥居が見えた! もう少し

あと1.6km!!

予定通りの時間に、熊野川の河原へ(^^)

登山靴を脱いで、川を渡ります。これが本当の大峯奥駈道のラスト!
橋で対岸に渡るのは邪道かな??ここまで来たら最後まできちんと行きたい!

川に足をつけるのは超気持ちいい!!
しかし、登山靴から開放的されたばかりの足に荷物を背負って、河原を歩くのはきつかった。

足の裏が痛くて、なかなか進めません・・・。
サンダルを持ってくればよかったと激しく後悔。。。

渡りきったら、服を着替え、水垢離をして一休み。体中をゴシゴシ(^^) 気持ちいい!! 開放感でしばらく動けませんでした。

身も心も清めて、大斎原へ。


ゴーーール!!!!
熊野本宮大社の宮社地、大斎原!! ホントに疲れたけど、充実感でいっぱい!!

元々、本宮大社はこの場所にありました。
ふだから、自分の中ではここがゴール(^^)
もちろん、後で熊野本宮大社へお礼参りしますがね。

この日のコースタイム7時間30分!

過去何度も熊野古道の大雲取越・小雲取越を歩いているので、吉野から勝浦の海までつながりました(^^)

念願のビール! じゃなくて、泡般若(^^)

でもね、本当に疲れるとビールはあんまり美味しくない・・・。甘いもののほうが美味しく感じる不思議。

サンチャゴ・デ・コンポステーラの道標がここにできていました。黄色いのはシンボルのホタテのマーク。最後の100kmは歩いたことがあるのですが、いつかは、フランスから全て歩いてみたいもんです(^^)

予定通り、昼過ぎのバスに乗車。

紀伊田辺駅へ向かいます。紀伊田辺からは特急で天王寺へ。そして奈良の自宅へ。

何回も熊野本宮大社は来たけど、その中で一番嬉しい(*^_^*) 久しぶりの単独縦走は充実感いっぱいです。

ひとつ、ひとつの山は、特に難しい山ではないと思う。
しかし、八経ヶ岳周辺以外は登山者が少なく、いざという時のエスケープも難しい。エアリアマップは何箇所も間違っている。
一度に全てを歩くのは上級者向けか上級者と一緒に行く人向けなのは間違いない。
しかし、登りの合計が約7700mって・・・・・。距離は90kmとでましたが、測り方によっては100kmとか。技術より体力勝負の山なのは間違いなさそうです。

注意点

体力がいるのは当然のこととして、注意したいのは水場と山小屋。主に稜線歩きなので、時期によっては水の確保に苦労しそうです。途中で水を分けてくれという、無計画な登山者にも遭遇しました。このコースでは自炊が必須なので、余裕を持った水の補給計画が必要です。汲める時にめいいっぱい補給しましょう。また、小屋泊まりで計画する方は、GWなどの混雑期は避けましょう。定員が4人程度の小屋もあります。経験の少ない登山者は、このブログの日程で歩くはホントに厳しいので、プラス1日〜2日の計画をすすめます。
このコースの水場や山小屋の詳細な情報が欲しい、ゆったりとしたプランを考えている方はこちらを御覧ください。
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